「eBayはPayPalに名称変更した方がいい」ーー決済への動きを活発化させるプラットフォーム各社

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Image by Flickr

<ピックアップ> Former PayPal Exec: eBay Should Just Rebrand As PayPal

米マーケットプレースのeBayが来年にも傘下の決済プラットフォームのPayPalをスピンアウトするかも、という噂が流れたのは8月21日。これを受けて市場も好反応を示し、株価が5%ほど上昇するという状況になっております。

そしてここにきてPayPalの経営幹部だった「マフィア」の一人(現在はベンチャーキャピタリスト)、Keith Rabois氏がBloombergにて「eBayはPayPalにブランド変更したほうがいい」と発言するなど、にわかにこの話題が盛り上がりをみせております。

さらにさらに時を同じくしてTwitterも「購入ボタン」をやはり決済プラットフォーム(こちらはAPIベース)のStripeと提携して実装すると報道されたり、facebookが元PayPalプレジデントのDavid Marcus氏を獲得してメッセンジャーに決済を取り入れるという話題が持ち上がったり、モバイルペイメントの新風、Squareは独自のクレジットカードを持つとか持たないとかと、にわかに大型プレーヤーによる決済方面の動きが表面化してきています。

eBayやTwitter、facebookはコマースやコミュニケーションプラットフォーム文脈、Squareは決済事業者という文脈です。

ところでこの決済関連の動き、私たちはどうみるべきでしょうか?

ここからは私見ですが、やはり大きく2つの要素があるかなと考えています。ひとつはスマートフォンの普及による決済障壁拡大の問題、それともうひとつは利益構造です。これらの要素と動き出すタイミングが重なっているのかなと。

決済障壁は言うまでもなく手間と安全性に関する問題です。これらはAmazonのワンクリックや、PayPalによるログイン決済(不特定多数のサイトに個人情報、特にクレジットカード情報を分散させる必要がない管理性)が解決してくれている課題でした。ただAmazonは当然Amazonでしか使えませんし、PayPalも普及したとはいえ、より大型のプラットフォームが始めれば、より幅広い層にとって利便性の高いサービスが提供できる可能性が高まります。

これらがスマートフォンの普及に伴って(当然ですがスマホでいちいち決済の入力するのは不便です)さらに広い範囲でのニーズが高まった、というのがひとつ目の要素です。

例えばスマートフォンの普及に伴って急成長したUberはハイヤーの支払を後払いにしていますが、先日、この仕組みをAPIで外部に解放しました。これは「移動サービスと決済をひとまとめにして外部に解放した動き」と捉えることもでき、さらなる拡大が予想されます。

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Uberは移動の後払いで利便性を高め、その動きをAPIで他に解放し始めた

同様にTwitterやfacebookが持っているソーシャルメディアのトラフィックは、SEO頼みだった導線を別の方法で引くことも可能にするので、「導線+決済」という流れは大きく期待が持てます。

もうひとつ、利益構造についてはこのコメントが思い出されます。

以前、BASE代表取締役の鶴岡裕太氏にインタビューをした際、BASEの事業モデルについて「目指すのは楽天やAmazonというより、Paypal」と語っていたことがありました。

プラットフォーム事業者というのは事業に手数料モデルを採用することが多く、売上の%などを収入として計上します。しかし、単純なコマースのプラットフォームとなると、ここから決済の手数料を差し引く必要性が発生し、ただでさえ薄い利益率がさらに厳しいものになる、という課題があります。

なので、考え方としては決済を独自に持つ、ないし事業者として取り込む(買収など)というのは必然の流れで、これは先日、Squareがやはり相性のよいフードデリバリのCaviarを買収した件にも通じてきます。

Caviar

また、過去に決済代行系の事業者に取材した際、クレジットカード事業者の体質として、中間業者がまだまだ多く、これを整理することでさらに利益構造を変えることができる、と発言している方もいらっしゃいました。障壁も大きいですが、このようなアプローチはスタートアップ的といえるでしょう。

つまりスマートフォン普及に伴ってネット接続する人口は確実に広がり、そこに対して安全で簡単な決済手段を提供、さらにその構造を変革して利益率を高めるなら今動きましょう、といったところでしょうか。

大きなユーザーベースを獲得してプラットフォーム側から決済を変えるか、決済ソリューションを構築してプラットフォーム化させるか、また第三の方法を模索するか、いろいろな見方があるでしょうが、この分野は国内でも前述のBASEやWebpay、Coiney、そしてメタップスのSPIKEと役者が揃っているので今後の動きが楽しみです。

 

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