「TiltShiftGen」開発者、深津貴之氏がiQONのUIデザインアドバイザーに就任

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深津貴之氏

ファッションアプリ「iQON」にまた新しい力が参加した。運営元のVASILYは11月14日、国内アプリ開発の第一線で活躍するデザイナー、深津貴之氏が同社UIデザインアドバイザーに就任したと発表した。深津氏についてはカメラアプリの先駆けとなったミニチュア風写真の撮影できる「TiltShiftGen」やQuadCameraなどの開発者としてご存知の方も多いかもしれない。

深津氏は2009年からArt&Mobileやクリエイティブユニット「THE GUILD」などを設立、累計で120万本以上のアプリセールスを経験し、App StoreのBest Appsなどのタイトルも獲得している人物。

同氏のデザインに関する考え方はこの記事にも少し触れられている。

参考記事:デザインはエンジニアリングだ--THE GUILD深津氏が語る「デザインを考えるために必要なメソッドとプロトタイピング」

iQONは先日から開始されているTVCMのタイミングでデザインをリニューアルしているが、その時から深津氏は関わっているということだった。

さてiQONといえば、6月に技術顧問としてRubyのまつもとひろゆき氏を招聘している

Rubyのまつもとゆきひろ氏は6月に技術顧問に就任

深津氏はより現場でのUIディレクションなど、具体的な作業が多そうな印象だが、今後どのようにiQONと関わっていくのだろうか。代表取締役の金山裕樹氏に話を聞いた。(太字の利き手は筆者、回答は全て金山氏、敬称略)

まつもとさんも含め、優秀な外部テック・タレントをどんどん引き込んでますね

金山:前提として、VASILYはテクノロジーとデザインの力で人類の進化に貢献していくというミッションを掲げています。そしてそれを自社単独で行うのではなく、世界中の才能のあるクリエイターたちとのコラボレーションによって挑戦していきたいと考えています。テクノロジー部分ではrubyのまつもとさんに技術顧問を引き受けていただき、一歩前に進むことができました。

デザイン部分でもそのようなコラボレーションできるデザイナーを探していたところ、nanapiのけんすうさん(代表取締役の古川健介氏)に深津さんをご紹介いただきました。

ああ、直接声をかけたんじゃないんですね。

金山:深津さんもVASILY同様、Appleのベストアプリを受賞していることから、深津さんの仕事は存じていましたし、その仕事の品質の高さや考え方に非常に共感する部分がありました。特に共感受けた部分は深津さんの持つ「引きの美学」みたいなところです。

引き?

金山:VASILY社名の由来にもなっているカンディンスキーが教鞭をとったバウハウスの3代目校長にミース・ファン・デル・ローエという建築家がいて、彼はデザインのあるべき姿を「Less is more」(より少ないことはより豊かなこと)と言いました。VASILYのデザインで目指しているところも「Less is more」な部分が多分にあり、深津さんのアドバイスをうけてiQONのデザインを進化させていけたらと思います。

そうだ。社名って画家のヴァシリー・カンディンスキーの名前から取ってるんでしたよね。久しぶりに由来聞きました。さておき、アドバイザーって名ばかりになる場合もあると思うんですが、具体的にはどのようなことをやってもらうのですか?

金山:具体的には今年の秋頃から、週に1回、VASILYのデザイナーとエンジニアを交えたフリーディスカッションを定期的に行なっており、そこで今iQONにあるデザイン的な課題や将来あるべきデザイン像みたいなものを議論し、形にしていくということを行っております。

例えば?

金山:先日行ったTVCM含めた大規模なプロモーション後の利用ユーザーの変化にともなう利用態度の変化に対応すべきデザイン変更やユーザー体験の調整みたいな部分に深津さんと取り組み、結果的にプロモーションによって入ってきた新しいユーザーも取りこぼすことなくきちんとアプリ利用につながるようなデザインができたと考えています。

今後もこのような形で世界中のいろいろなクリエイター、ディベロッパーの力を借りながらiQONを通じて女性がファッションをもっと楽しんでいくような世界にしていきたいと思っていますね。

なるほど。お時間ありがとうございました。

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