失敗談を共有するFailCon:「Umano」のCEOであるIan Mendiola氏が語る共同ファウンダーの見つけ方

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Umano-Ian-FailConUmanoのIan Mendiola氏

Open Network Labの代表である佐々木智也氏のオープニングトークで始まった日本初開催となる「FailCon」。FailConは、起業家の失敗談を共有することを目的としたイベントだ。

最初のセッションは、ニュース読み上げアプリ「Umano」の共同ファウンダーであるIan Mendiola氏。Ianはもともとデベロッパーで、Umanoを立ち上げる前はGoogleやマイクロソフト、Bloombergなどでソフトエンジニアとして仕事をしていた。

Ianが共有したのは、スタートアップを立ち上げるに際して肝となる「チーム」、「アイディア」、「マーケット」の3要素の中でも「チーム」について。なかでも、共に荒波に揉まれることになる共同ファウンダーは特に慎重に選ぶ必要がある。

にも関わらず、現在のUmanoにたどり着くまでの2年半はそこでつまずいてばかりだったと言う。

お互いを補い合う形で“ビジネス側”の人間と起業

2010年初期、Bloombergでファイナンシャルデベロッパーだった頃に出会い、一緒に起業することになった相手は完全に“ビジネス側”の人間だった。

コーディング専門だった自分には、パートナーとして事業がわかる人間が必要だと思ったからだ。もちろん、この相手にはスタートアップ精神も備わっていた。

Ian-FailCon-one

ところが、当時つくってリリースしたのは、C向けのデートアプリ。C向けの商品に関しては、ユーザーを獲得し、プロダクト・マーケット・フィットにたどり着くことが先決。そもそも事業開発が必要になるまでの前段階のプロセスが長く、そこに事業系の人間の出番はない。結局、Ianが一人で夜な夜なコーディングをすることに。

「当時はまだ“Lean Startup”の概念は存在しなかったから、つくってはイテレートするという発想がなかった。それで、自分たちがイケると思ったプロダクトをとことん作り込んでからリリースしたんだ。でも読みは外れて、ユーザーはまったく集まらなかった。開発を続けたけれど、実質一人で取り組むプロダクトにモチベーションも薄れていったよ」

スキルや専門分野を補い合うことができることもポイントではあるものの、まずは最初のプロダクト・マーケット・フィットにたどり着くために必要なスキルが揃っていることが大事だということを学んだ。

同じエンジニアと起業するも、目指すゴールが合致せず

次に出会ったのは、以下のスライドにあるような共同ファウンダー。初回の起業体験から、相手もエンジニアであることが心強く、組む決め手になったと話すIan。プロフェッショナルのためのサービスを開発していたが、リリース後、またしてもユーザーが集まらなかった。

Ian-FailCon-engineer

それ以上に問題だったのは、そもそも起業してプロダクトをつくることの目的について、共同ファウンダーと合致していなかったこと。人によって、それは有名になることだったり、お金のためだったりさまざまだ。

また、事業を早く軌道に乗せてさっさとエグジットするのか、それとも長期的にいいプロダクトをつくりたいのか。この部分が一致していないと、いくら素晴らしいメンバーがいても上手くいかない。

ハーバードMBA卒より、証明された実績があること

次の起業パートナーに選んだのは、ハーバードMBA卒の人物だった。コンテンツとEコマースを組み合わせたような、ファッション版Pinterestをつくりたいというのが彼女のアイディアだった。

アイディアはいいし、既に資金調達もしていて、さらにはハーバードMBA卒。一緒に組まない理由はなかったように思えたものの、ハーバードMBA卒というラベルにやられてしまったと話すIan。

大事なのは、ブランドではなく、証明された実績があること。果たすべき役割をきちんと達成し、結果を出すことができるのか。ただハーバードMBA卒というだけでは実質的にはあまり意味がない。

Ian-Failcon-MBA

セッションの最後に、「失敗が多くても、“トンネルの終わりには光が見える”」と参加者を励ますIan。

パートナー選びで幾度も失敗を重ねた結果、現在CEOとしてチームを率いるUmanoでは共同ファウンダーとチームともに恵まれている。社内にはエンジニアも多く、スキル面でお互いを補い合って一致団結して動くことができていると言う。

 

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