ローンチからの10日間で60万PV超を達成、旅のキュレーション・メディア「旅ラボ」が目指すもの

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インテリアのiemo、女性向けのmeryなど、ライフスタイル提案型のキュレーション・メディアのローンチが、このところ相次いでいる。コンテンツをスクラッチで作り出す手間をかけず、読者への見せ方と提案力で勝負するというものだ。もともとはアメリカの Upworthy あたりに端を発する手法ではあるが、日本でモバイルのニュース・キュレーション・アプリ(GunosySmartNewsKamelioVingowNewspicks)が全盛を極めていることを考えると、キュレーション・メディアはアメリカ以上に、日本のユーザのニーズに合致しているのかもしれない。

2月22日、旅のキュレーション・メディア「旅ラボ」がローンチした。このプロジェクトを立ち上げたのは、これまでにも THE BRIDGE で取り上げた成瀬勇輝と、久志尚太郎という二人の青年だ。彼らに共通するのはアメリカでの留学経験、世界を旅する人であり、さらに二十代にして複数回の起業を経験している、ということだ。ある意味では世界を知る彼らが、このタイミングでキュレーション・メディアを始めた理由は何だろう。二人に聞いてみた。

世界の文化や風景を紹介するなどして、旅に出ることを誘う本やメディアはたくさんあります。一方で、旅行代理店や予約サイトに行くと、ツアーのパンフレット程度のものしか置いていない。つまり、ユーザにモチベーションを持たせるポイントと、旅に出るために実務的なアクションを起こさせるポイントの間がつながっていないのです。ここをシームレスにつなぎたいと考えています。(成瀬氏)

旅ラボのサイトを見てみると、右上に「世界を感じる」「世界を知る」「世界に行く」の3つのタブ項目が用意されている。「世界を感じる」にはキュレーションされたコンテンツ、「世界を知る」には独自コンテンツが集められ、そして「世界へ行く」では実際に旅を販売する予定で、この部分で旅ラボはマネタイズを図りたいと考えている。

UBER は利用者とタクシー会社の間に入って需要を仲介しているが、ここで重要なのは UBER が決済を取っているということ。決済を取ることで莫大な購入履歴を手にすることができ、それをもとに新たなビジネス展開が可能だからです。旅を販売する上で、自ら免許を取って旅行代理店を営むか、他社と協業する形をとるかは未定ですが、決済を取ることがこのビジネスでは重要だと思っています。(久志氏)

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旅ラボの共同創業者の2人、
成瀬勇輝氏(左)と久志尚太郎氏(右)

旅ラボがターゲットにするのは、ティーンネイジャー後半〜30代前半のデジタルネイティブの人たち。旅好きな層はもとより、これまで旅に出ることが無かった人も積極的に取り込みたいとしている。当初、二人からは「可処分所得×%程度の人をターゲットにしたいと思っている」というような回答を期待していたのだが、旅ラボによって〝旅へ出るまでのプロセス〟が変わる以上、それは当てはまらないようだ。

つまり、これまでは「お金が××万円貯まったので、この予算内で行ける面白そうな海外」という漠然とした思いから、ツアーのパンフレットに目を通して目的地を決める人が多かったかもしれない。旅ラボを使えば、おそらく最初に目的地が確定し、それからその旅に出るためのお金を貯める、というモチベーションも生まれるだろう。

UBER がそうであったように、既に存在する市場をインターネットでより便利にする過程は険しいかもしれないが、限りない可能性を秘めていると信じたい。

クラウドの力を武器に、ローンチ10日間で60万PV超を達成

ウェブサイトのUIに目をやってみると、アメリカのデジタル・ニュースサイト「QUARTZ」(THE BRIDGE でもいくつかの翻訳記事を掲載している)にそっくりなことがわかるように、旅ラボは日本の内外で評価の高い事例から良い要素を徹底的に取り込んでいる。これもまた、彼らの戦略だ。

現在は一日に2本くらいのペースで記事をアップしていますが、裏では常に数十本位の記事をストックしています。多くの人に読んでもらうためにはタイトル決めが肝要だと思っており、このプロセスでは、〝アンバサダー〟と呼んでいる120人位の人に協力してもらって、一本の記事に対して50個くらいあるタイトルの選択肢の中から最良のものを決めるようにしています。(成瀬氏)

2月22日のローンチから10日間で、旅ラボのアクセス数は60万PVを超えた。ローンチから1ヶ月後には300万〜500万PVを達成し、最終的に月間1億PVを目指したいと鼻息は荒い。

同社は、二年後に数十億円規模でのイグジットを目標に掲げている。既に複数のエンジェル投資家からの資金調達を模索しているようなので、近いうちによいニュースを伝えられるのを楽しみにしたい。

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