向上する起業家のレベル、熱戦を繰り広げた「Incubate Camp 6th」決勝プレゼン

by Junya Mori Junya Mori on 2013.12.1

11月30日、12月1日の一泊二日で開催されているインキュベーションプログラム「Incubate Camp 6th」。事業案のピッチ、投資家たちによるメンタリング、投資家からのドラフト指名を経て起業家たちが投資家とペアを組み、一日かけて事業プランをブラッシュアップを行った。改善された事業案を手に、起業家たちが決勝プレゼンに臨んだ。

「Incubate Camp 6th」の説明資料によれば、今回のプログラムで優勝した起業家には、300万円の初回投資に加え、3000万円の追加投資の提案が即時に行われるという。

サムライインキュベートの榊原氏、ミクシィの朝倉氏や、B Dash Ventures 渡辺氏、ニッセイ・キャピタルの永井氏、DeNAの五嶋氏が審査員として事業プランの審査を行った。

決勝プレゼン

マイホームプランニングサービス

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小澤氏がプレゼンしたのは一戸建ての購入を夢見ているユーザの計画不足と情報不足を解決するサービスだ。初日のピッチでは家計の予算配分を最適化するサービスだったが、住宅購入における課題にフォーカスしたサービスとなった。

住宅購入のニーズは大きいが、購入したい物件の情報がない、資金準備が間に合っていないなどタイミングのズレがあって買いたいけれど買えていない人が多いと小澤氏は考える。

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これまでは、すぐに家を買える人をフィナンシャル・プランナーがサポートしてきていたが、小澤氏のプランではフィナンシャル・プランナーがサポートして住宅購入に必要になる資金の準備からサポートすることを狙う。

フィナンシャル・プランナーのネットワークやデベロッパーとのつながりなどを作ることで、資金準備の計画不足と情報不足の解消できるようにする。住宅の契約のタイミングの課金でのマネタイズを考えているという。

スマホアクセサリー「ウィンクル」

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武地氏は今回のプログラムで唯一ハードウェアでの事業を考えている人物だ。すでにハードウェアコンテストの「Gugen」に出展し、クラウドファンディングサービスのCAMPFIREで60万円以上の資金を調達している。

ウィンクルは、スマホのジャックに差し、ペアでこのデバイスを差している人同士がウィンクルを向け合うと光るというスマホアクセサリーだ。投資家とのメンタリングを経て、武地氏はこのハードウェアでのビジネス化を目指して、キャラクターとつながるファンクラブのような仕組みをつくろうとしている。

ライブグッズとしてウィンクルを販売し、ファンにウィンクルを持ってもらう。キャラクターとつながるファンクラブを用意し、ウィンクルを持っているファン限定にメッセージが届くようにする。ウィンクルをファンクラブの会員証兼、キャラクターとのコミュニケーションツールとしていくようなプランだ。

マネタイズは、ウィンクルの販売、ファンクラブの会員費、アプリ上の課金などを考えており、オタク市場を狙っていくという。バーチャルアイドルとのコミュニケーションを図りたい、というニーズがあることは考えられるが、こうした実現方法が受け入れられるかどうかは気になるところだ。

spready

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河野氏はネット上の議論の様子をビジュアライズするサービスを考えていたが、C向けにサービスをチューニングしていった結果、ニューステクノロジーサービスの発展系のようなサービスを提案した。

新聞のニュースが、事実情報しか伝えることがなく、現象の要素や本質が含まれていないこと、関連・比較情報が足りていないことなどに課題を感じたことが起点となっている。ただの情報だけではなく、それを咀嚼できるような、知識を知恵に変えるサービスが「spready」だ。

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同サービスを利用すると関連情報も一緒にバブルのような形式で表示され、タップすることでどんどん情報が表示されていくようjなサービスだ。カテゴリなども俯瞰・セマンティックに選ぶことができるようにする。これは、河野氏のチームが人工知能とセマンティックに強いという点を活かしていくことになる。

