第9回サムライベンチャーサミットで出会った、3つの素晴らしいアイデア

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この週末、東京の日本マイクロソフトのオフィスでは、第9回サムライベンチャーサミットが開催された。これは、サムライインキュベートが年に二度開催するスタートアップ展示イベントである。

このイベントは、インキュベータなどがまだ発掘していない、シード中のシードのスタートアップを見つけるのに絶好の機会だ。イベントで目に留まったスタートアップを、いくつか見てみたい。

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Wine It!

wineit_screenshotWine It! は、ワインボトルのラベルをスマートフォンのカメラで撮影することで、そのワインの銘柄を検索することができるアプリだ。ソムリエが作成した約1.1万件のワインの銘柄データが登録されており、品種、産地、そのワインに合う食事などの説明が表示される。

読者の中には、似たようなアプリとして Sakenote を思い出す人がいるかもしれないが、Sakenote ではユーザが酒を楽しんだときの体験を自ら記録させるのに対し、Wine It! は酒の情報を調べる百科事典的な色合いが強い。データベースに登録されていなかった銘柄については、そのラベル情報がソムリエに伝えられ、後日データベースに情報が追加されることになる。

Wine It! はまだマネタイズしていないが、将来的には日本酒定期購入サービスの SAKELIFE のようにコマースに結びつけることも可能だろう。

同社は以前の記事で紹介した Flip Friday と同様、NTTドコモと世界最大の広告代理店・電通のジョイントベンチャーである、D2C でインキュベーションされたスタートアップだ。

STARted

started_at_svs9アパレル業界やファッション・デザイナーを志している人なら、誰しも自分のブランドの洋服を世の中に出したいと思うものだろう。しかし、それを実現するには、(1)デザインを元にパタンナーに型紙を起こしてもらい、(2)その型紙をもとに洋服を作ってくれる縫製工場を探し、(3)出来上がった商品を小売店舗やEコマースのストアフロントに置いてもらう必要がある。

洋服のデザインを手書きしてアップロードするだけで、(1)〜(3)の一連の業務を請け負ってくれるのが STARted だ。2014年夏のローンチを目指してクローズドテスト中であるため、詳細は今後の動向を見守る必要があるが、仮にクラウドファンディングのようなしくみと組み合わせることができれば、デザイナーは大きな資金を集めて一か八かの賭けに出る必要がなくなり、ユーザ・バリデーションを実践しながら、有望なブランドを育て上げられるプラットフォームになり得るだろう。

edulio

edulio_screenshot今月に入って、日本でも本格的な MOOC プラットフォームが開設されるなど、オンライン講義はキャズムを越えつつあるような印象を受ける。MOOC の一つ目の O が open の頭文字であるように、広く市民に開かれた教材や学習機会を提供できることが MOOC の定義である。では、研修会社や学習塾が生徒に対してのみ、つまり、クローズドにオンライン講義を提供するには、どうすればよいのだろうか。

edulio はクローズドなオンライン講義を提供するためのプラットフォームだ。研修会社、企業内研修、学習塾など約180社が利用しており、自社の社員や生徒向けに動画・音声・スライドなどを使ったオンライン講義を提供し、学習進捗のトラッキングや、試験の実施、成績の管理等ができるダッシュボードが備わっている。

新経済サミットで Youngme Moon が言っていたように、オンライン講義ではユーザが学習を強制される要素を伴わないため、ユーザに自発的な学習の継続を促すしくみづくりが重要だ。edulio では現在、同じ講義を受けているユーザの間で学習の達成感を共有させており、今後、この点の機能強化に注力するようである。


イスラエルを扱うパネルで熱弁する榊原氏(最右)。
イスラエルを扱うパネルで熱弁する榊原氏(最右)

なお、サムライインキュベートの代表を務める榊原健太郎氏は、まもなく活動の拠点をイスラエルに移し、今後数年間にわたって、当地でインキュベーションを実施することが明らかになっている。

イスラエルのスタートアップ環境を紹介するパネルディスカッションでは、日本とイスラエルのスタートアップ・エコシステムをつなぐことの意義について、榊原氏が熱意を持って語っていたのが印象的だった。

スタートアップ・ハブとしてのイスラエルのポテンシャルや、榊原氏のイスラエルへの思いについては、以下の記事を参考にしてほしい。

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