ニュースキュレーション・アプリ「Gunosy(グノシー)」がアメリカに進出、でも準備は万端?

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

2週間前、日本のモバイル・ニュース・スタートアップ Gunosy は、イギリス市場向けに英語版をローンチした。そして今日(原文掲載日:5月16日)、同社はアメリカでもこのアプリの iOS 版をリリースしたと発表した。今月末には、Android 版もリリースされる見込みだ。

同社は日本国外で8,000万件のインストールを目指しており、日本国内とあわせ全世界で1億件のインストールを目指したいとしている。日本のスタートアップが海外を目指すのは頼もしいことだが、現在のままでは、このアプリがあまりうまく行かないのではないかと筆者は考えており、その理由を3つ挙げたい。

1:見やすい画面がない…以前にも、筆者がこう思う理由を記事に書いた。Gunosy には要約だけをまとめた、読みやすい画面が存在しない。それとは対照的に、欧米のニュースアプリの大半には、そのような画面が用意されている。同じ記事を表示させた場合を Gunosy と Pocket で比べてみると、以下のようになる。モバイルでは、どちらが読みやすいだろうか。

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2:後発の優位性をムダにしている…Gunosy のように、市場に後から参入するスタートアップは、先発の競合の動向を見て、競合よりもうまくやる機会に恵まれる。Gunosy は何らかの理由で、何も気にすることなく、この競争に立ち向かおうとしているようだ。筆者の見解では、Gunosy のアプリは、(例えば)FlipBoard の現行版はおろか、2012年版とでさえ比べものにならない。

3:ユーザ・ファーストではない…試しに Gunosy から Pocket に記事を一つ転送してみた。それはうまく行ったが、Gunosy でシェアできるリンクは記事への直接リンクではなく、http://gunosy.today/r/gEqFt のようなフォーマットになった。筆者は当初、短縮URLか何かだと思っていたが、以下のように、実際にはそうではなかった。Gunosy のダウンロード・リンクが画面上部に表示されたプロモーション・ページに誘導され、スクロール・ダウンすると画面下部にもダウンロード・リンクが表示される。このやり方は、HootSuite のツールバーを彷彿させる。

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さて、Gunosy はどのような価値を提示してくれるのだろう? 正直なところ、筆者にはわからない。KDDI なら知っているだろうか? おそらく、KDDI には12億円を出資しただけの理由があるのだろう。

Gunosy では、プッシュ通知やリマインダーを一日の何度か異なるタイミングに設定できる。これは差別化にはなるが、大きなセールスポイントではない。

もし同社が日本国外でもうまくやろうとするなら、まずはユーザにフォーカスした改善を繰り返してみる必要があるだろう。

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