「古俣の背中はたまに押しています」ーー隠れたキーマンを調べるお・ピクスタ、内田氏&遠藤氏インタビュー

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編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。

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2006年にスタートした画像・映像素材マーケットプレイスサイト『PIXTA』は現在約13万人のクリエイター、780万点のコンテンツを有する巨大サービスに成長し、海外展開も最近活発化しています。最近個人ブログがソーシャル上でシェアされまくっているピクスタ代表取締役の古俣大介氏は1976年生まれ。いわゆる「76世代」の一人です。

その古俣氏を長年に渡り支えている二人のキーマンを今日はインタビューしました。当連載初の二人同時インタビューはピクスタ取締役の内田浩太郎氏、遠藤健治氏です。

「アマチュアの写真が売れるのか?」と最初はPIXTAに対して否定的だった

大柴:今日はよろしくお願いします。二人一緒にインタビューするの初めてなんで緊張してます。ではまずは内田さん。

内田:よろしくお願いします。

大柴:内田さんはピクスタ参画前は競合の会社をやられていたとか?

内田:競合ではないですね。プロの写真家と共に自社でストックフォトを制作し、外部のストックフォトエージェンシーに販売委託する事業をしていました。そんな時にアマチュアが撮影した写真を販売するというPIXTAの記事を新聞で見て、「アマチュアの写真が売れるのか?」というようなブログ記事を書いたんです。

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ピクスタ取締役の内田浩太郎氏

プロの素材を扱っていた自分としてはプライドを刺激されたというか。新聞に記事が載った時にはPIXTAにはまだ写真も何もない状態でしたので、コンセプト自体に否定的な反応をしたんですね。

大柴:なるほど。それで古俣さんから連絡があったわけですね。

内田:トラックバックしてたんですよ、元記事を。それで古俣がみつけて連絡をしてきました。すぐに会うことになってディスカッションしました。そこで古俣から「デジカメが普及し、デジカメ自体もイノベーションが起きる。そうしたらプロでしか撮れなかった世界が開放されていく。世の中は変わる」と言われて凄く共感してしまって。すぐに意気投合しました(笑)。

大柴:すぐに役員として参画されましたね。

内田:いや、最初は社外役員としての参画でした。それまでの会社も続けながら、社外役員として定期的にコミュニケーションを取っていました。古俣は風景写真や物の写真をストックして販売していくイメージを持っていましたが、ストックフォトビジネスを長年やっていて、人物写真が売れることがわかっていました。

大柴:確かに人物素材の方が使う機会多いかもしれません。

内田:特に当時は人物素材といえば外国人ばかり。そこで日本人のストックフォトをPIXTAでも用意するように提案していました。しかし、古俣がなかなか理解してくれず、最初は自腹で人物素材を制作して提供したりしていました。

大柴:自腹!

内田:はい。まずは証明しようと思いまして。それで人物をやってみて結果が出たんです。それで手応えを感じたし、もっとPIXTAにコミットしようと思い、2010年4月にフルコミットで参画することにしました。

もう一度ガツガツしたベンチャーをやりたかった

大柴:内田さんがフルコミで参画したすぐ後に遠藤さんが参画します。遠藤さんは古俣さんがガイアックス所属時代の上司ですね。

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ピクスタ取締役の遠藤健治

遠藤:自分は技術担当の役員だったので直接の上司ではないのですが、ガイアックス立ち上げ時期を共にした同年齢のメンバーということで、古俣がガイアックスを辞めた後も定期的にコミュニケーションは取っていました。オンボード(現ピクスタ)設立時はガイアックスのオフィスを間貸ししていましたし。

大柴:そうだったんですね。その後2006年に遠藤さんもガイアックスを離れます。

遠藤:ガイアックスを辞めた後はのんびりと自由にやっていました。東京を離れていましたし、これまでとは全く違う環境で仕事をしていました。

大柴:そんな生活を送っていた遠藤さんがピクスタに加わった理由は何ですか?

遠藤:定期的に古俣とは会っていたんです。技術面だけでなく、サービス全般について意見を求められていました。それでいろいろ話していたのでピクスタのことはだいぶわかっていました。そんな中で「もう一度ガツガツとベンチャーをやりたいな」って気持ちが湧いてきまして。

ちょうどピクスタは事業モデルが成立し、これから急成長させていくフェーズだったので、ガイアックスでの上場に至るまでの経験や、マーケティング、開発の知識が役に立つんじゃないかと。ピクスタをメガベンチャーにする手助けができるんじゃないかと思って参画することにしました。

大柴:なるほど。お二人のピクスタ参画までの経緯はよくわかりました。

「この人だけとは(気が)合わない」と思った

大柴:ところで今日はお二方いらっしゃるので、お互いがお互いをどう思っているかなんて聞いてみようかと思います。まずは遠藤さん。遠藤さんは内田さんをどうみていらっしゃいますか?

遠藤:なんだか恥ずかしいですね(笑)。えーっと、そうだな。内田は安心して突破を任せられる人ですかね。何もないところに何かを作るのが得意。

大柴:今も海外をガンガン攻めていらっしゃいますもんね。

遠藤:突破力は凄いなぁと。最初に会った時は「この人だけは合わないなぁ」と思いました(笑)。

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内田:え?!

大柴:え、そうなんですか(笑)。

遠藤:今はもちろん大好きですよ(笑)。内田は社内で一番変化している人。変わり続けている。とても柔軟なんです。マネジメントの仕方もコンテンツに関する考え方もサービスについても柔軟に考え方を変化させている。これは凄いなぁと思っています。古俣は素直に変化するんですが、内田はぶつかりながら変わっていくというか(笑)。考え方をぶつけあって、自分の中で理解すると変わるんです。

大柴:なるほど。年齢を重ねると頑固にこれまでのやり方を変えなくなる人が多いですが、柔軟に変わっていくというのは凄いですね。それでは次に内田さんから見た遠藤さんは?

内田:僕は遠藤の事を最初から好きでしたよ(笑)。

古俣からいろいろと聞いていましたし、インターネットの権化というイメージでしたね。ストックフォトのビジネスをビジュアルコンテンツとしてではなく、ウェブサービスとして遠藤はみていた。インターネットにおいてどう売っていくのかというインターネットマーケティングの重要性を遠藤から教わりました。逆にストックフォトに関することは教えました。最初は全然知識が無かったけど、今では知識豊富です。

大柴:なるほど。面白いお話が伺えました(笑)。内田さん、遠藤さん、そして古俣さんの3人のバランスがとても良いような感じがしました。

遠藤:内田はガンガンいくので時には止めることもします。逆に、古俣の背中はたまに押しています(笑)。

大柴:おもしろいですね(笑)。さて、お二人から見て代表の古俣さんとはどんな人ですか?またどんなことを期待していますか?

内田:古俣はカルチャーを作る人ですね。カルチャーを作り、ビジョンを発信する人。最近は社内外でメッセージを発することが増えた。自分自身が発信していかないといけないと意識しているのかもしれない。

遠藤:これまでは粛々とサービスを成長させてきました。クリエイターに活躍の機会を提供するという熱意とサービスへの愛情を持った人なので、そこをもっと発信していってほしいですね。

大柴:良いところはどこですか?

遠藤:古俣の良いところは、素直なところ。素直だから吸収力も高い。簡単なようでとても難しいことです。

大柴:古俣さんがサービス開始当時に内田さんに語った「デジカメのイノベーション、アマチュアの台頭」が現実のものとなってきています。さらに世界に向けても攻めていくピクスタの勢いとバランスの良さを感じる事ができました。今日はありがとうございました!

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