コモディティ化がブランディングに繋がるウェブの世界でミツバチワークスが新たに仕掛けるアプリ「Heart is in」

by Yukari Mitsuhashi Yukari Mitsuhashi on 2014.8.26

Heart-is-in

先日お邪魔したのが、恵比寿にオフィスを構えるミツバチワークス。The Bridgeのチャレンジする女性を応援するインタビュー・シリーズにも、同社の大島優さんには登場していただいたことが。今回お話を伺ったのは、代表の光山一樹さん。

ミツバチワークスと言えば、10代〜20代の女の子に大人気の無料ブログサービス「Decolog」です。さかのぼること2010年に、「月間60億ページビューを誇るケータイ・ブログサービス“Decolog”のストーリー」という記事をTechWaveで書きました。現在では、モバイルとPCの双方でサービスを提供しています。

外部資本を一切入れることなく、2005年の会社立ち上げから10年間ブートストラップでやってきた同社。世の中のトレンドや流行りに敏感に反応し、サービスを進化させ続けることで8年が経った今でもDecologにはユーザーが定着し、若い女性には無くてならないサービスになっています。

特定の相手とハートをキャッチボールするだけのアプリ

Heart-is-in-appDecologを進化させ続ける一方で、ミツバチワークスは新規サービスの立ち上げも行っています。Decologはブログサービスであると同時に、その本質は友人同士がコミュニケーションをとるSNSに近い。その同じ“コミュニケーション”という土壌で、2年半ぶりに新サービスとしてリリースしたのが、アプリ「Heart is in」(ハート イズ イン)です。彼氏や彼女が、シンプルにハートをキャッチボールするだけのアプリ。

一切のテキストを扱わず、ハートのやりとりだけでコミュニケーションをするHeart is inは、“おしゃべり”が盛んなDecologとは正反対。また、大勢と効率良くコミュニケーションをとることが目的のサービスが多いなか、敢えて特定の誰かとだけやり取りをする点も時代の流れに反しているように思えます。

アプリ開発に至ったきっかけはなんだったのでしょうか。

「アメリカのロサンゼルスに支社があるのですが、赴任してもらった社員が東京の彼女と遠距離恋愛になってしまいました。コミュニケーションはLINEなどでとっているそうなのですが、既読なのに返事がないときなどには無事かな?とお互いちょっと心配になるという話を聞き、これは僕にも責任の一端があるのでスルーしちゃいけないな、と思ったことがきっかけです。

特に男性は思い当たる節があると思うのですが、メールを書いたり、チャットしたりということが、理由も無くできなくなることが人にはあるのですよね。だから、もっと簡単に、もっとシンプルにお互いが気持ちを伝えることができればコミュニーションのフラストレーションを減らせるんじゃないかと」

エンターテイメント性やゲーム性を外した究極にシンプルなアプリ

ただ、「いま、あなたのこと思っているよ」と伝えることができて、それがきちんと伝わるもの。そこでたどり着いたのが、あらゆるものを削ぎ落としたコミュニケーションツール「Heart is in」でした。

例えば、文字を入力して文章にすることが大変なら、スタンプだけでコミュニケーションをとることもできます。でも、スタンプですら当然そこには“選択”、“意味”や“解釈”が生まれてしまいます。

「もともとは、ハートを返さずに放っておくとハートが虫食いになったり、記念日だと特別なハートに変化するなども企画していました。でも、エンターテイメント性やゲーム性を加え過ぎてしまうと、そもそものアプリのコンセプトが損なわれてしまうことに気づきました。純粋に、相手がハートを送ってくれたことに喜びを感じることができるようにしたい。それが極限までシンプルなつくりにした理由です」

とってもシンプルのアイディアを思いついてから、企画書が完成するまでの所要時間はたったの30分。ところが、機能の盛り過ぎやちょうど良いバランスを探すために試行錯誤し、最終的に開発には8か月ほどを要しました。

「そんなこんなでアプリを開発している最中にYOが話題になり、コンセプトは異なりますが伝達方法が近く、しかもわずか8時間でつくられたと聞いてちょっとへこみましたね」

コモディティ化こそブランディングにつながるWebの世界

実は、「Heart is in」の前にミツバチワークスがリリースしたのが「Slidrop」という写真共有アプリ。Instagramのように“とっておきの一枚”を共有するのではなく、複数枚の写真をアルバムにして縦にも横にもスクロールすることができる「ストーリー」の要素が強いものでした。

アプリを使ってちょっとしたオチのついた写真漫画を投稿したり、1日を写真日記で綴ったりなどいろいろな使われ方がしたものの、爆発的にヒットするまでには至りませんでした。

「リアルな世界はいかにコモディティ化されないかが重要視されますが、ウェブでは逆にユーザーが増えてコモディティ化が進むほどブランディングされていきます。スケールしてそれが始まると、後発でそこを超えるのは至難の業です。

Slidropであらためて学んだことは、“今、既にあるサービスを良くした”くらいではダメだということ。Decologで似たサービスが後から沢山出てきてそれをよく知っていたはずだったのに、同じ失敗をしてしまったのですね。当たり前ですが、ユーザーにサービスを使ってもらうためには、もっとエポックである必要があります」

まだリリースして1ヶ月にも満たない「Heart is in」ですが、既に700回以上ハートを往復しているカップルもいるそう。1往復毎にハートが大きくなっていったり、100往復ごとにハートの色が変わったりするちょっとした遊び心も楽しめます。できることはたった一つ、「特定の相手とハートをキャッチボールし合う」というサービスコンセプトが受け入れられるのか。ミツバチワークスの新たな挑戦の行く末を見守りたいと思います。

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