世界中が熱狂の渦に巻き込まれるワールドカップ。特に今回はサッカー王国ブラジルでの開催ということもあり、例年にも増して大きな注目が集まっている。
そんなワールドカップの開幕戦「ブラジル対クロアチア」のセレモニーでは、下半身麻痺の患者がサッカーを実演するというプロジェクトが企画されている。
このプロジェクトを牽引するのが、米デューク大学に所属する神経工学の専門家 Dr. Miguel Nicolelisを中心としたWalk Again Project。彼らが開発した脳波で動く外骨格を使うことにより、車いすの患者が立ち上がり、ボールを蹴るというから驚きだ。
操作のための脳波は、米コロラド州立大学が3Dプリンターによって作成した電極付きのヘルメットを通じて検知される。脳波は外骨格操作のための命令に変換され、水圧をつかって外骨格を動かす。バッテリーの駆動時間は2時間で、転倒防止のジャイロや、転倒時のためのエアバッグなど、複数の安全装置も備えている。
外骨格は金属とポリマーで出来ており、足底にはフィードバックのためのセンサーを設置。利用者のシャツに接続された振動装置を通じて、まるで歩いているかのような錯覚を起こさせるという。実際に利用した下半身麻痺の患者いわく「まるで砂浜を歩いているような感覚だった」と語っている。
現在このプロジェクトでは、20歳から40歳まで9名の男女がトレーニングを行っており、そこから3名がセレモニーに出場するそうだ。さらにその中から1名がサッカーの実演をするということで、その様子はFacebookページを通じて伝えられている。
世界中が注目する試合で、下半身麻痺患者にとって大きな希望となるデモンストレーションが成功すれば、これほどに素晴らしいことはないだろう。当日はTVの前でこの実演の成功を願いたい。
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