手元でモノを扱う感覚を再現したアプリ「レター」:毎月届く写真付きカレンダーが促す、心地よいコミュニケーション

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Ishida-Rollcake「レター」を開発する株式会社ROLLCAKEの石田忠司さん

好評のiPhone版に続いて、昨日Android版がリリースされた「レター」。スマートフォンで撮影した写真を一枚選ぶと、翌月のカレンダー付き手紙にして届けてくれる超手軽なアプリです。

現状、レターは遠くに住む両親に孫の近況を伝えるために使われることが多いものの、私の友人には、先月撮ったとっておきの写真を自分宛に送るといった使い方をしている人もいて、人それぞれ。これからの使われ方の広がりにポテンシャルが感じられます。

そんな気の利いた親孝行アプリを提供するROLLCAKE株式会社の代表取締役、石田忠司氏さんにお話を伺ってきました。とても爽やかな石田さんのお話から、「楽しみが待っている毎日を作る」をコンセプトに掲げる同チームの“ブレない感”がたっぷり伝わってきました。

毎月届く・届ける「レター」が育むコミュニケーション

レターは、UI/UXデザイナーの伊野亘輝さんのニーズから生まれたのだと言います。たくさん撮った娘さんの写真を、思い出したタイミングでまとめて送るのではなく、もう少しこまめに送ってあげられないか。

孫娘の“今”の可愛い姿を定期的に両親に報告する手段として、カレンダーという発想にたどり着きした。毎月、翌月分のカレンダーを作ることができるため、常に最新の近況報告ができる。また、次はどんなレターが届くのか、受け取る側には先の楽しみが生まれます。

「忙しく子育てしている人でも、1ヶ月たった5分でレターを作ることができます。時間をいたずらに消費するものではなく、ずっと使い続けてもらえるものを作りたかった。スマホに向かっている時に楽しいだけじゃなく、使った後に手元に楽しみが届く。そんな風に生活を豊かにしてくれるサービスを目指しました」

カレンダーというのはあくまで手段であって、レターはいわばコミュニケーションツール。忙しいと間が空いてしまったり、どうしても不定期になってしまう両親とのコミュニケーションを促してくれるから。両親が喜んでくれて、親孝行ができていることに、送る側にも幸せと満足感が生まれます。

レターが一種のコミュニケーションツールとして成り立っていることを象徴するのは、メッセージ欄の活用率。写真と共に、カレンダーに添えるメッセージを100文字で入力できるのですが、ほとんどのユーザーがこれを活用。メッセージがあることで、両親からの届いたよ!という連絡があり、また会話につながるのだと言います。

大事にした、アプリ上で「モノ」を扱っている感覚

lttr_rollcake_appいかに続けて使ってもらえるかを重視して開発したレター。一年分をまとめて作る従来のカレンダーではなく、毎月、翌月分のカレンダーを作るというサービス内容もそれに寄与しています。

また、アプリの設計やデザインもユーザーの負担をいかに軽減するかを徹底。例えば、レターの色を選ぶ操作も、カレンダーのプレビューの横に並ぶカラーを指一本でスライドするだけで選択できるなど工夫を凝らしています。

また、サービスを作る上でこだわったのは、アプリの上でモノを作っている、あたかも物体をいじっている感覚を再現すること。アプリで扱うのは写真のデジタルデータだけれど、まるで小さな工場で手紙を作っているような世界を意識しています。

「モノの手触りを感じられるような、小さな世界をアプリの中に作りました。例えば、バックグランドを木製の作業デスクっぽくしてみたり、手元のものが立体的に見えるようなデザインにしたり。最初はフラットなデザインだったんですが、見え方を大きく変えたことでコンバージョンが劇的に変わりました」

チーム3人で作ったユーザーの体験設計書を基に、ユーザーからの要望も加味しながら機能の改善アイディアを出していき、実装していく。ユーザーの心理的なゴールは何なのか。ユーザーは何を求めていて、それに対して何が必要か。この思想が議論のベースになっているため、ブレることはないと言います。仮に意見が割れた場合は、プロダクトの最終決定権はデザイナーさんにあるそう。

まずは10万ユニークユーザーを目指す

レターのチームが大切にする、ユーザーのサービス継続率。今のところ、目標値を上回る数値で継続して利用されています。「まずは10万UUくらいのサービスに育てていきたい」と話す石田さん。

現状は、両親に送るという使われ方が圧倒的に多く、全体の9割を占めます。最初は、「大事な人に」送るというメッセージを検討したものの、動機が一番強いメインのターゲットだけに伝わるように絞ったことが功を奏しました。使われ方の幅を広げていくことはあっても、あくまでサービス自体は「レターを送る」ことに徹したものにしていく予定。

「シンプルに、レターを送ることだけにフォーカスしていきます。ユーザーがアプリでできることを増やすよりも、送り忘れてしまうといった継続して利用するための弊害を取り除いていきたいと思っています。スムーズに継続して使えるためのサポートを厚くしていきます」

InstagramやFacebookと連携させて作ったカレンダーを共有できるレターは、FacebookよりもInstagramへの投稿が多いんだそう。カレンダーがウッドデスクに数枚並んだ画像は、おしゃれなInstagramとの相性のほうが高いのかも。

とっても丁寧に、何よりユーザーのことを考えて作られているサービス。コミュニケーションを、カレンダーという形に乗せて形づくるレター。ROLLCAKEからは、今後また新たなサービスも期待できそうなので乞うご期待。楽しみが待っている毎日を創る。どこまでもピッタリなビジョンだと思います。

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