「世界のどの街角でも道を聞かれる人になりたい」:モスクワで事業開発に挑むアドイノベーションの山田彩さん

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Aya-Yamada-AdInnovationアドイノベーションの新規事業開発部 海外担当の山田彩さん

ヘッドハンティングされて、広告測定ツールを提供する「アドイノベーション」に2013年11月に入社した山田彩さん。現在、ロシアと日本を行き来しながら、ロシアオフィスの立ち上げに参画しています。今秋のロシアへの本格的な移動を前に、日本にいらっしゃるということでお話を伺いました。

転職の決め手は本気のコミットメント

高校時代にオーストラリア留学を経験し、当時から海外で働きたいという思いを持っていたという山田さん。大学院を卒業後、新卒入社した楽天では、電子書籍リーダー「Kobo(コボ)」のQAエンジニアを担当。

端末やハードの開発はカナダで行われるため、カナダと東京を行き来し、13時間ある時差のなかで仕事を進めていました。1年半かけて端末やウェブサイト、iOSとAndroidアプリなどをすべてリリースした区切りのいいところで転職を決断し、現職に就きました。

「13時間の時差が常につきまとうため、休む暇のない忙しい毎日でした。ちょうど一通りのリリースを終えたところで、ヘッドハンターからアドイノベーションの話があって。生活の長い時間を費やす仕事に本気でコミットしているチームの姿を見て転職を決めました」

会社に入って3週間で海外展開の要員に

広告測定ツールを展開して3年目になるアドイノベーション。日本市場のみならず、2013年末には海外向けのサービスの開発にも着手。新サービスのターゲット市場は、ロシアのモスクワです。

ロシアではモバイルアプリのダウンロード数が顕著に伸びており、世界でも上位を争うほど。一方で、アプリ上の売上げは伸び悩み、多くのデベロッパーが課題に感じています。アドイノベーションでは、日本市場に対してアプリを配信したいデベロッパー向けのトラッキングツールやパブリッシングサービスを準備中。

山田さんが駐在員として海外で働くのは今回のモスクワが初めて。海外に出てみてどんな大変さを感じているのでしょうか。

「ロシアの人もそこまで英語が堪能ではないため、お互い母国語ではない英語で話すという言葉の壁があります。また働き方も違いますし、何かを進める際のフローも違う。やりながら進めて、トライアンドエラーで学んでいる感じです」

内側からエコシステムを変えてほしいという期待

はるばる海外からやってきて、拠点を構える本腰の日本企業。きちんと拠点を構えることで本気度が伝わり、ロシアのデベロッパーコミュニティからも「内側からエコシステムを変えてくれるのでは?」と期待が集まっています。

とはいえ、まったくの異国の地。ネットワーキングを含むビジネスの現場で、山田さんには心がけていることがあると言います。

「ロシアでは、ビジネスでもお友達のネットワークがすごく強いんです。現地に行ってやり取りする中でそのことを知ってからは、例えばコミュニティのリーダー的な存在の方を紹介してもらうなどしてネットワークを広げたりしています。きっとこうなんじゃないか、という先入観を持たないことが大切です」

現地でのネットワークを少しずつ強化することで徐々にプレゼンスを上げています。また、現地メディアで日本のアプリ市場に関する記事を書いたり、イベントで登壇したりする機会も増えています。ロシアのスタートアップシーンの中心であるモスクワで、「Apps4All」や「MBLT (Mobile Business Lightning Talk)」といったイベントに参加し、今ではロシア式に「Аюша(アユーシャ)」と呼ばれるほど。

「本音と建前という考え方がないので、とてもストレートです。基本的に、相手にも自分にも利益がでるように物事を考えて進めていくんです。友達に紹介してもらった時点でその人も友達。だから損はさせない、というスタンスですね」

世界のどの街角でも道を聞かれる人になりたい

海外に出ていくなら、何より「一時情報を大切にするべき」と話す山田さん。なぜなら、海外について私たちが知っている情報の多くは、一度「欧米」の目を介していることが多いから。

「ロシアという国の印象やマーケットに関する情報なども、一度欧米のメディアを経由して入手しているものです。もちろんソースは現地の情報なのでしょうが。でも、やはり自分で直接行ってみて仕入れた一時情報を信頼するべきだと思います。ロシアに来てみてそれを実感しました」

まずはロシアのオフィスと事業の立ち上げに取り組み、その後は欧州や南米などにも拠点を構える可能性があるのだと言います。物怖じすることなく未知の地に踏み込んで行く山田さんはまさに適任。そんな彼女が目指すこと。

「世界のどの街角でも道を聞かれる人になりたいですね。自分のアイデンティティは残したまま、インタフェースの部分だけ現地に合わせて溶け込んで、仲間として認めてもらう。世界のどこを舞台にしても、「よそモノ」とは思われないこと。それってきっとビジネスでも強いはずだと思います」

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