月間再生回数が3億8500万回を突破、若者の目立ちたい欲求に応える10秒動画コミュニティ「MixChannel」

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Fukuyama-MixChannel
MixChannel事業部のリーダー兼エンジニアの福山誠さん

日本最大級の10秒動画コミュニティ「MixChannel(ミックス・チャンネル)」について初めて耳にした時、パッと頭に浮かんだのは「Decolog(デコログ)」だった。特定のセグメントに対して根付く独特の文化圏を創出している点が共通していて、話を聞いていて背筋がゾクッとする感じ。

MixChannelは2013年12月にリリースされ、夏休みや、読者モデルが使い出したことをきっかけに飛躍的に伸びている。11月の月間動画再生回数は、前月比7割増しの3億8500万回を突破。アプリは170万ダウンロード、月間訪問者数は350万人(アプリとWeb含む)を超えた。また、昨日発表されたGoogle Playの「2014年 ベストアプリ」にも選出されている。

最近新宿にオフィスを移転したDonutsで、MixChannel事業部のリーダー兼エンジニアを勤める福山 誠さんにお話を伺った。

リアルタイムな撮影ではない、というVineへのアンチテーゼ

MixChannelでは、スマートフォンの写真や動画、音声などを組み合わせて簡単に動画を投稿できる。ユーザー層の70%を女性が占め、一番厚い層は16歳から18歳の女子中高生。ユーザーの動画視聴時間の平均は15分で、中には1日1時間視聴するユーザーもいるほど中毒性を発揮している。

ショートムービーのアプリには、VineやHyperlapseなどがある。それらとMixChannelが根本的に違うのは、リアルタイムの動画撮影ではなく、これまでに撮った過去の動画などが使える点だ。また、iTunesの音楽を使ったり、アフレコ機能もあったりして、個性を発揮しやすい。

「「今から面白いことをやってください」と言われてもプレッシャーだし、利用シーンがかなり限られます。MixChannelは、その場で動画を撮影するより、過去の動画を取り込んで使うことを基本設計にしています」

また、興味深いのが、地方、特に関西にユーザーが多いこと。人口比率で見ると、東京より関西や九州のほうが浸透しているのだと言う。これには、MixChannel上で人気コンテンツとなったカップル動画を最初に投稿したのが、関西の女子大生だったことが起因しているかもしれない。

「東京の一部のハイソな女子高生は高度化している傾向があって、FacebookやInstagramなどの利用者が多い印象です。MixChannelには、自分を全面にさらけ出すような側面があるので、笑いを取りに行くような関西の文化との相性がいいのかもしれないですね」

Likeの連打など、コミュニティ強化のための機能

MixChannelには、コミュニティを育むための特徴的な機能がいくつか存在する。動画の投稿者と閲覧者の関係性を強化するのが、ファン機能だ。投稿者のファンになると、新着動画が投稿される度に通知され、いち早くチェックすることができる。また、投稿者はファン限定で動画を配信することも可能だ。

もう一点、ファンになるための申請をする際に、投稿者に対して応援メッセージを添えることができる。例えば、「いつも見ています。○○さんカップルに憧れています」といった具合に。ファンは思いを伝えられるし、投稿者のモチベーションにも繋がる。

動画に対しては、Likeやコメントの形で反響が集まるが、オープンにコメントする敷居はなかなか高く、いい方法はないかと考えてたどり着いた隠し機能がある。それが、Likeの連打だ。閲覧者は、動画を観た後の自分の気持ちの高まりに応じて、好きなだけLikeを連打できる。投稿者にはその連打の数が伝わるため、非言語のコミュニケーションが成立しているのだと言う。

「中には、100回以上連打して、動画のお気に入り度を表現するような閲覧者もいますね。若者にとって楽しい遊び場になるように、ちょっとしたコミュニケーションの方法にも遊び心を取り入れています」

投稿者同士の関係性を活性化するリンク機能

MixChannel-website

一方のリンク機能は、投稿者同士の関係性を活性化する働きがある。リンク機能には、「リメイク」、「コラボ」と「シリーズ」の3種類がある。

「リメイク」は、動画と動画を関連づけられる機能で、とある動画を元ネタにして、その動画を真似たり参考にしたりして新しい動画を投稿できるもの。真似する側は、動画のネタから考えなくて済むし、元ネタ投稿者も真似されるほどの出来ということで嬉しい。

