予約ページを自動化するCoubic(クービック)がローンチ、DCMとGREE Venturesから5,000万円を資金調達

Masaru IKEDA by Masaru IKEDA on 2014.4.25

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今月10日、新たなスモールビジネス向けのクラウドサービス「Coubic(クービック)」がローンチした。Coubic が提供するのは、企業や店舗向けの、顧客からの予約を受け付けるウェブページのプラットフォーム。モバイルサイトが簡単に作れる Strikingly の予約ページ特化型版と捉えればよいだろう。今回のローンチを受け、17日には、DCMGREE Ventures から5,000万円を資金調達したことを明らかにしている

企業や顧客から予約を受け付けるなら、シンプルな CGI を搭載したウェブサイトを作ったり、Google Drive でフォームを使ったりすれば、容易に実装できそうなものだ。このニッチなニーズに付加価値を付けることができるのだろうか。最近、渋谷に移転したばかりの新オフィスに共同創業者兼CEOの倉岡寛氏を訪ね、サービスの戦略を聞いてみた。

使い勝手のいいサービスが不在だから、レッドオーシャンでも戦える

どんな企業にも共通して必要なバックオフィス業務がある。ここ数年で、日本でも多くのスタートアップがクラウドでこれらの業務を提供するサービスに参入してきた。主要なところだけを整理してみると、

これらのサービスの特徴は、パソコンやインターネットの知識が無くても操作でき、タブレットやスマートフォンでも業務が完結できる点だ。では、フロントオフィス業務はどうか。

  • マーケティング … ???
  • 顧客とのアポ、時間予約管理 … Google Docs のフォーム等で受付 → Excel 等でカレンダー管理 → 大企業であれば、SalesForce への取込など

ここまで見てわかるように、フロントエンドの2つについては、一つのソリューションで完結できそうな、名の通ったクラウドサービスが存在しないのだ。もちろん、Google Docs のフォームで受け付けた予約を、自動的に Google Calendar へ取り込むような芸当も可能だが、Google App Script でコーディングする必要があるので、素人にはハードルが高い。

つまり、方法は数多くあるという意味ではレッドオーシャンだが、中小企業やスタートアップ、フリーランサーが自由に使いこなせるものではない。そこで、予約を受け付けるウェブページ環境に特化して、Coubic をローンチしたというわけだ。

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倉岡寛氏

お客さんとのアポ、時間予約管理について、どのツールを使っていいか明確な解が無い状態。

我々のサービスはそこにフォーカスします。(倉岡氏)

Coubic を使っている業種は、ヘアサロン、ヨガスタジオ、料理イベント、弁護士や会計士等の士業などさまざまだ。彼らの顧客は、自サイトにリンクした Coubic の予約ページから、空いている時間に予約ができるようになっている。事業者には専用の iOS アプリが提供されていて、お客さんの予約が受け付けられると、スマートフォンにプッシュ通知が届く。アプリで開いた管理画面から、そのままお客さんに確認の電話をすることもでき、Google Calendar へも自動連携できる。

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Coubic を利用している、さまざまな業種(一部)

予約をしてくるお客さん向けのインターフェースは、レスポンシブなのでスマートフォンでもタブレットでも対応できます。また、事業者向けのダッシュボード画面もスマートデバイス対応なので、予約ページの開設から日々の予約管理まで、すべてをパソコンを使わずに行うことができます。(倉岡氏)

予約状況を確認するダッシュボードでは、予約してきたお客さんを軸とした情報が表示されるので、その人が何回目の何ヶ月ぶりの来社/来店かも容易に知ることができる。つまり、予約情報の集積がある種の CRM(顧客関係管理)を形成してゆく、という考え方だ。

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Coubic を利用する事業者向けの iOS アプリでの操作

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必要不可欠な存在ではない分、大きなパイを狙う

前述したバックオフィス業務は、企業にとってもスモールビジネスにとっても必要不可欠なサービスだ。方法はともあれ、何らかの形でこれらの業務を遂行できないと、事業の存続さえ危うくなる。

対して、フロントオフィス業務は売上には直結する(プロフィットセンター)ものの、なんとかなる部分である。クラウドサービスを使えば利便性は向上するが、必要不可欠というほどのものではない。

会計などのクラウドサービスに比べれば、(必要不可欠というほどでもない)Coubic のサービスは、高い料金がとれるものではありません。したがって、ユーザのパイを大きく抱える必要があります。お客さんからの予約を受け付けるというニーズは、どの国のビジネスにも存在しますし、幸い、会計などに比べると、国ごとの法令や商習慣の違いの影響も受けにくいので、国際展開もやりやすいと考えています。(倉岡氏)

このような考えから、Coubic はローンチ当初から日本語以外に、英語と韓国語に対応している。アジアを初めとする世界各国へのサービス展開の可能性を既に模索している。

この分野には、今年2月にモバイルカード決済の Square に買収された BookFresh が存在するが、予約するお客さん側と予約される事業者側の両方のインターフェースを、モバイルで完結できるよう最適化しているという点をふまえれば、Coubic にとって世界的にもライバルは皆無のようだ。DCM や GREE Ventures による出資も、Coubic の世界展開に有利に働くだろう。

Ex-Googler が考える、サービスが創り出す未来像

先週の日経に、Google 日本法人から輩出された起業家の相関関係を示した記事(日経はペイウォールがかかっているため、Yahoo にリンクしました)が掲載された。今月初め1.65億円を調達したイベントレジストの平山幸介氏や、今週8億円を資金調達した Freee の佐々木大輔氏など、THE BRIDGE でも馴染みの顔ぶれに混じって倉岡氏が並んでいる。

ローンチ直後のため、現在は無料でサービスが提供されているが、倉岡氏によれば、4月10日からの一週間で新規に1,000ユーザを獲得したということだ。今後は、お客さん来店時の会計手間を省いたり、不用意な予約キャンセルを防いだりする観点で、予約時の決済機能などの追加を検討している。しかし、レストランの予約サービスなどへの拡大については、「時間以外の複数条件の考慮が必要になる分野」であるため、トレタなどが競合となる可能性は否定した。

インタビューの終盤、倉岡氏から THE BRIDGE がバイリンガルで運営されている理由を尋ねられ、偶然にも Google で彼の上司だった Marissa Mayer(当時、Google UX 担当副社長、現Yahoo CEO)にまつわるエピソードを筆者が吐露することとなった。(このエピソードの詳細は、以前、TechWave の増田真樹氏が記事に書いてくれている。

日本から世界にサービスを輩出することは感慨深い。Coubic もその一つになってほしい。というわけで、筆者はこれから頑張って、本稿を英文に翻訳することにする。

Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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