EdTech特化のアクセラレータプログラム「Slogan Viling Ventures」第一期卒業生によるDemoDayが開催、優勝は教育アプリの自動生成サービス

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今年の7月にスタートしたEdTech分野のアクセラレータプログラム「Slogan Viling Ventures」のDemoDayが開催された。

教育関連の領域に焦点をあて、3ヶ月の期間で事業をブラッシュアップしてきた8組のスタートアップたちがピッチを行った。

Treasure Box

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学習塾の経営にも携わっている人物神野元基氏は、「Treasure Box」というサービスを開発している。これは数学に特化した学習サービス。数学に関連したサービスといえば、Wolfram Alphaによる「Wolfram Problem Generator」や、最近、680万ドルの資金を調達した中学生のための数学勉強サイト「KnowRe」などがある。

数学は非言語であるため、グローバルに展開できると語る神野氏が提供する「Treasure Box」では、以下の3つのことを可能にしているという。

  • 回答を解析
  • 学習者の思考を理解
  • 問題をパーソナライズ

神野氏が自身で経営している学習塾でサービスを試験的に導入してみたところ、学習スピードが約5倍になるという結果が出ているそうだ。収益モデルは、初月は無料で提供し、翌月から500円を課金するというモデルを想定している。まずはiOSアプリで提供し、リリース半年で100万ダウンロードを目指すという。

Lessen2u

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10代のころからアプリ開発を経験してきた吉兼周優氏率いるチームが開発しているのは、先生選択型のマッチングプラットフォーム「Lessen2u」だ。

これまで学習塾の先生は企業ブランドで選ばれてきた。彼らはより個人間でのマッチングが行われる仕組みを提供しようとしている。特に、地方ではよい先生と出会うことが難しい。その一方で、個別指導ビジネスの市場は伸びているとうい。都会にいる先生に、オンラインで指導が可能な仕組みを提供することで、マッチングを行おうとしている。

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先生は、口コミやレビューでマッチングした後の授業の様子が評価される。お互いの顔を映像で見ながらホワイトボード機能等を利用して授業が行われる。

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TRAVEE

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池田賢一氏が提供するのは、教育と旅をテーマにしたサービス「TRAVEE」。旅行者が旅先でプランを検索し、現地の人にその土地をガイドしてもらうマッチングサービスだ。

異なる言語や文化、価値観に触れることで、グローバル人材の育成を促す狙い。ガイドは現地の大学生などに担ってもらうことを想定しており、は特に東南アジアにフォーカスし、最初はガイドを女性に限定して提供する予定だという。

同様のサービスはすでに複数存在しているが、どう差別化していくのかが気になるところだ。

Link World Japan

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Link World Japanの窪田一郎氏が開発しているのは、日本語を学ぶ外国人400万人を対象とした日本語教育サービスだ。

以前はSONYでエンジニアを務めていたという窪田氏。前職を退職後、3年間に渡って、日本語教師として、日本の会社に勤める外国人を相手に日本語のオンライン授業を行ってきた。

今後、日本においても新興国の人材が流入することなどを見越して、新興国の日本語学習者を対象に学習サービスを提供する。

新興国でも普及しているモバイルを活用して教材を提供し、事前に学習してもらい、講義では課題に取り組んでもらうといった反転授業の形式をとる。

StudyPact

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StudyPactは、Open Network Lab のインキュベーション・プログラム第8期を卒業し、先日は世界33カ国を巡って有望なスタートアップを見つける活動「Seedstars World」の東京イベントで日本代表の座を獲得したスタートアップだ。

StudyPactは、アプリをダウンロードすると連携している勉強アプリがあり、そのアプリを開いて利用すると勉強記録を残すことができる。提携しているのは、Duolingo、Anki、Memrise、Coursera、Edxなどだ。

勉強の継続や目標達成のために、予め目標とその達成にために金額を設定しておき、達成できなかったら設定した金額が没収されるという仕組みがある。達成できなかった人から集められた金額は、目標を達成できたユーザに配分される。

StudyPactではユーザは何を勉強しているのかというデータを取得するため、英語を勉強しているユーザに英語関連のプロダクトを進めるなど、Edu-Commerceの仕組みを構築しようとしている。

Progate

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「Progate」はオンラインでプログラミングを学習するためのサービス。スライドにより基礎知識を学習し、ブラウザで使えるエディタにコードを書いて実践し、画面で表示を確認することで、他のサービスよりも理解しやすく、実践に近い学習サービスを提供しようとしている。

現在、オンラインで対応しているのはHTML、CSS、PHPといった言語たち。「Progate」ではオンライン学習以外にも、オフラインでプログラミング合宿を開催している。

Sports Space

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Sports Spaceは教育の中でも、習い事や体育的な位置づけに近いサービスだ。Tokyo Girls Collection等で企画の経験を持つ尾崎久範氏は「場所✕トレーナー✕ユーザ」を結ぼうとしている。ヨガなどフィットネスはニーズが高まり、トレーナーの数も増えているが、教えるための場所が足りていないというところから、このサービスは着想している。

Sports Spaceは、水族館、プラネタリウム、展望台など、普通とはちょっと異なる場所で、スポーツ教室を開催している。スペースマーケットのような、場所が掲載されており、希望の場所を借りるサービスではなく、ユニークな場所で開催されるスポーツイベントが掲載されており、ユーザはそれに参加するという形式だ。

空きスペースの活用、トレーナーとユーザのマッチングサービスとして成長していけば、さらにおもしろくなりそうだ。

Edut

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Edutの石原誠氏は、元々キーエンスで製造業に関わった後、教育系のスタートアップを立ち上げたという異色の経歴を持つ。英語ニュースアプリ「POLYGLOTS(ポリグロッツ)」の開発を行ったのち、新しいサービスを立ち上げている。

教育アプリの市場を分析してみたところ、教育系のアプリは構造が似ていることに気づいた石原氏は、単語帳、オンライン動画など教育関連アプリの自動生成サービスを提供することを考えたという。これは教材コンテンツをアップロードすると、アプリが自動で生成されるというものだ。

テキスト、選択式クイズ、講義形式、用語集など、アプリの種類をテンプレートから選び、教材をアップロードするとプレビュー画面で生成されるアプリの状態を確認でき、その後アプリ化を行う。プレビュー段階までは無料で提供し、アプリ化するところから有料で提供されるという。

すでに、2つの学校との提携しており、社内教育のコンテンツのデジタル化などにも取り組んでいるという。

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8社のピッチが完了した後、会場に集った人々からの投票でグランプリにEdutが選ばれた。Edutは、次回SXSWにブース出展する権利を獲得した。

EdTechとひとつにまとめても、多様なサービスアイデアが登場した。今後、このプログラムの卒業生たちがどう成長していくのか楽しみだ。

「Slogan Viling Ventures」は、早速本日から第2期プログラムの募集を開始している。教育関連のサービス開発に関心がある方は、チェックしてみてはいかがだろうか。

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