JavaScriptを1行書くだけで、バックエンド専業エンジニアが不要になるAPI「Milkcocoa」

Masaru IKEDA by Masaru IKEDA on 2014.10.17

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(左から)Technical Rockstars CEO 部谷修平氏、CMO 川野洋平氏

ウェブ開発のスキルだけでモバイルアプリが作れる Monaca、デザインのスキルだけでモバイルアプリのプロトタイプが作れる Prott など、自分が持ち合わせているスキルで、アウトプットを出せるようにしてくれる開発環境は増えてきた。最近、サムライベンチャーサミットで見かけた ZUGYUUUN! などは、HTML や JavaScript だけで、ネットにつながるハードウェアの構築を可能にし、すべての人にとって可能性を広げる環境として注目される。

今日紹介するのは、バックエンドの操作が不要になるAPI「Milkcocoa」だ。クラウドサービスの普及により、サーバのセットアップやチューニングのために、データセンターに出向く手間はかなり減った。しかし、依然として、サーバのインスタンスを調整し、フロントエンドの機能が正常にサービスを提供し続けられるようにするため、バックエンドの業務が残っている。

小さなスタートアップにおいては、一人のエンジニアがフロントエンドとバックエンドを兼務しているケースは少なくないだろうが、これがなかなか辛い。サービス開発に傾倒してフロントエンドに集中しているときに限って、バックエンドを調整する必要に迫られるケースが少なくないからだ。誰かの手が借りたい、でも、追加要員を雇う余裕が無い。そんなスタートアップには Milkcocoa がお勧めだ。

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ウェブアプリでユーザのログインやユーザ間のメッセージの交換などを実現する場合、オープンソースの環境では、通例これらのデータ(ログインIDやパスワードなど)は、 MySQL や PostgreSQL などのデータベースに格納する必要がある。そのためには最低限データベースの知識が必要であり、データベースとウェブアプリの間でデータの連携をとらなければならない。Milkcocoa を使えば、JavaScript で関数を書くだけで、データベースに関わる部分の処理が不要になる。JavaScript で入出力したログインIDやパスワードなどを、ウェブ経由で管理できるシンプルなダッシュボードも用意されている。おそらく、簡単なアプリなら、Apache などのウェブサーバのコンポーネントだけで実現できてしまうはずだ。

Milkcocoa を開発したのは、2010年度に未踏ユースに採択され、IPA認定のスーパークリエータに選出された部谷修平(ひや・しゅうへい)氏を中心とする Technical Rockstars のチームだ。彼らの多くは九州大学出身のメンバーで構成されており、以前は福岡市を中心に活動していた。これまでにも、直感的な図からソースコードが出力できる 「clooca」(Yahoo Pipes に似ている?)や、データフロー型言語の「FLOWer」といった、コーダーでなくてもコードが書けるようなサービスを複数開発してきたが、今年8月の Milkcocoa ベータ版ローンチを機に、資金調達や他のスタートアップとの関係づくりを意図して、活動の拠点を東京・渋谷周辺に移した。

現在は無料版しか提供していませんが、来年1月〜2月くらいには有料版を提供できるようにしたいと考えています。有料版では、アプリへのトラフィック負荷にあわせて、バックエンドのスケールアウトの自動化を実現します。さらに、Facebook / Twitter / Google アカウントによるユーザ認証を、JavaScript のコード一行で利用できるようにします。(部谷氏)

Milkcocoa 自体のバックエンドは AWS(Amazon Web Services)だが、バックエンドのスケールアウト自動化を実現するには、AWS に払うアクティブ・インスタンス分のコストがかかる。そこで、有料版のサービス実現のため、彼らは資金調達が必要だと彼らは考えている。

「簡単にモノを作れるようにしたい」というのが、我々の企業理念です。Milkcocoa をもっと多くのスタートアップに使ってもらいたい。ですので、投資家には資金よりも、むしろ、スタートアップとのネットワークが強いところを求めています。(川野氏)

この種類のサービスは、おそらくグローバルに需要があるはずだ。Y Combinator が輩出した Firebase や Facebook に買収された Parse は Milkcocoa の競合になり得るが、彼らはアメリカ市場をターゲットに選んでいて、アジア市場のユーザを取り込めていない。このことから、Milkcocoa は有料サービスのローンチ後、アジア市場に積極的に進出していきたいと考えている。サービスのトップページ、チュートリアル(以下のビデオ参照)、ドキュメントも既に英語化済みだ。

来週月曜日の20日の夜、CEO の部谷氏が東京・晴海で開催される HTML5Minutes に登壇するそうだ。Milkcocoa のデモや開発秘話を、自分の目や耳で確かめたい読者には、この機会に足を運んでみることをお勧めしたい。

“summercamp"/

Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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