〈東京スタートアップ・オフィスツアー〉Fintechが集まる新ハブ、表参道にオフィスを構えたメリービズ

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本稿は、「東京スタートアップ・オフィスツアー」シリーズの一部だ。

記帳代行サービスを提供するメリービズは、今年9月に東京・表参道にオフィスを開設した。2011年の会社設立から3年間、その多くを東京タワーの麓にあるコーワーキング・スペース「0→1 Booster」を拠点に活動してきた彼らだが、今年5月の三井住友海上キャピタルからの資金調達を契機に、ビジネスを一気に加速しようとしている。

新オフィスにメリービズの創業者兼CEO工藤博樹氏を訪ね、このタイミングでオフィスを開設した理由、今後の展開などについて話を聞いてみた。

0→1 Booster で、他のスタートアップとオープン・ディスカッションしてきたのはよい経験だった。しかし、プロダクトのコンセプトもだいぶ固まってきたので、次のステージへ行こうと考えた。プライバシーマークなどの取得を準備する必要からも、独立したオフィスを開設しようということになった。

一つの大きな契機となったのは、ファイナンスが得られたこと。我々のサービスのユニーク性は、そんなにものすごく突出したものではないから、エグゼキューションにはスピードが必要。そのためには、ファイナンスが不可欠だった。(工藤氏)

工藤氏は数年にわたって資金調達に向けた活動を続けていたが、投資家から好意的な回答を得るのは簡単なことではなかった。そんな中、サイバーエージェント・ベンチャーズ林口哲也氏ベンチャーユナイテッド丸山聡氏、トライアムパートナーズの大塚悦時氏、東京で活躍するオーストラリア人実業家 Terrie Lloyd 氏らがアドバイス、それに基づいて工藤氏はビジネスプランをブラッシュアップを重ねた結果、今年5月の資金調達を成功させた。

調達資金を使って、メリービズは今年7月、同社初となるウェブ・インターフェースを開発した。先日、会計プラットフォームの Freeeバックオフィス全般のソリューション展開を発表したが、メリービズでは Freee などとは全く異なるアプローチを展望しているのだそうだ。

メリービズは〝士業の代替〟を目指していない。あくまで事務作業に徹して、士業の専門家にはアドバイスに注力してもらえる環境を提供したい。ユーザには、(ワンストップ・サービスを提供というより)メリービズの便利な部分だけ使ってもらえばいいと思っているので、MoneyForward のような家計簿サービスや、派遣型スキャン代行サービスのスキャンマンなどとも積極的に連携している。(工藤氏)

一般的にテック・スタートアップは、提供するサービスがデジタルであることから、顧客獲得においてもデジタルなマーケティング手法に依存しがちだ。しかし、工藤氏はその方法には限界があると考えており、士業の専門家などとはうまく補完関係を築こうとしているようだ。若手の税理士らは、メリービズにとっての顧客獲得における想定提携先の一つと位置づけられるが、そんな税理士らをとりまく事情について、メリービズは今日、興味深いレポートを発表している

記帳代行の分野には TaxHouse というサービスを展開するエフアンドエム(JASDAQ:4771)などの大手競合が存在するが、工藤氏は、テクノロジーを駆使することで、メリービズがトッププレーヤーになれる可能性を確信している。また、コミュニティの大きさを考えた時、相対的に日本に Fintech のスタートアップが少ないと感じた工藤氏は、東京にも Fintech コミュニティの盛り上がりが必要と考え、情報交換や人材交流を目的とした Fintech Meet-up の開催を始めた。今月26日に2回目を開催するようなので、興味がある人は参加してみるとよいだろう。

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エンジニアは現在2名、システム開発を加速させるべく、メリービズでは、共に働く仲間を求めている。

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メリービズのオフィスから。住居地区であるため高い建物が少なく、新宿のスカイラインの眺めがすばらしい。
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オフィスを出ると、目の前は青山通り。Square も PayPal も、日本の拠点を表参道に置いていることを考えると、この地域は Fintech スタートアップの新たなハブになるかもしれない。

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