Tencent(騰訊、HK:0700)のゲーム市場に対する取り組みは、4月に Tencent 本社を訪問したときの話でも触れたことがある。GMIC Tokyo には、Tencent のゲーム部門、Tencent Games(騰訊遊戯)副社長の王波(Bo Wang)氏が招かれ、現在直面している課題や今後の展望について、同社の考えを明らかにした。
中国のオフィスや家庭では、速くても 50Mbps くらいのスピードでインターネットに接続していることが一般的だ。日本のゲームタイトルも数多くローカライズされている中国市場だが、4G LTE や高品質のブロードバンド環境を前提とした日本のモバイルゲームをそのまま中国に持ち込んだのでは、ダウンロードの遅さなどから中国のユーザはストレスを感じてしまう。したがって、ゲームの処理機能の一部をサーバサイドから端末サイドに移すなど、ユーザ・エクスペリエンスを損なわないようにするための努力が求められる。
中国のゲームユーザの約8割は30歳以下で、日本では、ゲームユーザの分布が30歳以上にも広がっているとの対照的だ。彼らは一つのゲームに執着することを好まず、テレビ番組をザッピングする感覚で、次から次へと新しいゲームへと移って行く。したがって、中国ではアプリストアにあるゲームの約4割が有料アプリであるにもかかわらず、料金を支払ってくれるユーザは日本の約4分の1と、マネタイズへの道のりは険しい。
かつてコンソールゲームやパソコンゲームの時代には存在しなかったが、現在のモバイルゲームの時代に成立している市場のトレンドとして、日本のゲームタイトルの積極的な中国市場への参入が挙げられる。日本で成功したゲームに対する評価は中国でも高いからだ。しかし、彼らとて市場でのパフォーマンスがよいとはまだ言えない。それはおそらく、中国特有のゲームに求められる特徴を捉えきれていないからで、王氏は日本のゲーム・デベロッパが、中国のよいパートナーと協業することを勧めた。
中国ではゲームのプロモーションにテレビCMを使うことができないので(おそらく法律上の制約)、バイラルマーケティングへの注力が求められる。そのためには、あるゲームにおいて、ユーザの友人も同じゲームを楽しんでいることが重要であり、そこでユーザ・コミュニティを形成することがリテンション・レートの改善につながるのだという。
良質なコンテンツを創り出す日本のゲームデベロッパと、ユーザのリテンションやマーケティング戦術に長けた中国のデベロッパが手を組むことで、中国のゲーム市場には大きな花が咲くだろうと語り、王氏はスピーチを締め括った。
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