アプリビジネスの成功に不可欠なアプリのエラー検知・解析ツール「SmartBeat」

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SmartBeat

アプリを提供する際、もっとも避けなくてはならないのがバグが発生したり、エラーが起きてアプリが落ちてしまうことだ。これが起こるとアプリの評価が下がり、平均評価も下がってしまう。

これはアプリデベロッパーの話を聞いているとよく耳にすることであり、昨年開催された「Onlab Growth Hackers Conference 2013」内でコミュニティファクトリーの松本龍祐氏も言及していたことだ。アプリの品質がアプリビジネスの成否を分けることになる。

昨年の後半からグロースハックツールと呼ばれる、ユーザの行動分析やデータ解析を可能にするツールが続々と登場してきている。本誌でもいくつか紹介してきたが、アプリのエラーやバグの発生を抑えるためのツールはこれまでにはなかった。

アプリのエラー検知・解析ツール「SmartBeat」

SmartBeat」は他のグロースハックツールが「攻め」の部分を担っているのに対し、アプリの信頼性・安定性を高める「守り」の部分を担っているとでも言うべきツールだ。アプリレビューを改善するために、アプリのエラー検知や解析するためのツールとなっている。

「SmartBeat」を開発しているFROSKは、技術者が困っている部分を助けるサービスを開発することを主眼においており、彼らが「BtoD(Business to Developer)」と呼ぶ領域に取り組んでいる。

導入はSDKをインストールするだけ。10分程度の作業で設定が終了する。導入すると、アプリにエラーが発生した時に自動でエラーを検知し、解析に必要な情報の取得を行う。エンドユーザーの操作を必要とすることなく、ユーザの手元で起こっているエラーを把握できる。エラー発生回数が事前に設定した回数を超えた場合、通知メールが自動的に送信される。

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リアルタイムでエラーを検知し、上の画像のような状態で一覧できる。発生回数、影響ユーザ数、初回発生日時、最終発生日時などの項目で並び替えも可能となっている。取得されたエラー情報は、同一エラーでグループ化されるため、効率的なエラー解析作業も可能になる。

詳細を表示させると、ソースコードのどの部分でエラーが発生しているのかを表示する。さらに、アプリがクラッシュするまでの画面キャプチャを最大3枚取得できる。エラー発生時の画面、その直前におけるユーザの画面遷移がどのようなものだったのかが確認できるため、エラーの再現が容易になる。

品質のスコアリング、指標の可視化も

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「SmartBeat」では、SBスコアと呼ばれる品質のスコアリングも行う。エラーがユーザに与える影響度を元に、品質を独自のアルゴリズムで各バージョン毎にそのスコア化する。さらに、アプリの品質にとって重要なデータや指標を見やすく表示することで、重要指標の可視化も行う。

こうした機能により、エンジニアでない人間にとっても状況が把握しやすくなるというメリットが考えられる。チームで開発を進めていく上で役に立ちそうだ。「SmartBeat」はiOS, Android各プラットフォームに対応している。さらに、既存サービスではゲームエンジンのコードがとれないといった課題もあるが、「SmartBeat」はUnity SDKを利用することで、Unity上で発生した例外も検出可能となっており、今後も未対応のゲームエンジンへの対応を進めていく予定だという。

「SmartBeat」は一ヶ月の無料トライアル期間を設けている。トライアルではMAU10万まで対応し、登録可能アプリ数は1つ。有料プランは「スモールチーム」「デベロッパー」「エンタープライズ」の3種類。「スモールチーム」は月額1万円でトライアルと同条件。「デベロッパー」はMAU50万まで対応し、アプリ数は無制限になる。「エンタープライズ」ではアプリ数は無制限で、MAUや月額料金については応相談となっている。

「SmartBeat」は、エラーの検知、解析以外にも、今後アプリの信頼度を向上させていくために必要な指標として、メモリ使用量やバッテリー残量、通信レスポンスタイムなどの検出にも対応していく予定だ。

「現場の開発の人からの評価は高い」と語る SmartBeat チーム。開発の現場を変える可能性を秘めた彼らのこれからに注目したい。

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