20億円規模のものづくり系ファンドもーー #IVS で聞く、Cerevo新体制が描く「国産ものづくりの未来」とは

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2014.5.22

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本稿は招待制のイベント「Infinity Ventures Summit 2014 Spring」の取材の一部である。

既報の通り、Cerevoは株主の一部変更を伴う経営体制の刷新を実施し、6月2日付けの取締役会を経て新たに小笠原治氏を取締役に迎える。

大型の資金調達の話題、Internet of Things(IoT)関連のインキュベーション事業、さらに人員の大幅強化による世界的なブランド展開など、いくつか聞いてきた話は、ここ数年バズワード的に語られてきたネット家電やmakers、IoTといった話を「俺たちで実りあるものに引き上げてやろう」という強い意志の現れなのかもしれない。

一方で私が知る限り、岩佐氏らが歩んできた道のりはとても平坦なものとは言えない。

常にフロンティアを突き進んできたCerevoが、更に未開の土地を開拓できるのか?そして具体的にCerevoに何が起こるのか。ーーInfinity Venture Summitの会場で時間をもらったので、Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏を交え、お二人に聞けるだけの質問をぶつけてみた。(質問は全て筆者)

なかなか複雑な話題ですので、私が取材した記事が正しいのかも含めて事実関係をもう一度教えてください。

岩佐:ブログで公開した通り、6月2日の取締役会を経て小笠原さんには取締役として経営に参加してもらいます。株の授受については記事に書かれていることで間違いはないです。大きめの資金調達も実際に計画中です。

CerevoはこれまでにCEREVO CAMのようなコンシューマー家電やLiveShellのような少し事業者向けのハードを作ってきました。今回の調達や体制変更をして具体的にどのような展開を考えているのでしょうか?

岩佐:まず、大きくは2つの展開を考えています。ひとつはCerevoブランドの強化と海外展開のさらなる加速。もうひとつがハードウェア系スタートアップのインキュベーション事業です。

確か海外販売比率高かったですよね

岩佐:商品にもよるんですが、多い商品は現在4割以上が海外です。これを売上比率ベースで8割近くに持っていくつもりです。それに伴い、IoTとハイアマチュア領域のプロダクト拡充は考えています。

ハイアマチュア領域って?

岩佐: 新しい概念になるんで説明しづらいですが、業務やプロの領域と、趣味が重なるぐらいのエリアの商品を指します。Cerevoが今手がけている動画関係、あとスチルカメラ。スノーボードやダイビング、バイクや楽器なんかもハイアマチュア領域があることがわかりやすいジャンルですよね。

業務やプロのローエンドと趣味のハイエンドすなわちハイアマチュア領域が重なると、市場が爆発的に伸びる。元がニッチなんでたいした規模じゃないんですけどね。最近だとDJIのファントムII(ドローン)とかGoProなんてのはハイアマチュア領域の典型的成功例ですね。

現在10名ほどの体制を一気に4倍近くまで増やすという話もありましたが、具体的にはどのような人員強化を考えているのですか?

岩佐:50名規模に拡大しようというのは本当で、グローバル・ニッチ戦略といってるんですけど、ニッチマーケット狙いの多品種適量生産の方向で進めてきたんですが、これがうまくいった。

だから、あとは同時に多品種を商品開発できるリソースがあればスケールできることが見えた。そんなわけで現在13名の体制を一気に4倍にして50名程度まで本年度中に増員する予定です。電気もデザイン&メカもアプリもインフラも、ほぼ全エンジニア職を募集中です。

ではインキュベーション関連はファンドの話とも重なるので、それと合わせて聞かせてください。まずIoT関連に注力するファンドについて、これはどなたが組成するのか、それと私が聞いた話ではそこからCerevoに対し、出資を実施するということですがそれで正しいですか?

小笠原:はい、GP(ゼネラルパートナー)が私です。現在では総額で20億円規模のファンドを夏頃を目処に組成中で、Cerevoにはそこから今後、急成長に必要な資金を投入する計画です。私がインターネット黎明期に起業した時、欲しかったグロースファンドをIoTで実現するイメージでしょうか。

なるほど、Cerevoだけではなく、それ以外のIoT系スタートアップにも投資をするということですね。ただ、小笠原さんはABBALabでクラウドファンディングを前提とした小額の投資を実施されていたはずですが、それとの棲み分けは?

小笠原:ABBALabではシードをみつけてそれを植えていく活動を引き続き実施して、IoT分野でのプロトタイピングや起業をハンズオンで協力していけるようにしたいと考えてます。

ハードってほら、ご存知の通りなかなかハードルも高くてスマホアプリのようにぽんと作れるものじゃないんですよね。だからこそ、ABBALabでは資金や環境でやらない言い訳をなくしたいんです。

ではCerevoで実施するインキュベーション関連の事業というのは?

岩佐:Cerevoではそこから次ですかね。国内外のクラウドファンディング支援と成立後の製造協力が主な目的で、Cerevo内に事業部を立上げる予定です。DMMとアキバにガレージとシェアオフィスを構築・運営、モノづくり系ワークショップ・ハッカソンの開催なども検討しています。

小笠原:撒いた種から芽を出すお手伝いをするというか。プロトタイピングなどを経て、その次の段階のマスプロ製造のノウハウをシェアすることで、そこでも「やらない言い訳」をなくしたいんですよね。そうすれば、ほら、多くの人たちに可能性が広がるでしょ。

シードをABBALab、そこから次の成長をCerevoで実施すると。確かにCerevoはコンシューマー向けにある程度のロット数を製造するノウハウがありますからそれも可能、という考えですね。

岩佐:Kickstarterで華々しく打ち上がったプロジェクトも、掲示板をよく見てみるとファンディング成功後に数千台レベルの量産がうまくできなくて本当に苦労している人ばかりです。

でも、本当に難しいのは作ったあと。売る、サポートする、そんでもって次モデルの開発を進めるってところですよ。ここはやっぱり僕らが貯めてきたノウハウが活きるところかなと。

小笠原:THE BRIDGEにも協力(※)して運営しているDMM.makeもそういった新しいものづくり系の企業活動を支援する動きなんです。「出来る」ことを知れたり、実際に手を動かしたり、考えたモノや作ったモノをシェアして、最終的に産まれたモノを売り買いできる場所まで提供したいんです。

岩佐:面白そうな分野だと思ってて、でもどうしていいか分からない方にはぜひ集まってきて欲しいですね。

突然のお時間ありがとうございました。

※情報開示:THE BRIDGEでは現在、DMM社に協力してDMM.makeへの記事提供をしています。その際において、小笠原治氏が代表を務めるnomad社と業務委託契約の関係にありますのでその件を開示させて頂きます。

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