飲食店向け無料ツール「favy」がYahoo!予約と連携、その興味深いビジネスモデルとは

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2014.12.16

favy

飲食店向けのデジタルマーケティングツールと聞いて、読者のみなさんは何を思い浮かべるだろうか?

消え去ったサービス類の名称を挙げることはやめておこう。無料ホームページ作成ツール、飲食店向け集客ツール、来店予約。口コミにO2Oにポイント…。そのどれもが「ぐるなび、食べログ」の対抗馬としてあらわれ、消えていった。

最近はソーシャルの流れをうまく捉えたRettyが奮闘しているように思うが、それでもデジタルの世界から「普段のふるまいで」具体的なお店に連れて行ってくれるのは圧倒的にこの二大サービスの割合が大きい。理由は複雑で簡単に分析ができないが、ひとつあるのが飲食店のITリテラシの問題だ。平たく言えばデジタルツールなんてこ難しいものは店舗オペレーションに乗らないのだ。

そういう状況がある中で、もちろん動きもある。例えばスマートデバイスへのシフトだ。

誰もが高機能なネット接続型のデジタルツールを持つことができるようになり、機能も洗練され、さらに店舗でやっかいな「PCの置き場所」という問題も解決してくれるこのデバイスの出現によって、コイニーやスマレジなどの決済やレジツール、O:derやスマポといったポイントツール、さらにトレタのような予約台帳サービスが生まれており、随分とその雰囲気は変わりつつある。

そしてここにまたひとつ、王道とも言える店舗向けサイトの作成サービスが急成長しているという話を聞いた。それがfavyだ。

飲食店向けのデジタルマーケティングツール「favy」を運営するマネタイズは12月16日、「Yahoo!予約 飲食店」と機能連携を開始する。この連携によりfavy利用店舗は「Yahoo!予約 飲食店」のリアルタイム予約機能を利用することができるようになる。現時点での利用はすべて無料となっている。

favyはスマートフォンだけで飲食店などの店舗向けサイトを作成することができるサービスで、求人やウェブ予約、簡易のアクセス解析などを店舗側に提供してくれる。運営するマネタイズ代表取締役の高梨巧氏によれば、favyのサービス開始は2009年(マネタイズ自体の創業は2001年)頃から。サービスのブラッシュアップを続け、ここ1年ほどで2000店舗ほどの利用が進んでおり、利用状況を示すアクティブ率(1週間以内の利用)は6割ということだった。

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店舗が頻繁にアクセスする理由のひとつに投稿アクションがあるという。例えばこの福島県のあるカフェダイニングは、スマートフォンから毎日のお店の運営状況をブログのようにアップしてコミュニケーションを楽しんでいる。マネタイズ側が店舗にアドバイスしているのはメール配信でも、ポイント付与でもなく「お客さんに投稿をシェアしてもらってください」という一言だけなのだそうだ。

結果、このお店は売上アップにも繋がったという。

「これまでのサービスも簡単にホームページが作成できますよ、といったアプローチはありました。私たちが取り組んだのは自動化です。集客から店舗選び、予約に来店からリピート、こういった一連の動作を店舗側に負担なく、自動的にできるようにしたい」(高梨氏)。

店舗がいくら綺麗にサイトを作っても集客がなければ意味がない。

favyではお店が投稿したお知らせなどの情報をシステムと人力の両方でソーシャル上に拡散、つまりバイラルさせる仕組みを持っているそうだ。また、SEOやSEMといった施策にも特徴があり、自然な検索流入などを作り出しているという。

元々このマネタイズという会社はSEMを主要事業として高梨氏が設立した。2009年頃のリーマンショックでその事業を売却し、新事業としてfavyを立ち上げることになったそうだが、その経緯があるからこそ、検索や広告からの流入について最適化する技術やノウハウをこのfavyに注ぎ込んでいるということだった。

ちなみに高梨氏は81世代の起業家で、アイレップ創業期に参加したことで黎明期のSEMをゼロから経験した人物なのだ。この分野に強いことはここからもよく分かる。

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マネタイズ代表取締役の高梨巧氏

そしてもうひとつ、このfavyで興味深いポイントがビジネスモデルだ。

高梨氏によれば、現時点で無料提供しているものに加えてサービス自体の有料版の提供は検討しているらしい。ここまではフリーミアムモデルのお手本のようなものなので、詳細はまた情報が出てきた時に置いておくとして、実は彼ら、もうひとつモデルを走らせている。

それが飲食店ネットワークへのサンプリングモデルだ。

彼らはこのfavy導入店以前に、SEM関連の事業で既に全国70万店舗にリーチできる飲食店ネットワークを持っているという。それらの店舗に対して飲料メーカーなどの新商品サンプリングを獲得ベースで実施してきた。問題は店舗へのお知らせ方法だ。なんとファックスなのだという。

キーになるのは店舗側のデジタル対応だ。つまりここでfavyの役割が見えてくることになる。もし、店舗側が全てデジタル対応することができれば、サンプリングの告知から集票、提供までを効率化することができるようになる。このサンプリングモデルは既に稼働しており、1件あたり3000円から5000円の獲得費用で10万件ほどの積み上げ実績があるということだった。

この分野は冒頭で書いた通り、2大巨塔を前に死屍累々とサービスが積み上がった市場だ。突如として現れた新たな81世代の起業家はここにどういうインパクトを与えるのか、注視したいと思う。

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