機械学習によって、ソフト側が成長し、自分自身の選択を客観視することでデータという形で可視化し、データを売ることなどを考えているという。

スーツ/シャツのオーダーメイド「Lifestyle Design」

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ホームレスだった男性の身だしなみを整え、シャツをスーツを着せて社会復帰を支援したNPOのプロジェクトの紹介から入った森氏のプレゼン。そのプロジェクトのように、ライフスタイルの変化を人に楽しんでもらいたいと考える森氏の事業案は海外でも盛り上がりを見せるインターネットを通じたスーツ・シャツのオーダーメイドサービスだ。

大量生産の時代から、自分にパーソナライズされたものへの好みの変化、オリジナルのモノの価値が向上していることなどから、オーダーメイドサービスを狙う。サービスの仕組みはシンプルなものとなっているが、森氏が「ワンクリックUI」と呼んでいる、クリックしていくだけで簡単にオーダーメイドを作っていける仕組みなどを用意している。

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2014年春の就活市場を取りに行くために、キャンペーンをしかけ、現在伸びているギフト市場に合わせてギフトチケットによるプロモーションを予定するなど、プロモーションに力を入れていく予定。ブランディングに力をいれることで、日本で伸びてきていないオーダーメイドサービスの問題点を解決できるという考えだ。

メンズ向けのスーツを仕掛けたあとは、アクセサリー、カジュアルウェア、レディースへの展開、その後海外への展開なども視野に入れている。来年2014年2月にローンチ、4月にはアプリのリリースを考えているという。

人材動画データベース「Job Crew」

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仲子氏は「初めて出会う」タイミングが求人におけるボトルネックになっていると考え、その課題を解決するために、スマホテレビでインタビューし、その映像を録画、データベースを構築していくというサービスだ。

海外では動画スクリーニングが進んでおり、それを日本でもという狙いのサービスだが、仲子氏はこれまで動画選考の領域にも取り組んできており、動画選考の課題も見えているという。それは動画を投稿することが面倒だということと、採用側も選考にコストがかかるということ。

それらの課題を解決するために、「Job Crew」ではスマホを使ってテレビインタビューを実施し、それを録画、評価していく。インタビューなどの作業はフリーの人事部経験者やキャリアカウンセラーに安価にアウトソースすることを想定しているという。

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これにより、集客から事前スクリーニングまで行う求人メディアを立ち上げ、日本最大の動画人材データベースの構築を目指す。価格は一人あたり70万円を想定しており、月に5人ほど採用できれば損益分岐点となるという。スクリーニングにかかるコストが下がり、一人あたりの採用にかかる費用も減ることになる。

次世代の掲示板「BOARD」

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PCからスマホにインターネットにアクセスする端末が変わってきた中で、かつてはあったインターネット上にあったたまり場のような場所がなくなってきてしまったのでは、と考える村岡氏がプレゼンしたのはLINE時代の2ちゃんねるのようなサービスだ。

村岡氏が考える次世代の掲示板とは、

  • こんな人と話したいを強制的にかなえる
  • 山ほどくるコメント

以上の要素が必要だと考えているという。

「BOARD」では職業、年齢を入力してもらいプロフィールを作成する。ユーザはその情報で他のユーザをソートして、指名できる。指名された人はログインの際にそのトピックに強制的に参加させられる。その仕組を用意して、話したい人と高確率で話せるようなコミュニティを構築する。

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コメントをすると「いいね」を付けられるようにする。いいね数によってトピックがフィーチャーされるという機能もつけることで、コメントするインセンティブをつけ、コメントの数を増やす狙いだ。UIのイメージは、LINEのチャットのようになっており、流れていく仕様となる。

掲示板サービスには珍しく実名制だという。「ネットのたまり場を再現したい」しようというサービスが、実名制でどの程度盛り上がるのだろうか。

遊びをソーシャルにする「Vivid」

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水谷氏はレジャー産業の約22兆円の市場を狙う。FacebookやLINEなどで遊びに行きたい!となった想いをなくしてしまわないように、遊びへのモチベーションをそのまま遊びにつなげたいと考えている。

