Open Network Labが第9期プログラムのデモデイを開催、日本茶を世界に販売する「YUNOMI」が優勝

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2014.10.21

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東京のスタートアップ・インキュベータ Open Network Lab は今日、インキュベーション・プログラム第9期のスタートアップを披露するデモデイを開催した。7月からスタートしたこのバッチには、日本の内外から合計6チームが選抜されたが、うち1チームはステルスモードであるため公開されず、5チームがデモデイでピッチした。

このうち、バッチ期間における功績が優秀と評価された2チームには、それぞれ Best Team Award と Best Growth Award が贈られた。この機会に、Open Network Lab から輩出された優秀なチームを一見してみることにしよう。

YUNOMI【Best Team Award】

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Matcha Latte Media のチームと、表彰するデジタルガレージの林郁CEO(右)。

YUNOMI は、日本茶を海外に販売するオンライン・マーケット・プレイスだ。農林水産省の発表によれば、日本茶の輸出額は現在50億円(2013年)、これが2020年には150億円にまで伸ばすことを目標に設定している。しかし、ポーランドでさえお茶の輸出額はこの3倍の金額に上り、日本茶の高い品質に関わらず、世界の茶市場9兆円に比べ、日本の輸出額が圧倒的に低いのには阻害要因があるからだと、Matcha Latte Media のチームは考えた。

いくつかの阻害要因とは、言語障壁、ロジスティクス、価格の高さだ。YUNOMI は日本の茶農家を世界のティーブランドと結びことで、これらの阻害要因を無くし、日本茶の世界市場における競争力を高めたいと考えている。現在、2,300人のユーザが登録しており、コンバージョン率は35%。販売先の半分はアメリカで、55カ国に向けて販売した実績がある。お茶の販売がうまくいけば、茶器、雑貨、お茶の味の食品、日本のグルメ食材の販売へと分野を拡げたいとしている。

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TABEENA【Best Growth Award】

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TABEENA のチームと、表彰する Open Network Lab 代表取締役の石丸文彦氏(右)。

旅先に行くと、スマートフォンで写真を撮影している観光客を多く見かける。彼らに質問してみると、写真撮影の理由の多くは、旅の記録を残すためと答える。しかし、実際には、撮影した写真をスマートフォンの中にとどめているケースが多い。Facebook に代表されるソーシャル・ネットワークも、友人と体験を共有するのには都合がよいが、記録を残すという点では必ずしも便利な環境とは言い難い。

簡単に写真を記録し、簡単に振り返ることができるアプリとして、TABEENA が開発された。スマートフォンを持つユーザへのインタビューで、一回の旅行でユーザは平均4.7枚の写真を撮影することが確認できており、のべ3.8億人の観光客がいる日本では、年間17億枚の写真が TABEENA のターゲットとなる。

将来は、ユーザの興味、天気、時間、位置情報などをもとに、旅行ガイドに代わるカスタマイズされた情報を提供するアプリにしたいとしている。

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Mobingi

サーバやクラウドへのアプリケーションのディプロイは、エンジニアにとって手間のかかる作業だ。Mobingi はこのディプロイ作業を SaaS により自動化することで、エンジニア一人でもディプロイができるようにしたサービスだ。HerokuEngine YardDigital Ocean などは競合になり得るが、アプリ以外のソフトウェアがディプロイできたり、ベンダーロックインが無かったり、オートスケーリングができるなどの点で、競合よりも優位であると説明する。

この分野の市場規模は、日本国内で2,000億円、世界全体では19兆円に上ると言われる。Mobingi は今年1月に開発をスタートし、9月にクローズドβ版、10月にオープンβ版をローンチした。

untickle

untickle の野村千代氏。
untickle の野村千代氏。

日本で、アトピー性皮膚炎の患者は20人に一人。彼らは症状を悪化させないよう、食事などに細心の注意を払うため、平均して年間24万円の追加支出を余儀なくされている。したがって、アトピー性皮膚炎患者の市場は1兆円規模に上る。

一方、アトピー性皮膚炎患者の悩みは、症状を和らげるためにどのような対策をとればいいか、その情報を集めにくいことにあった。対策は症状や部位によっても異なる。そこで、患者が自分と似たような症状を訴える他のユーザの投稿から、自分にあった対策を見つけられるソーシャル・ネットワーク「untickle」を開発した。

日本アトピー協会などのNPOや、アトピーに効くとされる温泉宿「山辺の家族」などの協力により、既に患者5,600人をユーザとして獲得しており、スポンサー2社、広告掲載依頼は10件に上る。今後、食品会社とのタイアップや化粧品会社のサンプル商品取扱などでマネタイズ。日本のみならず、世界市場にも展開していきたいとしている。

Kabotip

Kabotip の Claude Eguienta 氏。
Kabotip の Claude Eguienta 氏。

写真家がどれだけ美しい写真をソーシャル・ネットワークを投稿し、多くの「いいね」を得ても報酬を得ることはできない。音楽アーティストも生活していくのは大変だ。彼らは価値のある創造物を作り出しているのに、それをマネタイズできる可能性を捨ててしまっている。

Kabotip は、あらゆるコンテンツの投稿/検索プラットフォームで、ユーザは好きなコンテンツを作ったアーティストに、暗号通貨を使ってチップを渡すことができる。チップを得たアーティストは、プラットフォーム上で別のアーティストに対してチップを渡すことができる。

世界中の200人を超えるインフルエンサー、日米仏の12の雑誌、世界の10のファッション・ブログなどとの連携によりユーザ獲得の努力を行う。ビーコンを使って、オフラインの実世界のコンテンツ作品へのチップ、イベントでのチップ、有料会員制度などによりマネタイズを行う。


なお、Open Network Lab は2015年1月から開始される、第10期のインキュベーション・プログラムへの参加を希望するスタートアップからの応募を募集している(締切は11月10日)。参加が認められたチームは向こう1年間、東京・代官山、鎌倉・材木座のコワーキング・スペース「Open Network Space」のほか、デジタルガレージがサンフランシスコに開設するコワーキング・スペース「DG717」の利用も可能となる。特にDG717では今後、シリコンバレーの起業家によるメンタリングの機会を増やすことなどを予定している。

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