HackOsaka 2014: コンペティションの優勝者は、Google Glass向け翻訳アプリを開発中の「Waygo」

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2014.2.23

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これは19日大阪で開催された、スタートアップ・カンファレンス「HackOsaka 2014」の取材の一部だ。

HackOsaka 2014 のクライマックスとなる最後のセッションでは、スタートアップ10社がピッチを行った。入賞上位に輝いたスタートアップを紹介したい。

Gold Prize: Waygo

(副賞:50万円と、British Airways 提供によるロンドン往復航空券、トロフィー、Pebble Watch)

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Waygo CEO/founder Ryan Rogowski

Waygo は OCRを使った翻訳アプリだ。スマホのカメラを中国語にかざすと、インターネットにつながっていなくても翻訳して読み取ることができる。これまでにも、Echelon 2013 や Innovation Weekend Grand Finale 2013 の記事でも取り上げているので、我々の読者の中には既に知っている人も多いだろう。昨年には 500Startups のインキュベーション・プログラムに参加し、その後、90万ドルの資金調達を成功させている。

CEO の Ryan Rogowski が共有してくれたニュースが2つある。中国語→日本語に変換するバージョンが近々リリースされるということ、そして、Google Glass 向けの Waygo アプリのプロトタイプを開発中ということだ。メニューや看板を翻訳して読み取る上で、もはやスマホをかざす手間も必要なくなるわけだ。

半ば成功のステップを歩んでいて、既に創業者達が世界中を飛び回っている Waygo が Gold Prize を獲得したのは、シード前のスタートアップにチャンスを与えるという観点からはやや予想外だったが、それがコンペティションの公正さというものだろう。彼らのアプリがロンドンで受け入れられれば、ヨーロッパからアジアへの旅行者も増えるかもしれない。大いに期待しよう。

Silver Prize: TransferGo

(副賞:30万円とトロフィー、Pebble Watch)

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TransferGo Co-founder/CEO Daumantas Dvilinskas

世界には、家族が国外に居て、出稼ぎ先から送金するようなニーズが結構ある。銀行を使うと国際送金手数料が高いので、Western Union のような送金業者を使ったり、海外出稼ぎが多いフィリピン等では、モバイルで生活費を送金したりすることも極めて一般的だ。

リトアニアのビルニウスと、ロンドンに拠点を置く TransferGo は、国際送金を安価にするスタートアップだ。A国→B国に送金する際、次のような流れにになる。

  • ユーザは A国にある TransferGo の口座に送金(ユーザには、国内の振込手数料しかかからない)。
  • TransferGo はB国の自社口座から、翌営業日にB国の受取人に送金。

送金手数料は £2.50(約430円)/回+送金額の1.5% となっており、同社にとっての実質利益は70%と値は高い。一見、マネーロンダリングを助長するかのような雰囲気を伺わせるが、サービス提供国の金融当局からは、それぞれ免許を取得しているとのことだ。

2013年5月にローンチ、ローンチ当初の月間取引件数は941件だっだたが、2014年1月には6837件に達した。現在、2.1万人のユーザが居て、98% は友達に勧めたいと言っているとのことだ。現在はヨーロッパで展開しているが、近い将来、他地域への展開を検討しており、まずは最初にアジアでローンチを目指すとのことだ。

Bronze Prize: StudyPact

(副賞:10万円とトロフィー、Pebble Watch)
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StudyPact はユーザに学習機会の達成を促し、掲げた目標を達成できればお金がもらえ、達成できなかったらお金を支払うサービスだ。例えば、1週間で2時間、英会話の勉強をすることを目標に掲げ、達成できたら5ドルもらえるように設定したとする。達成したら5ドルもらえるが、達成できなかったら5ドルを支払い、この5ドルのうち半分の2.5ドルは応援してくれた他ユーザに分配され、残りの2.5ドルは StudyPact が受け取るしくみだ。

より効果的な学習環境を提供するため、DuolingoAnkiMemriseCourseraEdx などの学習教材プラットフォームと提携する。Anki を導入したプロトタイプが2週間後にリリースされる予定で、Android、Chrome、FireFox、iPhone 向けのアプリを開発する予定だ。Open Network Lab のアクセラレータ・プログラムに参加しているということなので、数ヶ月後に開催される同インキュベータの第8期のデモデイで、どのような成果を見せてくれるか楽しみだ。

Crosscorp Prize: Slumbor

(副賞:シンガポール、ジャカルタ、デリー、ホーチミンシティなどにある、Crosscorp のコワーキング・スペースが1年間無料で使える権利)

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AnSing Technology CEO Dr. Hu Junhao

Slumbor はシンガポールを拠点とするスタートアップで、枕の下にマットタイプのセンサーを配置することで、さまざまなバイタルデータを取得する。BLE (Bluetooth Low Energy)で取得した値をスマートフォンに転送、病気を予防することを目的としている。2014年1月〜5月、中国・深圳の IoT 専門インキュベータ「HAXLR8R(ハクセラレータ)」のプログラムに参加しており、その後、Kickstarter で資金調達を図りたいとしている。

入賞したのは以上4社のスタートアップだが、それ以外に注目に値するスタートアップを2社見つけたので、この機会に紹介しておきたい。

Ontrox

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Ontrox CEO 有田和樹氏

大阪に拠点を置く Ontrox はビッグデータを使って、交通渋滞の緩和を狙うスタートアップだ。ビッグデータを活用すると、さまざまな都市で見られる交通渋滞に一定のパターンが見受けられるという。Ontrox のアドバンテージは、同社固有の技術を使ってそれを見える化し、通常は長い時間がかかる計算をミリ秒単位で完了できる点にあると言う。

同じ技術は、コンピュータ・ネットワークのデータ・トラフィックを分析・最適化したり、ECサイトのユーザ行動を分析したりすることに活用できるとのことだ。JETRO の SVIP(Silicon Valley Innovative Program)の10社のうちの1つに採択され、シリコンバレーから全世界に通用するサービスのローンチを目指している。

Warrantee

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大阪に拠点を置くスタートアップの Warrantee は、数々の製品の保証書の電子化を目指している。製品を購入したとき、その製品に対する補償を有効にするには、必要事項を所定のフォーマットに記入して郵送したり、オンラインで入力したりする必要がある。しかし、この作業は面倒なので、実際には保証登録をしないまま製品を使い続けているユーザは多いだろう。

この登録作業をワンストップで提供するのが Warrantee だ。必要項目を予め入力しておけば、異なる複数のメーカーの複数の製品に、簡単に保証登録を完了することができる。メーカーのみならず、小売店が有償で追加補償サービスを提供するケースも多いので、これらの追加補償サービスへの登録をユーザに促すことで、Warrantee は小売店から一定の手数料を得られることを期待している。加えて、集まったユーザ情報を小売店は、新製品の発売や売出情報の告知に使うことができるので、プロモーションの観点からも、小売店から費用を徴収することができるだろう。


本稿で紹介したスタートアップは、いずれも、我々が日常的に東京で出会うスタートアップとは違った志向を持っていて、発想がユニークだった。その一つの理由は、彼らのうちの数社は、日本以外の市場からやってきていること、もう一つの理由は、数社は大阪を拠点としていることだろう。日本国内と海外でスタートアップの性格が異なることは容易に理解できるが、同じ日本国内でも、地域によって、違った視点が生まれることに改めて驚かされた。

今後、彼らの多くが、さまざまなイベントや THE BRIDGE 上で取り上げられる機会を楽しみにしたい。

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