今月も(8月15日から9月16日までのニュース)気になった国内外スタートアップの人の動きをまとめた。少しこの期間とはズレるが、やはり大きな話題になったのはスマートニュースの人材獲得だろう。元ハフィントンポスト日本版の編集長だった松浦茂樹氏が移籍を発表した。
実はこの前にも同社は元米国コンデナスト(関連するが松浦氏も以前、コンデナスト・デジタル、現コンデナスト・ジャパンに在籍していた)事業開発担当の人物がメディアリレーションの役割に就いている。
それ以外の人事に関してもやはりパートナーメディアとの関係強化に関わる担当の強化が目立つ。先日も元グリーの渡部拓也を獲得するなど、まだまだ同社の人材強化はしばらく続きそうだ。一方、本誌では継続取材中のため、記事としては取り上げなかったが、Gunosy(グノシー)の共同代表だった木村新司氏が経営陣から外れたことが報じられていた。本件については改めて時がくればお伝えしたい。
フレッシュな顔ぶれも話題になった。クラウドソーシングで業界を牽引するクラウドワークスを創業期から牽引したひとり、成田修造氏が執行役員から正式に取締役に就任した。学生起業家でもあった成田氏が歩んだ道のりは濃厚で、早い時期に起業を志す人材がどのような経験を必要とするのか、大変参考になる。
- <参考記事>【追記あり】クラウドワークス成田氏が取締役に就任
ベテランのタレント勢ももちろん元気だ。特に頓智ドットの人材は7月にマナボへ参加した近藤純司氏に引き続き、元COOだった佐藤僚氏が成長株のスタートアップへ参加した。ここでもまたベテランと若手のコンビが生まれたことになる。こういうチームバランスは他のスタートアップでも散見されるので、今後の躍進に期待がかかる。
- <参考記事>Showcase Gig CFOに元ブレインパッド CFO の池田 直紀氏が参画、攻めるための体制強化を図る
- <参考記事>元・頓智ドットCOO佐藤僚氏、KiDDYのCompath Meに参画しCOO/CTOに就任
そして世界的にも驚きが大きかったのが元Angry Birds、Rovio Entertainment日本カントリーマネージャーだったAntti Sonninen氏のBeatrobo参加だろう。この記事(※英語版)は海外からのアクセスも多く、「Plan BCD」運営のKAIZEN PlatformがCOOにグローバル人材を据えたのと同様、企業の要に世界展開を可能にする人事を実施したBeatroboの海外戦略を明確に内外に示した形となった。
不安定な起業だからこそ参画までに「慣れる」仕組みが必要
スタートアップに創業メンバー以外で参加するというのは想像以上にリスクが高い。報酬やストックオプションなどの条件もさることながら、不安定な精神状況で模索し続ける精神的な苦痛は、打開できた際の喜びが大きい分、ゴールが見えなくなった時の失望感は筆舌に尽くし難い。
このギャップを埋める方法がいわゆるインターンなどの「ならし運転」だ。Wantedlyなどのように入り口の敷居を低くしたものは増えたが、リクルートのサンカクのように「就職しながら経営参加」という明示は珍しい。類似サービスにスタートアップのCombinatorがあるが、サンカクに比較するとややメッセージが不鮮明だったかもしれない。
- <参考記事>リクルートキャリア、ビジネスパーソンがスタートアップに関わる機会を増やすマッチングサービス「サンカク」をリリース
- <参考記事>候補者獲得から面接管理までエンジニアの採用活動をサポートするGreenhouseが750万ドル調達
- <参考記事>MLBも利用する採用管理ツールRasumatorが1,500万ドル調達
- <参考記事>フード関連業特化の人材紹介を行うクックビズが資金調達、農業関連の人材紹介サービスの事業拡大へ
9月のスタートアップ・テクノロジー人材まとめの話題の最後はこの一本で締めさせていただこう。新体制になっても、社名が変わっても、出身者がどんどんスタートアップに流出していったとしても、このアイデンティティはオリジナルのまま永遠に持ち続けて欲しいと願う。
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