ピクスタは否定派の予想を覆し、日本最大級のストックフォト販売サイトになった

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ピクスタ株式会社

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2005年に古俣大介氏が設立したピクスタの運営する「Pixta」は、アマチュアやプロの写真家が自分の写真をアップロードし販売できる日本で最も大きなストックフォトの販売サイトだ。同社は70名強の従業員と12万人以上いる世界中のストックフォト投稿者を抱え、現在日本最大級のマーケットシェアを誇っている。

また、昨年シンガポールに新しいオフィスを開設し、東南アジアに進出したばかりだ。

古俣氏が起業家精神を発揮するのはこのピクスタがはじめてではない。これ以前に、彼はコーヒー豆販売のeコマースサイトからデザインスタジオに至るまでいくつかの事業を立ち上げている。2003年には美容に関するeコマースサイトを立ち上げ、2年後には約100万米ドルの売り上げを達成させた。

しかし古俣氏は自身の美容eコマースビジネスではインターネットの真の価値を活かすことができないと考え同事業から撤退した。

「社会に新たな価値を提供するような新しい事業の検討を始めることにしました。偶然アマチュア写真家の写真集をいくつかみて、顧客と投稿者を繋ぐマーケットプレイスをローンチしようと決心したのです」(古俣氏)。

そうして2005年8月にピクスタは誕生した。ただ、その道のりはたやすいものではなかった。最初の3年間はプラットフォームに載せる高品質の写真を準備することができず、資金を提供してくれる投資家も見つからなかった。古俣氏は当時を振り返り「日本ではアマチュアカメラマンから写真を買うという考え自体がなかった」と振り返る。

人物の写真素材_カテゴリ__-_PIXTA

「私はたくさんのベンチャーキャピタリストの元へ足を運びましたが、ピクスタへの投資は断られました。自分の選んだ道が正しいのか不安になってきていました」(古俣)。

ピクスタが存続できたのはブートストラッピングによるもの、そして従業員と支援者からの応援があったからだ。

彼は諦めなかった。

そして2010年にピクスタはついにグロービス・キャピタル・パートナーズ(以下、グロービス)とPE&HRから70万米ドルの資金を調達することに成功する。2013年にグロービスからさらに70万米ドルの資金を調達したことで、このスタートアップは新たなる賭けに打って出ることになる。

コアメンバーの説得

daisuke

ピクスタに携わる前、内田浩太郎氏はストックフォト関連のビジネスを運営していた。内田氏が古俣氏のビジネスを知った際、ピクスタが提供している写真は良質ではないため上手くいかないだろうという記事をブログに投稿した。

古俣氏はその記事に興味を持ち、2人は会うことになる。古俣氏は内田氏に、ピクスタがあることで多くのカメラマンが新しい世界を切り開くことができるようになると語り、内田氏は2006年、ピクスタの一員となった。

もう1人のコアメンバーである遠藤健治氏は2010年に加わっている。古俣氏が大学生の時にインターンで参加したガイアックスで、遠藤氏はCTO兼共同創業者という立場だった。ガイアックスが上場した後、古俣氏は遠藤氏を説得してピクスタに加わってもらったのだ。

振り返ると、過去の経験と失敗がピクスタの成長過程で役立ったのだと古俣氏は語る。

「だって、コーヒー豆と女性の古着を扱うeコマースビジネスを始めていなかったら、ピクスタのアイデアは生まれてこなかったかもしれないのですから」(古俣氏)。

何がピクスタの成長を後押ししたのかと聞いたところ、ローカライズされたコンテンツだと古俣氏は答えてくれた。日本の企業は独特な画像を好む。他のプラットフォームやエージェントが比較的に一般的な写真を用いているのに対し、ピクスタでは画像が「日本」そのもので「日本」を感じられるものであるべきという考えに基づいて何年も運営を続けている。

PIXTA_Inc_

日本市場を制覇したピクスタは現在視野をアジアに向けている。アジア市場の展開拠点としてシンガポールオフィスを設立した。古俣氏はアジアの近隣諸国でも同様の画像が好まれるだろうと考えており、現在、国際チームは熱心に大量のアジアの画像を収集している。

「今年は当社がアジアにビジネスを拡大していく上で、とても重要な年になります。私たちはアジアの写真が必要な全てのデザイナー向けに、最も確実なストック写真のサービスを提供していきます」(古俣氏)。

同氏は収益について具体的な数字は明らかにしなかったが、2020年には1億米ドルの収益を獲得し、アジアのストック写真市場でトップになりたいとした。

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