人は、人とつながることで遊びに行きたいと考えるようになる。水谷氏は遊びに至るまでのフローを「調査→企画→購買→体験→共有」だと考えており、Vividは上流のフローからユーザと関わることを狙う。

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Vividの他に、Brinearという遊び情報の発信を行うオウンドメディアを立ち上げることを考えている。様々な遊びに関する記事を掲載し、その中に「行ってみたいボタン」を用意。ユーザがそれをクリックすると、Vividに遷移し同じように「行ってみたいボタン」をクリックしたユーザ同士で自動でグループが立ち上がり、その中で遊びにいくためのコミュニケーションをとることになる。

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さらに「いつ行くボタン」をクリックするとFacebookイベントのようなイベントページが生成され、先述したような遊びへの動線をスムーズにすることで、ストレスなく遊びにいけるにすることを狙う。マネタイズはオウンドメディアでのタイアップ広告などを想定している。

旅のソーシャル化を目指すサービス「trippiece」が成長していることから、Vividも成長が見込まれる。

お薬手帳をアプリ化「mNote」

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喜納氏はお薬手帳のアプリ化を目指している。お薬手帳(または薬識手帳)とは、調剤薬局や医療機関にて調剤された薬の履歴(服用歴のようなもの)をまとめた手帳のことだ。

一般的には、処方箋と一緒に調剤薬局で手帳を提出すると、調剤された薬が一覧となって書き込まれる。ラベルプリンターで印刷されたラベルシールの形態で貼付けられることもある。

この手帳をアプリ化することで患者や薬局にメリットをもたらしたいと考えている。最初は写真撮影によるスキャンにより処方箋の情報の取り込みを行い、将来的にはレセプトコンピュータとのつなぎ込みにより、自動データ提供に対応する予定だ。レセプトコンピュータとは、レセプト(診療報酬明細書)を作成するコンピュータのこと。

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会員の獲得には、調剤薬局と提携することで薬を購入するアプリをインストールしてもらうことを考えているという。同アプリの導入により、調剤薬局には、患者の会員化や薬局で利用できるポイントの導入、ジェネリック医薬品の販売をユーザに促すことで利益の拡大などを想定している。

アプリではユーザが服用している薬がわかるため、ターゲットが明確になり、ジェネリック医薬品向けの広告販売などを行う。その他、地域別の薬品の販売データを集計し、医薬品メーカーに提供することなどを想定しているそうだ。

1万インストールを目指し、薬の服用時間のリマインドや行動のレコメンドなど応用はできそうだが、超えるべき壁がいくつかありそうなサービス。

生産者と店舗をつなぐプラットフォーム「agrimate」

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川岸氏は、1年ほど前に会社を立ち上げ、農業の流通ビジネスに取り組んできた。1年の経験から農業の実情や流通の厳しさを痛感し、今回のプログラムにてプランのブラッシュアップをした。

最近政府は「減反政策」を5年後に廃止する方針を正式に決定。現在支給されている定額補助金は、2014年度から半減、2018年度に廃止されることとなっており、農家にとって新しい取り組みへの対応が必須となっている。

従来のJAの流通はローリスク・ローリターン、Oisixなど個人向けネット流通は競争が激化しており送料がネックとなってくる。そこでagrimateが狙うのは小売店や飲食店向けの販路開拓だ。

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店舗にとって通常営業をしながら、野菜の新たな仕入れ先を探すことは困難であるため、agrimateを活用することで、検索やレビューによって、仕入れ先探しを簡略化される。生産者と店舗は相互の評価や手軽に携帯で出品が可能にすることも考えている。取引金額の10%を課金することによるマネタイズを想定している。

