ユーザーさんがパフォーマンスを披露する場を支えるーー隠れたキーマンを調べるお・「ツイキャス」運営のモイ、大森氏インタビュー

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編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。

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中高生に絶大な人気を誇るツイキャス。その運営会社モイで、サイドフィードやJoker Racerなど数々のサービスを世に生み出してきた赤松洋介氏(代表取締役社長)と二人三脚でやってきたキーマン、大森正則氏のインタビューです。滅多にメディアに出ることのない同氏の貴重なインタビューです。モイ!

大柴:今日はよろしくお願いします。

大森:お願いします。

大柴:ところでITベンチャーで神田神保町を本拠にしてる会社ってあまりに無いですが、何かこだわりがあるのですか?

大森:サイドフィードの時に神田の免許センターの建物にベンチャー支援のオフィスがあって、そこに入居してたんです。10坪くらいかな。その後何回か移転したけど、千代田区を出ると登記変更がめんどくさくて(笑)。

大柴:なるほど(笑)。

大森:創業の地だし、縁も出来たので、それを大事にしてます。神田を裏切るわけにはいかないです(笑)。

大柴:これから移転もあるかもしれませんが、次も神田になりそうですね。さて、赤松さんと大森さんはサイボウズ時代の同僚とのことですが。

大森:サイボウズに自分が入社した時は赤松とは違う部署でした。自分は開発エンジニアとして主に海外展開の日本側の担当者としてやっていました。独自のフレームワークを国際化するような仕事をしていました。

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大柴:なるほど。

大森:その後、とあるプロジェクトを担当するようになり、赤松がプロジェクトマネージャーとしてアサインされ、自分が開発マネージャーとして一緒に仕事をすることになりました。

大柴:なるほど。その後、赤松さんは退社され、起業するわけですね。

大森:2005年に自分の方が先に辞めて、その後2ヶ月くらいして赤松もサイボウズを辞めました。

大柴:そうなんですね。

大森:自分はとある会社に転職して働いていたのですが、そこを辞めることになって、しばらくフラフラしてたんです。その頃、赤松は起業してサイドフィードを設立します。そこにたまに遊びに行ったりしてたんです。何度か行ってるうちに一緒にやることになりました。2007年の3月くらいに正式に入社しました。

大柴:そこから二人三脚でやってこられたんですね。

大森:いろんなサービスを赤松が思いついて作る。自分はインフラ面を担当しました。赤松は「人の生産性を向上させるようなサービス、世界」を作りたいと考えているんです。それをインフラ、ネットワーク面でサポートしてます。

大柴:なるほど。

大森:自分としては、プラットフォームのプラットフォームを作っているので、ユーザーさんの活動に支障をきたさないように安定したインフラを構築したいと思ってやっています。ステージに合わせたコスト感で増強するとかも意識していますね。

大柴:ツイキャスは動画の生配信なので大森さんの役割は重要ですね。ところでツイキャスを始める前にはラジコンのサービス(Joker Racer)をやっていたと思うのですが、そこからツイキャスを開発した経緯などをお伺いできればと。

大森:元々サイボウズ時代に赤松と窓の外を見ながら話していたんですよ。16階の窓の外を見ながら(窓の)外にラジコンがあったら面白いよね、って。車のラジコンも難しいけど、空中で制御するラジコンはもっと難しい。落ちたら壊れるし。それなら気球がいいね、なんて。

大柴:お二人ともラジコンが好きなんですか?

大森:そうですね。結構好きです。赤松もラジコンが好きです。

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大柴:窓の外を見ながら話していた時から数年が経ち・・・。

大森:赤松は「ハードとネットが融合したサービスがこれからくる」って言ってて、まぁそういう分野が好きってのもあるんです(笑)。いろいろなモデルを考えて、結果「ハードは難しいなぁ」という結論になりました。

大柴:なるほど。

大森:Joker Racerをやっている時にリアルタイムの映像配信などを研究していたんです。ラジコンを使って世界でライブコミュニケーションできないかなって。「ハードとネットの融合」と「世界に通じるサービス」ってのが軸にあって。それでiPhoneを使って映像配信するって発想になりました。

大柴:それがツイキャスですね。

大森:はい。使い方の想定は当初していたんです。世界中の人がサービスを利用してくれたら、自分がその場に行かなくても知識を得たり、行ったような気分になる。例えばピラミッドの案内をツイキャスでしてくれたり、とか。映像を介して世界中の人々と交流ができる。そんなイメージを持っていました。

大柴:なるほど。それは面白いですね。

大森:ツイキャスをリリースしてしばらくは低空飛行が続きました。しかしある時、急に中東諸国で利用され始め、その後はブラジルで爆発的にユーザーが増えた。ブラジルで有名な歌手がツイキャスを始めたんです。それが理由でした。そんなわけでポルトガル語対応は早かったですよ(笑)。

大柴:いきなりトラフィックが増えたんですか?

大森:そうなんです。突発的に。ただ、その突発的に上昇したトラフィックを基準にしたサーバー構成にするわけにはいかないので、コストを計算しながら計画的に増強していってます。

大柴:日本でのユーザー増はいつ頃からですか?

大森:2012年の11月ですね。特に何のイベントもなかったのですが、トラフィックとユーザー数が伸びた。特に高校生。今ではメインのユーザーとなっています。最近では業界外からの認知も上がっていると実感しています。

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大柴:今後のツイキャスはどんな感じになっていくんですかね。

大森:ツイキャスはこれまでユーザーさんと一緒に成長してきました。当初のイメージとは異なっているけど、それはそれでいいんです。自分達よりもユーザーさんの方が創造力があります。それを今後も支援していければなと。

コミュケーションのプラットフォームとしてユーザーさんがパフォーマンスを披露する場、コンテンツを提供する場としてのインフラを提供し続けていきたいと思っています。そのために多くの人達に利用してもらうようなものを作っていかないといけないし、それを広めていかないといけないと考えています。

大柴:なるほど。

大森:あと、赤松に成功してもらいたいなと思ってます。そのために自分はできるだけ赤松をサポートしていければと思ってます。

大柴:おぉ、素晴らしいですね!

大森:いやいや(笑)。そのために今はがんばりますよ。

大柴:個人的な将来の夢とかありますか?

大森:そうですね、世界中を旅したいですね。遺跡が好きでこれまでメキシコとエジプトとか行ってきました。でもまだまだ行った事ない場所もいっぱいあるので。さらにその後は古本屋をやりたいですね(笑)。

大柴:まさに神田神保町ですね(笑)。今日はたくさんお話を伺えました。ありがとうございます!

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