古いエアコンをインテリジェントにするIoT「Ambi Climate」が、2.5万ドルの調達を目指してKickstarterキャンペーンを開始

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今年6月にシンガポールで開催された ECHELON 2014 を取り上げたとき、香港のIoTスタートアップ Ambi Labs (登記は、アメリカ・カリフォルニア州サクラメント)のことについて触れた。彼らは Ambi Climate というデバイスを開発し、ECHELON 2014 では晴れて聴衆賞(People’s Choice)を獲得している。

Ambi Climate は WiFi 接続可能、赤外線によるリモコン機能を持ったデバイスで、部屋の温度や湿度、当地の気候、ユーザの好みを学習してエアコンを制御する。その Ambi Climate が今日から Kickstarter で資金調達を開始した。価格は Super Earlybird Discount(超早割)で1台49ドル、Ambi Labs は総額2.5万ドルを資金調達したい考えだ。

日本では、かなりインテリジェントなエアコンが出回り始めている状況を考えると、筆者も Ambi Climate を初めて見たときには、その市場可能性について懐疑的だった。中国や東南アジアに行くと、GREE(日本のゲーム・プラットフォーマーのことではなく、中国最大のエアコンメーカー「格力」のこと)の旧型エアコンが随所で轟音を唸らせて動いているのをよく見かけるが、そこにはインテリジェントさのカケラも見当たらない。おそらく電気代が安いから、エネルギー効率のよい新しいモデルにリニューアルするモチベーションにもつながりにくいのだろう。そういう市場において、Ambi Climate はエアコンを買い替えずにエネルギー効率を上げられるので、消費者に受け入れられやすいデバイスと言えるだろう。

実のところ、筆者は以前、Ambi Labs の CEO Julian Lee から日本での資金調達について相談を受けたのだが、日本の消費者だけのことを考えた場合、Kickstarter と並行して CAMPFIRE でキャンペーンを張ってみてはどうかと提案してみた。ただ、彼らからすれば、日本の CAMPFIRE に加えて、シンガポールの Crowdtivate や中国の Demohour(点名時間)など、アジアの市場別にローカルのクラウドファンディング・プラットフォームにキャンペーンを張ることはかなり非効率な運用になるので、今回はそのような戦略は選ばなかったようだ。

日本では、分譲マンションの建物埋込型のエアコンで容易にリプレイスできないケースや、賃貸住宅に住んでいて、エアコンが大家による備え付けなどの場合、簡単に省エネ効果を体験するのに49ドルはかなりお得と言えるだろう。日本の電気料金の水準を考えれば、1ヶ月で元を取ることもできるはずである。

広義においては、今後、PlutoIRKitairfy Beacontado°なども競合になり得るだろう。おそらく、ハードウェアが持ち合わせる機能は、どのデバイスも遠からずなので、今後、ソフトウェアでどれだけユーザを魅了させられるビジョンを見せていけるかが、Ambi Climate の資金調達のカギになるように思う。

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