高齢化が進む生産者がIT化に対応できるか、飲食店側が新しい仕入先に対応するかどうかが重要になってくると考えられる。

次世代のプログラミング環境サービス「コードキャット」

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米本氏は初心者のプログラマの即戦力化や、優秀なエンジニアをよりクリエイティブな仕事に集中できるようにするためのプログラミング環境サービスを考えている。

Githubの登場により、コードを書いていく過程において、それまで問題になっていた作業のバッティングがなくなり、かわりに不要な差し戻しの発生するようになった。この差し戻しの作業量を減らすために、最低限必要な差し戻しのみ発生する状態を作る狙いだ。

比喩表現として用いられたのはライターとエディターのやりとりだ。細かい言葉のルールの部分などでやりとりが重なると双方が疲弊してしまう。コードの細かいズレなどが多くなってしまうと、似たような疲弊がエンジニアにも起こる。これをシステムでカバーしていくことで、初心者エンジニアのミスを減らし、優秀なエンジニアがよりクリエイティブな作業に集中できる環境を作り上げる。

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具体的には、ルールのデータベースを作成し、エンジニアが利用するエディタとリアルタイムに同期させ、正しいルールを表示させることで、エンジニアにルールを守らせるというものだ。既存のプラクティスをルール化し、ベストプラクティスを作るエンジニアたちによりルールはアップデートされていく。

Githubと連携することで、定期的にコードが汚くないかのチェックをしてくれるようにする。コードキャットはGithubを中心に成長していく狙いだ。価格は個人利用と法人利用に分け、個人ではプロジェクト数によって決まり、5プロジェクトで月700円。法人利用ではメンバー数によって決まり、一人あたり月3000円という価格となる。

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不動産個人売買のマーケットプレイス「スマイマッチ」

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藤本氏が考えているのは不動産の個人売買のワンストップサービス「スマイマッチ」を考えている。藤本氏は、相続資産の拡大や、消費税の増税などの背景からこの市場が拡大すると考えている。現在の中古住宅市場が約10億円、これが約40億円まで拡大すると見ているという。

個人の不動産売買にはこれまで不透明な取引慣行などの問題点があった。「両手仲介の横行」や「高額な手数料」などの課題をクリアするために、個人が直接取引できる不動産マーケットプレイスの実現を目指す。

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スマイマッチでは物件査定、個人売買の広告メディア、売買事務サポートの3つを行う。この3つをすべて行うことがこれまでのプレイヤーとは違うことだと藤本氏は考えている。不動産を出品し、買いたいと思った不動産があれば、匿名性のもとオファーを出し、オファーを受けた側が受け入れると実名でのメッセージのやりとりをすることになる。

出資が決まったチーム

以上、一社はオフレコとのことなので書けていないが、全部で12組がブラッシュアップをした事業プランをプレゼンした。2日間の内容をもとに、審査員とキャピタリストたちによって審査が行われ、結果が発表された。

  • 1st オフレコのサービス
  • 2nd Job Crew
  • 3rd Vivid

タイトルで堂々と書いておきながら、一位となったサービスはオフレコとのことなので、詳細がオープンにできるようになったタイミングでお伝えする。上記の3社の他、「mNote」「agrimate」「コードキャット」の3社はサムライインキュベートから、3社合計で1500万円の出資のオファーがあった。

CAVの田島氏から今回の第6回を総括して、

全体的にレベルが上がっていることを感じました。ただ、サービス自体は良いものが多いにもかかわらず看板の出し方がうまくいっていないため、価値が伝わっていないものも多く、もったいなさを感じました。

あとは提供したい世界観に引っ張られてしまう起業家もいました。そんなときはユーザが求めているものだっけ?ことを伝え、ユーザ視点に引き戻すことがキャピタリストの役割だと思っています。

とのコメントがあった。

今後、「Incubate Camp 6th」はフォローセッションを開催していく。インキュベイトファンドパートナーの和田氏から、「引き続き業界全体を盛り上げていきたいと思う」とのコメントで、熱量の高い1泊2日の合宿は幕を閉じた。

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