クラウドワークスの年間流通額は20億円規模の見込み #IVS

Takeshi Hirano by Takeshi Hirano on 2014.5.23

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本稿は招待制のイベント「Infinity Ventures Summit 2014 Spring」の取材の一部である。

クラウドソーシングというビジネスが「新しい働き方」となって、生きる糧を得るための第三、第四の手段として定着して欲しい、私はそう考えてこのビジネスモデルをみている。THE BRIDGE自体、メンバーはみんなクラウド上だ。

だから、この話題を聞けたのは嬉しかった。クラウドワークスの年間流通総額が(累計の依頼総額ではなく)20億円規模に到達するというのだ。2012年3月のサービス開始後、約2年での数字だ。

流通総額ベースで億単位の金額に乗りつつあることを近い関係者に聞いていたので、クラウドワークス代表取締役の吉田浩一郎氏にIVSの会場で聞いたところ、それを認めた上で「このままの伸びを保てば今年の年間流通総額は20億円規模になる」と教えてくれた。

クラウドソーシングを取り巻く環境については、前回のIVSでランサーズ代表取締役の秋好陽介氏にもその課題を聞いている。

<参考記事> 1万人がクラウドソーシングで”食える”世界に立ちはだかる「見えない壁」ーーランサーズ秋好氏に聞く #IVS

そこで今回は吉田氏に引き続き近況と、取り巻く課題について聞いた。(質問はすべて筆者)

多分、吉田さんやクラウドソーシング全体が目指す市場規模から考えたら本当に登山の一合目ぐらいだと思うのですが、それでも順調に伸びているというのはいい情報ですね。要因は?

吉田:大企業向けに一社一社カスタマイズ対応してニーズに合わせた結果、継続的な発注がいただけるようになった、という側面はあります。中には数千万円単位で利用してくださるクライアントの方もいらっしゃいます。

注文する企業数やクラウドソーシングに参加する方の数はどのような状況でしょうか?

吉田:企業数は3万社を超えたところです。働く方の数は16万人を超えました。仕事の依頼総額という点では2年で96億円に到達してそろそろ100億円がみえてきました。

クラウドソーシングという市場はどこまで伸びるのでしょうか。働き方そのものですから、なかなか掴みづらいですよね。

吉田:約15年前、電子商取引って本当に使われてなくほぼゼロの状態でした。でも今は15.9兆円規模に成長しているんです。日本の消費すべてを合わせると283兆円という数字がありますので、約6%ぐらいに相当します。

なるほど。

吉田:これを同じく労働市場に重ねて考えると、給与予想に192兆円という数字があるのですが、その6%、約11兆円という数字がみえてくるんです。これを私は労働のオンライン化と考えています。給与と消費に差があるのは年金などの分だと予想はしています。

つまり、商取引が電子化したのと同じように労働もオンライン化できる、という仮説ですね。

吉田:ただ、国内だけでは足りないので海外展開も考えていて、今、英語の勉強してます(笑。年内には目処つけますよ。

さすがです。吉田さんならなんでもできそうな気になるのが不思議ですよね(笑。でもやっぱりクラウドソーシングというか新しい働き方の浸透には壁があると思うんです。今、吉田さんが考える一番の苦しいポイントってなんですか

吉田:企業が個人に発注するのはやはりいろいろ特別な考え方が働くようです。法的な部分や各種調整をすることである一定の責任を負担すると使って頂けるというのが状況です。

また、個人の働き手の方にはプロの自覚というものがやはり必要で、それも壁になっている可能性はあります。だから、研修などに力を入れているんですがね。

私なんかは新しい働き方を実践する仲間をみているので、この方法をもっと自由に選択できればと思っているんですけどね。この壁を超えるポイントってどこにあると思います?

吉田:過去の働き方のシフトって「派遣」というのがあったと思うんです。実はこれ、25年前のことなんです。派遣っていう新しい働き方が定着するまでにそれぐらいの時間がかかる。私はこの事業は20年かけて取り組むべきものなんだと思っていますよ。

でも、一方でAirbnbやUberのように空いたリソースをマッチングさせるビジネスは急成長していますよね。クラウドソーシングも空いた時間とのマッチングです。一気に雪崩が起こる可能性はまだまだあります。

テクノロジーで解決できる壁というのはあるのでしょうか?私はクラウドソーシングがダンピングだという人は単にマッチングがうまくいってないだけだと思っているんですよね。

吉田:クラウドソーシングって、人によって見方が分かれるところがあって、ダンピングだっていう人と、新しい人に出会えたとか、面白いとかいう人とに分かれるんです。これって20世紀型の労働と21世紀型の労働の分岐点なのかなと。

というと

吉田:今、HuluもSpotifyも、Kindleだってそう。10ドルとかそういう金額でコンテンツが手に入る。けど、それって製造原価から考えるとどんどん安くなっていってるんですね。つまりマーケットサイドからのリクエストで価格が決まってる。

人件費がいくらだからそこから割り戻していくらです、という価格設定が難しくなっちゃってる。そういう時代だということはまず認識すべき事実だと思います。

まあ、それがダンピングだという話に繋がりがちなんですよね。予算これだからそれでやって、という。

吉田:その認識の上で最低価格のラインを決めることは大切です。ただ、そのために別の評価軸が必要だとも考えているんです。

今、クラウドワークスにはありがとうボタンというのを付けていて、受発注の関係性の中で単なる価格ではなく、お互いのお仕事を通じた共感が可視化できるようになってきました。例えばこのありがとう、という共感を多く得ている方の範囲で最低価格を決める、などを考えています。

新しい働き方の方法談議はどこまでも続けられそうですよね。でもそろそろお時間みたいなので、今日はこのあたりで。ありがとうございました。

“summercamp"/

Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現THE BRIDGE)を共同創業。1977年生。(株)THE BRIDGE代表取締役

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