誰かの作った動画を素材として、コラボレーション作品を作ってリンクできるのが、「コラボ」だ。特にアフレコを使い、独自の音声をのせるコラボが多いと言う。また、「シリーズ」は、動画を連載のように続き物として投稿できる機能を指す。

ユーザーの使い方をじっくり観察し、それに寄り添う機能を作ることで、投稿者間のモチベーションの引き上げに成功している。

カップル動画投稿の楽しさが、リスクを上回る世代

MixChannel-couples-movies

約1年間、MixChannelを運営してきて、一番意外だったのは、カップル動画の登場だったと振り返る福山さん。付き合ってから1周年の記念日や、週末のデートまで、見ているこちらが恥ずかしくなってしまうようなラブラブ動画が次々に投稿される。

TwitterやFacebookなどのSNS活用において、何をどこまで発信するかに慎重になってしまうのは大人だけなのか。別れてしまったら、どうするのか。MixChannelでは、過去の動画をごっそり削除する人もいれば、残す人もいる。また、中には「別れました」の記念動画を投稿するユーザーもいるのだとか。

「彼氏・彼女との動画を投稿することの目の前の楽しさや嬉しさの方が、将来どうなるかわからないという不安やリスクを完全に上回っているんですよね。たぶん、雰囲気ではその可能性を感じているけれど、頭では咀嚼できていないというか」

今後、MixChannelを今の中高生から大学生にも広めて行くにあたっては、その辺りのメリットとデメリットのバランス感覚の影響が懸念される。とはいえ、カップル動画はMixChannelの使われ方の一部に過ぎず、より広く、映像の面白さという文化を育んでいく予定だ。

若者の根源的欲求、目立ちたい!に応える

動画の閲覧者にとって、MixChannelは新しい暇つぶしのアプリだと言える。アプリを立ち上げれば、そこにはユニークな動画が無数に存在し、それらの面白さは、15分という平均滞在時間の長さが物語っている。

一方、投稿者にとってはどうだろうか。MixChannelなら、目立てる。人気者になれる。これこそが、自己表現をしたくてウズウズする若者たちが、新星動画コミュニティに集まる理由だ。そして、この目立ちたい人たちが、MixChannelのCGMを支えている。

「目立ちたい人が目立って、影響力を発揮する。カップルや、かっこいいヤツが本当にリスペクトされるコミュニティにしたいと思っています。だから、動画のカテゴリーもリア充向けのものにしていますね」

MixChannelを学校の教室に例えるなら、投稿者はクラスの人気者。みんなを笑わせたり楽しませたり、その中でバツグンの影響力を発揮する。MixChannelが普通の教室と違う点は、クラスメイトの数が350万人だということ。新しいエンターテインメントプラットフォームとして、この中からスターが生まれて行くのも時間の問題だと言えそうだ。

エンジニアを絶賛募集中

日本で絶好調のMixiChannelだが、今後はグローバル展開にも力を入れていく。先週金曜に出したばかりのAndroidアプリの使われ方を見てみても、海外ユーザーが、カップルや友人と共に動画を投稿している。

現時点では特定の国をターゲットにすることはしていないものの、インターネット人口が伸びている国、またカップル間のアプリを使ったコミュニケーションが普及する韓国には積極的に出して行きたいと話す福山さん。ベストカップルコンテストなどを開催すれば、間違いなく盛り上がりそうだ。

現在、福山さんを含む2名のエンジニアとディレクターの3名の運用体制。AndroidとiPhoneアプリ、またサーバー周りなどを全て2人で見ているため、エンジニアを絶賛募集中だと言う。

「今、一緒にやっているメンバーは、外部から僕が引っ張ってきた人たちです。デザインは、ソーシャルランチの頃から一緒に仕事をしている外部デザイナーさんにお願いしていて。そろそろキツイので、エンジニアは採用したいですね。柔軟性のあるメンバーにジョインしてほしいなと思います」

リリースから1年で既に化ける気配がするMixChannel。今後も追い続けたい。

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