遠隔地で仕事する「リモート・チーム」を構築するために必要な4つのポイント【ピックアップ】

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【ピックアップ】は世界のテク系スタートアップの資金調達やトレンド記事を概要と共にお届けします

4 ways to build a successful remote team

スタートアップにとって「あるある」なのが、初期メンバーの状況がまちまちで立ち上がりのタイミングで一気に集まってしまった結果、資金的にも精神的にも一気に限界点がやってきて崩壊してしまった、というものです。こちらのコラムでは時間に対する課題や考え方を書きましたが、今度は場所です。

リモート・チーム(遠隔地勤務)というのは、SkypeやAsanaなどのコミュニケーション、タスクツールといったオンラインサービスの充実、コワーキングスペースやWifi環境などのインフラの成長と共に現実的なものになった感があります。しかし、実際にやってみるとそう簡単ではないこともあります。

Venture Beatに掲載されていたこちらの記事ではリモートチームを「スタッフ、コミュニケーション、企業文化、生産性」の4つのポイントに整理して伝えています。私たちTHE BRIDGEのチームもそれぞれ色々な仕事を持っており、数年間この方法で運営を続けたという点ではリモートチームの典型例かもしれません。そういう経験も踏まえて私なりに整理してみます。

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チーム

記事にもある通りですが、まず適正があります。自分で時間や仕事をコントロールできる人でなければできません。ポイントは「その方法を知っているか」と「自分に厳しくなれるか」の2点です。

朝起きるのが面倒とか、ついつい怠けちゃうという方は、やはり多くの人がいる場所に出社して管理してもらった方がよいでしょうし、その過程で自分自身を管理する方法を学ぶべきでしょう。タスクのコントロールなどの方法は世に出回っている書籍、情報で学べば大概のことは分かります。

それと職種も重要です。私たち編集部の仕事は基本的に人に会ってお話を聞くのが仕事です。つまり、そもそも出社という移動時間に無駄が発生する人が多いのです。一方で私はこの編集部でエディタやライターのみなさんの管理も大切な仕事ですので、出社して作業することは効率的な仕事に繋がります。

つまり、それぞれの役割、職種によって移動時間が無駄なのかどうなのかを判断すればいいのではと考えています。

コミュニケーション

それぞれが自立したメンバーであったとして、全く顔を会わさずに仕事ができるかというとやはり難しいです。そこで重要なのがオンライン・オフラインでの定期的なミーティングです。記事には「15-minute daily stand-up call」とありましたが、短い時間でいいのでオンラインで繋いで顔を会わせ、それぞれのタスクを共有するのはいいでしょう。

ここでちょっとしたTipsですが、毎朝やるかどうかについてはその仕事内容に合わせて柔軟に変えてもいいかもしれません。

例えば営業のような毎日の予実管理が大切な場合は頻繁にコミュニケーションとった方がいいでしょうし、長期の開発のような仕事であれば3日に1回など「飛び石の距離」を調整した方が報告事項も増え、充実したショートミーティングになるかもしれません。

ちなみに私たちは各エディタと週次でオンライン・ミーティングや編集部会議を実施していて、それ以外はYammerなどのチャットツールでそれぞれのコミュニケーションを取っています。月次には全エディタが集まっての報告会などもあります。メリハリですかね。

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企業文化

個人の能力がしっかりしていて、コミュニケーションが取れていたとしてもこの企業文化の共有は大変難しいです。VBの記事では普段からビデオコミュニケーションしたり、書籍などの共有のアイデアを挙げていますが、私はこここそ、徹底的な言語化と可視化が必要なのかなと最近実感しています。

ちょうど、コロプラの五嶋一人さんが企業統合における重要事項として言語化と可視化の重要性に語ってくれていますが、これに近いものがあります。

例えば、THE BRIDGEでは読者を煽ってPVを稼ぐような記事は誰も書きません。これは目的がメディアボリュームを稼ぐことではなく、起業家とその周囲にいる方々を繋ぐ「架け橋」になることだ、ということをエディタ全員が理解して記事を書いてくれているからです。

しかし、こういうシンプルなコンセプトであってもサイト名を変えたり、言語化、可視化を試行錯誤しないとなかなか共有できるものではありませんでした。

生産性

タスクツールも重要です。大きく分けてコミュニケーション用のチャットツール、顧客管理などのCRMツール、それにタスク管理のツールが必要になってきます。ポイントは次の3点かなと思います。

  • 「共通の」ツールを増やしすぎない
  • 定期的にメンテナンスを実施してメンバーに意見を聞き、使い方の共有をする
  • 独自で開発はしない

例えば私たちは記事原稿についてはGoogle DocsやEvernoteなどそれぞれ使いやすいものを使っていますが、共通したツールは業務連絡用にYammerとAsana、コンテンツ管理にEvernoteとWordPressを使ってます。

原稿作業にはそれぞれの使い勝手があるので、最も効率的なものを使ってもらい、何か共有しなければならない時には最低限のルールを決めたツールを共有しておく、という方法ですね。覚えることも少ないですし、ルールが変わっても周知が早いです。

あと、陥りがちなのが独自ツールを開発しようというものですが、本格的な数万人規模の外部ソーサーを運用するMUGENUPのような規模のビジネスは別として、数人から十数人レベルであれば独自ツールは逆に課題が沢山出てきます。実際私たちも取り組んだことがあったのですが、結局、出てくるメンバーたちの要望に答えようとすると本格的な開発になるため、開発リソースが不足し、すごく中途半端な状態になってしまいました。

汎用サービスは運用面で我慢しなければならない箇所がでてきますが、大概は他の方法でカバーできるので、あまりそこにリソースを割かない方が賢明です。

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リモート・チームは変動要素の多いスタートアップに有益な方法

ビジネスモデルが明確な場合、スタートアップはある程度の時期を経たら一気に資金調達してリソースを拡大させ、市場を作るべく日々KPIを追いかければいいと思います。

一方で、新しい価値観、ビジネスモデルにチャレンジする場合は、初期のバーンレートをいかに低く下げたり、メンバーの融通が効きやすい環境を整えて長期の取組みに備えなければなりません。

リモート・チームと時間の考え方、つまりは「時間と空間」のコントロール方法というのは、変動要素の多いスタートアップが獲得して損のない考え方になるのではないでしょうか。

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via VentureBeat

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