中国ではクラウドファンディングサイトでコピー商品の製造がさらに容易に

by TechNode TechNode on 2014.2.28

pressy

Pressy ButtonというAndroid向けの小さなガジェットがKickstarterに登場したのは2013年8月だった。1日で目標金額に達成したため多くのメディアの注目を集めた。同プロジェクトは、2か月後には2万8000人以上の支援者から目標額の7倍の資金を集めたのだ。

Pressyはその後まもなく、海外向けに販売を行う中国のマーケットプレイスAlibaba.com(Alibaba=阿里巴巴グループが運営)で、たくさんのPressy Buttonを見かけることになった。「Pressy」で検索するとPressy Buttonを名乗る多くの検索結果が出てくる。もちろんどれもPressyチームが作ったものではなく、ニセモノなのだ。

このような売り手たちが実際に商品を転売しているのか、それともただ単に市場の反応を見たいだけなのか、Pressyチームにとっては定かではない。もしくは彼らはニセモノを製造していて、顧客候補がAlibaba.comでPressy Buttonを検索した時に、自分たちの商品が上位にヒットするようにしたいのかもしれない。Alibaba.comだけでなく、Pressyは類似のプロジェクトを他のクラウドファンディングサイトでも発見した。

形や機能がほとんど同じアイデアが登場

最近のメーカー同様、Pressyは部品製造を中国の業者にアウトソースしていた。しかし彼らはそのことが、ニセモノが急に沸いて出てきた理由だとは考えていない。なぜなら彼らは、Alibabaやその他のクラウドファンディングサイトの売り手が持っていたのはアイデアだけで、実際に商品を手にしていたとは思っていないからだ。

Pressyに20米ドル以上を支援したある中国人は、最近中国版KickstarterのDemohour(点名時間)で、Quick Button(快按鈕)というプロジェクトに関心を持った。というのも、Pressyと形や機能がほとんど同じだからだ。

Quick Buttonは中国ユーザに合わせた50以上の機能があるとしているが、Demohourのページでは、KickstarterにあるPressyの10の機能とほとんど同じ10種の機能しか書かれていない。

小さな違いとしては、1)ソーシャルネットワークへのチェックイン機能のかわりに、Quick Buttonは共同購入や近くのレストランを表示する(どのサードパーティーアプリからコンテンツを入手するかは書かれていない)。2)Pressyは動作中の全てのアプリを終了できるが、Quick Buttonはそのようなガジェットはアプリを起動するために使われるべきだと考えている。

Quick Button側は、2013年3月には需要の分析と実現可能性の検討を始めており、自分たちが世界で最初だと主張している。しかし、DemohourにあるQuick Buttonのページには実物の画像(下にある通り)も紹介ビデオもない。

Quick-Button

Quick Buttonは2013年12月中旬にDemohourに登録し、1か月後には2432人の支援者から目標額の20倍の資金を調達した。Demohourのページによると、Quick Buttonチームの9人のうちほとんどが上海交通大学とハルビン工業大学という中国のトップ大学2校の出身だという。

Qihooは中国最大の無料セキュリティとウェブブラウザのプロバイダであるが、先週Smart Buttonを発表した。同社の紹介に基づくと、Smart Buttonの機能はQuick Buttonとほとんど同一だそうだ。そう、Pressyからの違いも含めてだ。

Qihooはエンジニアのコンテストから出てきたプロジェクトで、4人の大学新卒者によって設計されたものだという。ボタンはサードパーティーのメーカーによって作られ、価格は10元以下(1.5米ドル強)の予定だ。

smartbutton

Pressyは彼らのアイデアがここまで広がって中国の大手インターネット企業にまで採用されたことに驚いた。彼らはこのようなことが中国で日々起こっているとは知らないのだ。Qihoo(奇虎)のSmart Button(360智鍵)がリリースされ、当然ながらローカルメディアはQuick Buttonにこうした巨大企業とどう戦っていくつもりなのか、質問し出した。

たとえQuick Buttonがアイデアを思いついた時期について嘘を言っていないとしても、クラウドファンディングサイトの画像や詳細にわたる動画は実はあまり大したことではない。興味深いのは、Quick Buttonがクラウドファンディングプロジェクトの完了から1か月後にガジェットを発送するという約束を果たせなかったという謝罪文を1月19日に投稿したことだ。

彼らの挙げた理由としては、旧正月に早く帰省したいあまりに契約製造業者の従業員が「手抜きをし、粗悪な素材を使った」ため、生産したおよそ1万個のボタンに欠陥があったということだ。

Quick Buttonは発送日を2月20日に延期し、一方QihooのSmart ButtonはPressy Buttonと同時期3月中に出荷可能としている。

いったいどの企業が一番最初に商品を発送するのだろうか?

中国系ウェブデベロッパーは、欧米のインターネット製品を1ピクセルまで全く同じコピー品を作るということについて悪名高い。今やクラウドファンディングプラットフォームを用いれば、製品を作る前に資金と初期ユーザを獲得することができる。

Pressyのように最初に公に発表されたアイデアにとって、そのアイデアを模倣した企業が彼らより先に製品(良いものもあればそうでないものもあろう)を発送できる可能性があることは恐ろしいことだ。今のところ、Pressyはそれらのパクリ企業が実際の製品を準備できているとは考えていない。

クラウドファンディングのエコシステムは、ニセモノがまかり通る場所ではないようだ。このエコシステムにとって、支援者はとても重要だからだ。彼らが資金と愛情をもって支援したアイデアが、実際にはよそから盗んだことがわかった時の支援者の反応は興味深いものとなるだろう。

貪欲なベンチャーキャピタルであればただのコピーに投資するのを気にしないだろうが、Kickstarterのようなプラットフォームでのアイデア支援者は何かの製品や見返りを求めているだけではない。Pressyに支援した中国人は、製品がニセモノであると判明した時は即刻返金を求めると述べた。

さらに、支援者たちは自分が支援したアイデアに多大な期待を寄せている。Quick Buttonの支援者―彼らはそれがコピーであることに気付いているかはわからないが―の中には、当初の予定であった発送時期が延期され、今やチームを詐欺呼ばわりする人も出てきている。

【原文】

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