ベンチャーと大企業の協業に向けて−−福岡のからくりもの×西日本鉄道のコラボで生まれたバスの乗換えアプリ【前編】

Eguchi Shintaro by Eguchi Shintaro on 2014.2.27

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2013年12月22日、福岡を拠点に活動しているからくりものが独自に開発した、バスの乗り換えアプリの『バスをさがす 福岡』がきっかけとなり、西日本鉄道の公式アプリとして『にしてつバスナビ』を開発するために、両社が協業することとなった。協業に至る経緯や地方で起業することについて、からくりもの代表取締役社長の岡本豊氏に話を伺った。

福岡を拠点にリモート開発

からくりものは、2012年に設立したスマートフォンアプリ開発の企業だ。学生の時から起業したいと考えていた岡本氏は、大企業に就職後3年で、独立。退職後に、友人から福岡が居心地がいいという話を聞いて福岡に移住した。フリーのプログラマーとして活動し、2010年頃から受託でiPhoneアプリ開発を始めことがきっかけでアプリ開発に取り組見始めた。福岡でアプリ開発ができる人が重宝されるようになり、一人ではなく仲間で開発しようと考え2012年4月に5人で会社を設立した。

メンバーは5人のからくりものだが、一つのオフィスに全員はいない。いわゆるリモート開発の会社で、メンバーの一人は東京にいるという。筆者が取材に伺ったときも、岡本氏一人がシェアオフィスでスペースを構えていた。

「リモートでも仕事はまったく問題ありません。もちろん、定例で日々の進捗を共有したりハングアウトなどで顔を合わせたりしています。メンバーの4人は福岡にいるため、週に一度集まれる人は集まって会議をしたりご飯を食べたりしています」

「ほしい」がきっかけとなったアプリのアイディア

会社を設立してすぐの2012年8月に、開発合宿を行った。チームワークを高め、メンバー一人ひとりが新しい技術や取り組んでみたいサービスを開発することを目的としていた。

「合宿の数ヶ月前から、どういったものを開発しようか議論していた中で、自分たちの普段の生活で不便だと思ったものを軸に考えたのが、バスの乗り換えサービスでした」

福岡は、市内に2000台以上のバスが走り、その台数は日本一といわれている。そのため、移動手段のほとんどはバスか地下鉄だ。地元の人はよく使う路線を記憶している人も多いが、バスの路線図がわかりにくくく観光客などは理解しずらい。福岡以外の地域から移住してきた岡本氏ならではの課題と、その課題を解決するためのサービスと言える。

当初、バス停の位置を調べることができなかったが、オープンデータになっている国土地理院の情報と西鉄バスのWebサイトの情報をもとに開発を行ない、その後、数ヶ月の開発の微調整を行ない、2012年11月12日にバスの乗換え案内アプリ『バスをさがす 福岡』をリリースした。どの路線番号のバスに乗ればいいか、目的地に何時に着くのか、運賃はいくらか、待っているバスは、今どの辺りか、どのバス停に止まるのかなどの機能が用意した。

ベンチャーと大企業による協業で生まれたアプリ

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リリース後はSNSなどの発信に止め広告などは行わなかったが、リリース後一ヶ月で5000件近いダウンロードとなり、一年後には5万ダウンロードを突破。Mashup Award9にも出場し、見事シビックハック賞を受賞するなど評価を得た。

その頃、西日本鉄道にもアプリの様子が伝わり、話をすることとなった。岡本氏は、アプリ内で路線の情報などを示すことができなかったので、その情報をAPIとして公開してほしい、という話をするつもりだったが、担当者の方がアプリを気に入り、同様のものを公式アプリとしてリリースしたい、といった話となったという。

「西日本鉄道は、福岡の大企業の一つです。その大企業が、こうしてベンチャーがやっていることにフットワーク軽く話を聞くということが素晴らしいと感じました。西日本鉄道は公式アプリをもっていなかったので、何かアプリを作っていきたいと考えていたタイミングだったそうです。

そこで、現状の『バスをさがす 福岡』の開発を最小限にとどめながら、西鉄バス公式アプリとして新しく開発するのを、自社が全面的に請け負う形となりました」

M&Aではなく、ベンチャーが開発したサービスをきっかけに、大企業の新規受託案件として依頼する形で、開発も一から作りなおし『にしてつバスナビ』は完成した。公式アプリに際して、乗換検索、日時指定検索、高速バスの対応、住所と住所でバスが検索、などが実装され、公式でしかできない機能となっている。

開発ソース自体はからくりものが保有しているため、西鉄バス以外のバスサービスを開発することも可能だ。別アプリ扱いのため、現在はすでに『バスをさがす 福岡』はAppStoreから削除されており、『バスをさがす 福岡』内でも『にしてつバスナビ』への誘導を行っているという。同時に、Android版もリリースしている。

後編】に続く。

Eguchi Shintaro

Eguchi Shintaro

ヒト、コト、モノをつなぐ編集者。ビジネスからデザイン、法律関係など分野を横断して動いています。THE BRIDGEでは、地方の起業家の取材や、ベンチャーに関わる法案や行政の動きなどを追いかけています。

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