AKB48に代表されるようなファンビジネスと、テック系スタートアップで注目を集める映像コンテンツ、この2つを掛けあわせたようなサービスが昨年に登場している。
2013年11月にDeNAがリリースした「Showroom」は、アイドルやタレントといったパフォーマーがスタジアムを模した仮想のライブ空間で生配信を行うサービスだ。
ブラウザとiOS / Androidアプリからパフォーマーの生配信番組を視聴でき、会員登録をするとパフォーマーに対するコメントの書き込みやデジタルアイテム(ギフトアイテム)をステージに向かって投げ込む機能(ギフティング)などを利用することができる。
出演するパフォーマーが続々と登場し、日増しに勢いを増す新サービスとは一体どのように生まれたものなのか。今回、Showroomの事業責任者であるDeNAの前田裕二氏にインタビューを行った。
自分にしかできない価値の提供を
前田氏は、新卒で外資系証券会社に入社。しばらくニューヨークで勤務していた。その頃、彼は日米中韓を中心にスタートアップが莫大な資金を調達する案件を数多く目の当たりにしてきた。
株式市場において数千億規模の資金を運用する機関投資家と仕事をしてきた前田氏は、自身のキャリアについて考えなおすきっかけがあり、起業を考えるようになる。
その後、証券会社を退職。一刻もはやく起業をして、自分にしか生めない価値を創ろうと、日本に帰国。就職活動時、DeNAにも内定しており、南場智子氏と面識があった前田氏は自分が考えている事業の相談に向かった。
「最初は、自分で投資家から資金を集めてサービスを立ち上げようと思っていました。ですが、南場さんに相談したら、「うちでやりなよ」という話をされ、DeNAに入社することになりました。」
Showroomの強み
前田氏はShowroomを立ち上げる。前田氏が考えているShowroomの強みは、以下の3つだ。
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・近接性
・存在感
・参加感
Showroomでは自身を模したアバターが画面上に現れ、そのアバターから言葉が発せられているように表現される。このインタラクションのリッチさが、従来の動画サービスとは異なると前田氏は考えている。
一番の特徴は「ギフティング」だろう。ギフティングとは、パフォーマーがパフォーマンスをしている仮想ステージに向かって一部有料のデジタルギフトを投げ込む機能を指す。ユーザは気に入ったパフォーマーのライブ中継を視聴し、ギフティングやコメントを通じて応援することができる。
スターが生まれる場所を
「スターが生まれる場所を作りたかった」と前田氏は語る。
「ニューヨークには街中にストリートミュージシャンが溢れています。中にはストリートでの演奏だけで生計をたてる人も。以前から、ストリートミュージシャンが活躍できる場所はウェブ上にあってもいいよね、と思っていました。彼らの才能が見出されるチャンスを増やし、世にもっと送り出すことができたら、世の中にもっとインパクトがあるのでは、と考えていたんです。」
ギフティングというビジネスモデルに惹かれたことに加え、才能が世に送り出されやすくする仕組みを作りたいと考えていた前田氏はShowroomというサービスを立ち上げるに至った。
Showroomというプラットフォームを作り上げることで、パフォーマーが努力を重ね、ファンに支えてもらうことができれば、脚光を浴びられるようにしたい、と前田氏は考えている。
「日本のエンタメ業界に、機会の平等をもたらしたいと考えています。」
そう語る前田氏。Showroomは近々、MUGENUPとコラボして世界的に見ても初の取り組みを実施する。その連携についても本誌で取材を行っており、後日掲載予定だ。
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