東南アジアのオンライン決済は機能しない。クレジットカードや銀行口座を持っている人が少ないからだ。この問題を解決しようとするスタートアップは少なくない。
それらのスタートアップの中に、タイの Omise というスタートアップが参入した。同社は今日、インドネシア/日本を拠点とする East Ventures から30万ドルを調達したと発表した。
Omise の決済システムはまだローンチしていないため、このプロダクトがどのようなものかを現時点で伝えるのは不可能で、オンラインでも情報はほぼ入手できない。それにもかかわらず、Omise のチームは重要な詳細な異様をいくつか Tech in Asia に教えてくれた。
このプロダクトのクローズドベータ版は、9月に開催される Echelon Thailand でローンチする見込みだ。決済に関する現状の問題を解決すべく設計されている。従来の決済システムでは、開発会社は大量の申請書類を提出し、一ヶ月あたり最低量のトランザクションをクリアする必要があり、決済手数料も高額で、加盟店認証を得るまでにも時間を要する。しかも、現在のシステムでは、API に関する資料やテスト環境が不足している。その結果、オンラインストアは、オンラインバンキングや ATM のようなオンライン決済を選ぶことになる。店舗は買い物客に、送金控をメールや他の手段で送信してもらう必要がある。プレスリリースにはこう書かれている。
決済の通知がなされないので、店舗は手動で着金を確認する必要がある。これが配達の遅れや、買い物客の送金控偽造による詐欺を招きます。
Omise は、開発者と非開発者向けの2つのプロダクトを用意しており、いずれもオンライン認証は必要最低限の操作で、月額利用料は無料、決済手数料も定額で利用可能だ。最初のプロダクトは、新興市場向けの Stripe や Braintree のような、OEM 版の決済APIとなる見込みだ。
2つ目のプロダクトは、店舗が Facebook、Instagram、LINE、SMS、メールなどで送金を受け取れる決済アプリだ。Square Cash に似ていて、ユーザはオンライン・バンキングや ATM からの送金のみならず、クレジットカードやデビットカードも利用できる。PCI-DSS 3.0 準拠なので安全だ。
Omise は CEO の長谷川潤氏 [1] と COO の Ezra Don Harinsut 氏によって設立された。東南アジアの決済問題を解決しようとするスタートアップは、他にも Fastacash、Coda Payments、2C2P、MOLPay などがあるが、いずれもまだ始まりに過ぎない。フィリピンの Globe や シンガポールのSingTel などの通信会社は、それぞれ独自の決済システムを発表し、アメリカのスタートアップ Braintree もアジアへ展開を始めるようだ。この地域にまだ勝者はおらず、多大な実験が続けられている。
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【via Tech in Asia】 @TechinAsia
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