WordPressホスティングのSovaが300万ドルを調達、フリーミアム・プラン「Sova WP Free」をローンチへ

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シンガポールを拠点とするスタートアップ Sova は今日、シードラウンドで300万ドルの資金調達が完了したことを発表した。調達元については明らかにされていないが、THE BRIDGE の取材によれば、シンガポールのエンジェル投資家による出資だとされる。

WordPress 専業ホスティングへの期待が高いワケ

Sova は CEO/CTO を務める糸長未弥子氏、COO/CFO を務める藤本貴士氏が昨年12月にローンチしたスタートアップで、WordPress に特化したクラウド・ホスティング・サービスを提供している。ホスティングするアプリを WordPress に限定することで、最適にチューニングされた環境を提供し、顧客サポートに要するエンジニア等の人的コストも大幅に圧縮することが可能になっている。

この種類のサービスを提供するクラウド事業者は、Amazon Web Services の上にサービスを構築することが多い。もちろん、その方が運営は簡単なのですが、コストのボトムラインを Amazon Web Services に依存してしまう。そこで我々は自前のクラウドを構築しました。アメリカの同業である WP Engine が99ドルで提供しているようなスペックを、我々は20ドルで提供できています。(藤本氏)

藤本氏も語っている、アメリカの WordPress 専業ホスティング会社 WP Engine が、先頃1,500万ドルを調達したのは記憶に新しい。アジアには Sova のような WordPress 専業ホスティング会社が他には見当たらないため、大いなる成長が期待できるだろう。

多国語展開とアメリカ進出

Sova のユーザの多くは東南アジア諸国と日本からで、レイテンシーの問題を考慮して、クラウド環境はシンガポールと大阪に設置している。今回の資金調達を受けて、アメリカ進出を念頭にパロアルトにもクラウド環境を構築、サポート拠点も現在のシンガポールと大阪に加え、パロアルトとインドネシアに追加で設置する。

WordPress は世界のウェブサイトの2割のシェアがあるということもあり、マネタイズの確実性が皆の目に明らかです。ローンチして半年ほどですが、既にアジアのテレコム企業や、アジア進出を狙うシリコンバレーの同業から買収のオファーがあるくらいです。しかし、我々はまだ買収されるつもりはありません。(藤本氏)

名前は明らかにしてくれなかったが、日本の大手ホスティング事業者向けの OEM 供給も話が進んでいるとのことだ。近いうちに日本で、有名企業の名前を冠した WordPress ホスティング・サービス登場のニュースを目にすることになるだろう。

現在、Sova WP は英語と日本語でのみ利用可能だが、7月には、ベトナム語、中国語、インドネシア語、スペイン語に追加対応する計画だ。

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フリーミアム・プランの開設と、今後の展開

Sova では6月15日からフリーミアム・プラン「Sova WP Free」の利用申込受付を開始する。財務的に、会社のローンチ段階からフリーミアム・プランを提供するのは困難だったが、一定の有料ユーザや資金調達を得たことで、サービスの認知度向上に弾みをつけたいとの考えから、フリーミアム・プランの開設に踏み切ったと言う。

ブースト機能をつけてあるので、いわゆる〝Yahoo砲〟などでアクセスが集中しても100万PV/日くらいまでであれば耐えることができます。現在、自前のアドネットワークを構築中で、ブログオーナーはこれを使ってマネタイズもできます。もちろん、アドネットワークはモバイルにも対応しています。最近の WordPress のテンプレートは、レスポンシブながら画一的なデザインが多いですが、ユーザが自由に選択できるように、いくつかのパターンを公開します。(藤本氏)

同社は10月末に向けてシリーズAラウンドの資金調達を模索しているのだそうだ。1,000万〜1,500万ドルのレンジを狙いたいと鼻息は荒い。

藤本氏の経歴が気になって聞いてみたところ、彼は京都大学に在学していた頃から既にビジネスをやっていたそうだ。その後IT事業に関わるようになり、創業したスタートアップを2009年売却している。現在は、パロアルトでのオフィス設置のため、シンガポールとパロアルトを往来する忙しい毎日を送っている。


(更新)記事の執筆過程において、藤本氏に関する ITPro の記事を見つけた。ここに書かれた Adid と Sova との関係については、追って藤本氏に確認して追記したい。

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