早くして日本から世界市場へ飛び出したPeatix、グローバル企業としての信条

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takuharada
Peatix CEO 原田卓氏

世間の一般的な信条はこうだ。日本は巨大市場であり、スタートアップはこの北東アジアの国からの海外に進出することを考えなくてもよい。

しかし、Peatix の CEO 原田卓氏によると、「この考え方は間違いで、潜在的に費用がかさむもの」だという。

彼は、e27とのメールインタビューでこう付け加えた。

もし世界の競合を凌ぐ準備をせずに、勝利の方程式がわからなければ、いつの日か彼らが市場に参入した際、足下をすくわれることになるでしょう。(原田氏)

日本が東日本大震災と津波に襲われた後の2011年にローンチし、原田氏は「社会貢献への意識」を高める機会やその方法を見出した。

私たちは社会的なテーマをめぐるたくさんの出会いや集まりを目にしました。そしてとても幸運なことに、このような動きに貢献することができました。(原田氏)

それから2年後、インターネットを通じて、誰でもイベントのチケットを作って販売することができるプラットフォーム Peatix は、Fidelity Growth Partners Japan 主導の下、300万米ドルの資金を調達したと発表した。Peatix と Fidelity が初めて出会ったのは、TechCrunch Tokyo 2011 だ。

彼らチームは当初、コンサルティングによる第2の収入源を維持することで資金調達せずに済むと考えていたが、後にスピードアップが必要だと実感した。

(中略)多くの競合が市場に参入してくる中、私たちは迅速に行動しPeatixを成長させなければなりませんでした。スピードが非常に重要な状況では、適切な資金調達によって多くの時間を得ることができます。(原田氏)

この分野における主な競合はもちろん、2006年に設立されたアメリカ拠点の Evenbrite だ。Evenbrite は、チケット売価の2.5%とチケット1枚につき99セント(約102円90銭)を手数料としているが、Peatix はアメリカでは同額、シンガポールではチケット売価の2.9%とチケット1枚につき99シンガポールセント(約82円30銭)を課金しており、その金額にはクレジットカード手数料も含まれている。

グローバル化を目指す企業の代表として、原田氏から次の質問をされた。

本当の意味で『海外進出に成功した』日本のスタートアップの名前を挙げられますか?(原田氏)

私の頭の中に真っ先に浮かんだのは、毎日490万米ドルの利益を出すゲーム企業、ガンホー・オンライン・エンターテイメントだ。スマートフォン向けゲームでヒットしたパズル&ドラゴンズは海外で人気で、2014年3月7日時点で北米市場(アメリカとカナダ)で、300万ダウンロード、2014年3月11日時点で香港と台湾では100万ダウンロードを達成した。世界全体では2700万ダウンロードを記録した。

しかし、このような成功事例のほとんどはゲーム産業からだと彼は強調する。

ゲーム企業を除けば、まだどの企業も海外進出を成し遂げていません。私たちはそれを最初に達成する企業を目指しています。

私たちは早い段階で日本の外に出ることを決めました。というのも、日本で最初に成功すると、企業文化が偏狭になり、グローバル市場を目指すことが困難になると考えたからです。(原田氏)

Peatixのチームは日本、シンガポール、アメリカ、ドイツ、そしてオランダから優秀な人材が集まっている。

私たちのルーツは日本にありますが、私は弊社をもはや日本企業とは考えていません。(原田氏)

ローカリゼーションの点から、彼は Peatix が現在直面しているいくつかの大きな課題について語ってくれた。例えば、日本のユーザはオンラインでのクレジットカード使用に対して慎重になる傾向がある。このような問題に対応するため、同プラットフォームではコンビニで現金決済ができるようにしている。

だが、ユーザのほとんどは場所に関係なく同じような問題に直面しているようだ。

私たちは、展開している市場に共通する真理を追い求めているのだと考えるようにしています。イベントの主催者と参加者は、どの地域であっても多かれ少なかれ、同じ考えを持つ傾向があると信じています。(原田氏)

誰もがいつも予算のこと、席を埋めること、イベントの開催場所を見つけることに頭を悩ませているという。将来的には、ユーザが多くのイベントを見つけられるようにする機能や、開催場所とイベントをマッチングするサービスが期待できるようになるだろう。

終わりに、原田氏は日本へ参入しようとしているスタートアップ向けにいくつかアドバイスをしてくれた。

日本は世界で最もサービスに関する要求が高い消費者のいる国です。提供したものに対して最高のサービスが期待されます。つまり、MVP(実用最小限プロダクト)というコンセプトを間違って解釈してはいけません。というのも、サービスを特別に高いレベルで提供しなくてはならないからです。(原田氏)

しかし、最高のサービスを提供する精神というコンセプトは、スタートアップに競争力をもたらし、他の市場において良いアドバンテージとなるだろう。

【via e27】 @E27co

【原文】

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