福岡で生まれた、イスラム教徒の食生活とお祈りを支援するモバイルアプリ「HalalMinds(ハラールマインド)」

SHARE:

halalminds_featuredimage

2020年に開催が決定した東京オリンピックが後押しする形で、日本を訪れる観光客の数は増えつつある。彼らにどのような〝おもてなし〟ができるのかは、迎える側の我々に課せられた一つのテーマと言えるだろう。ムスリム(イスラム教徒)は世界人口の約4分の1を占め、この数は観光産業を考える上で決して無視できない規模だ。羽田空港に先月、祈祷室がオープンしたのも記憶に新しいが、ムスリムの友人らと市中のレストランに出かけてみると、依然として、アルコールが添加されていない醤油や、肉類が含まれていない料理を探すのは難しい。このような問題を解決すべく、ある起業家が立ち上がった。

福岡に拠点を置くスタートアップの九州ラボは、ユーザが商品のバーコードをスキャンし、データベースと照合することで、ハラール(イスラムで認められた食べ物)かどうかを判定できる Android アプリ「HalalMinds(ハラールマインド)」をリリースした。このアプリを使うことで、ムスリムのユーザは、スーパーや商店で買おうとする食品がハラールかどうかを簡単に見分けられる上、ハラール対応のレストラン、お祈りをするためのメッカの方向を調べる機能(キブラコンパス)が備わっている。日本には約15万人のムスリムが住んでいて、周辺国を見てみても、韓国には約15万人のムスリムが住んでいる。さらに日本には、年間120万人以上のムスリムが観光や出張で訪れており、九州ラボは、これらの人々を HalalMinds のターゲットにしたいとしている。

HalalMinds は、九州ラボのメンバーで、台湾、韓国、マレーシア、フィンランドでの生活経験があるインドネシア人学生 Agung Pambudi が開発した。彼は現在、九州大学の博士課程に通う傍ら、アプリの開発に精をを出している。

ムスリムである以上、我々はハラールを食べたり飲んだりして毎日を送る必要があります。しかし、豚肉やアルコールが食品に含まれているため、日本でハラールを見つけるのは難しい。さらに、肉もイスラムのルールに則って処理されていないと、ハラールではないと分類されます。我々は HalalMinds を日本だけではなく、世界中のユーザに使ってもらおうと開発しています。

ムスリムを対象にしたサービスは、潜在ユーザの規模から言って、宗教的に決して主流ではない日本でもマネタイズの可能性が期待できるだろう。HaladMinds に似たサービスを見てみると、昨年開催された「起業家甲子園」では横浜国立大学の学生達が C@ndy という名のムスリム向けの Craiglist を考案していた。シンガポールの Bitsmedia はお祈りの時間やキブラコンパス、ハラール対応レストランやコーランの読み上げの機能を備えたモバイルアプリ Muslim Pro をリリースしており、昨年3月の段階で400万ダウンロードを突破している。先日訪問したトルコには、ムスリマ(イスラム教徒の女性)向けのヒジャブ専門ファッションEコマースというのもあった。

HalalMinds は今月初めに Android 版がリリースされており、現在開発中の iOS 版のローンチは今月末に予定されている。

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録