「技術系経営者」濱田氏がメルカリの執行役員になった理由ーーダウンロードは900万件突破

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メルカリ執行役員に就任した濱田優貴氏

全てはこの日、2014年11月26日に始まった。元サイブリッジの共同創業者であり、副社長だった濱田優貴氏が急成長中のメルカリに参加したのだ。

濱田氏は1983年生まれの31歳。東京理科大学在学中に現在同社代表取締役を務める水口翼氏と共に受託開発などを手がけるサイブリッジを共同創業、M&Aや新規事業の立ち上げに従事した人物だ。

彼は近年のスタートアップ・シーンでもよく知られた存在であり、創業会社の突然の退任、そしてメルカリへの参加に(少なくとも私の周囲は)驚きの声が上がっていた。

メルカリはご存知の方も多いと思うが、主要な創業メンバー3名が「経営経験のある技術者」という羨ましい布陣になっている。濱田氏もまた、経営経験のある技術者であり、サイブリッジの役員を2014年10月に退任した後は、個人的なプロジェクトでサービス開発に勤しんでいる姿が見かけられるほど、まだまだ「現場第一線」で活躍できる人材だ。

一昨年の暮れには元ミクシィ取締役の小泉文明氏が参加するなど、メルカリには魅力的な経営、マネジメント層が集う。彼らを引きつける魅力はどこにあるのだろうか?。2015年1月から新たに始まった執行役員制度でその第1号となった濱田氏にショートインタビューを実施してきた。(太字の質問は全て筆者。回答は濱田氏)

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昨年は驚きました。まず読者の方にもわかるように経緯からお願いします。

退職しましたーってfacebookで書いたところ(メルカリ代表取締役の)山田進太郎さんから「おつかれー。退職祝いするよー」ってメッセージもらったんです。更に「会社遊びに来なよー」っていうので遊びに行ったらそのまま入社してました。

なるほど…結構すっ飛ばしましたね。もう少し巻き戻してお話をお聞きしましょう。そもそも濱田さんはサイブリッジを学生時代に水口さんと創業されています。

創業のことについては調べるおさんのブログ記事が詳しいですね(笑。サイブリッジでは既存のメディア運営も含めてですが、新規事業や、外部との提携などもやっていました。サイトでいうと100個以上は立ち上げたんじゃないですかね。

具体的には?私もクーポン関連の取材でいくつかお話聞いたことありましたね。

塾講師の求人サイトとか共同購入クーポンサイトのASPサービスとか、共同購入クーポンのまとめサイト、楽器のレンタルサービス、団体合宿のポータル大学の講義情報サイト、インターン情報のポータルサイト、太陽光発電、飲食店などなど。うまく行かなかったものはこれの10倍以上ある気がします。

サイブリッジ自体は若い企業ながら受託開発などで安定した運営をされていて、水口さんとの「ツートップ」で牽引されていた印象があります。現在は完全に離れてしまわれたのですか?

顧問という形でサポートはしていますね。

なるほど。で、突然辞められた際はちょっと驚きましたが、どうしてですか?

私の中でも辞めるという選択肢はあまり最初は考えてなかったんですよ。

サイブリッジの中で大きな新規事業をやるというのがミッションだと思っていたんですが、安定しているサイブリッジの中で大きな投資や掛けに出ることに会社としても僕自身も踏み切れなかったり、そのリスクを取ってまでやるべきかみたいなところで踏みとどまってたんですよね。

もうちょっと大きいことにチャレンジしたいと考えて仕込んでいたりしたんですが、やっぱり上記の理由でローンチまでいかないこともあって。それで心機一転、環境を変えてみたい、ということで水口に相談したところ、理解してもらえたんです。

そうだったんですね。退職後、私も濱田さん何するんだろうってウォッチしてたら、奥さんのヨガ教室のシステムなどを作られてたので、てっきり自身で創業されると思ってました。

時間もできたし、妻がヨガスタジオを立ち上げるって言うので「システム作ってあげるよー」っていう軽いノリで作ったんですよ。ただ、せっかく作るのだから他のスタジオにも使ってもらおうとSaaS的なものにしてました。

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少し話を変えましょう。メルカリでは具体的にはどのような役割を担うのでしょうか?

今は日本のプロダクトを見つつサービスの改善、外部パートナーとの連携や採用など見ています。私自身前職では幅広く色々やってきたのでプロダクトを軸に引き続き幅広く経営に関わっていく予定です。

メルカリの経営陣は創業3名が全て技術者という大変変わった布陣です。濱田さんもまた技術者だったと思うのですが、こういうパターンは珍しいですよね

メルカリは技術者とプロデューサーのお互いの信頼関係が非常に高くてびっくりするほど円滑に進んでいると思います。そこがやはり文化として現れているんだなと関心してます。

(成長が早いだけで)創業時には違いないですが、このタイミングで参加する決め手って何かあったんですか?

メルカリは使っていて大好きなサービスでしたしやっぱり、決め手は山田進太郎さんと働いてみたかったというのが一番かもしれないですね。

学生の頃から進太郎さんが早稲田リンクスとか作った人だって勝手にベンチマークして理科大.comっていう理科大板を作ってたりしましたし(笑。

そんな昔からウォッチしてたんですね(笑。

あとは、現状のメルカリ細かい数字を聞いていたら震えましたね。すごすぎるって。自分でそこそこの会社やるより世の中にインパクトを与えられますし、そういうマインドの仲間たちと働けると思うのって本当に素晴らしいことだなと思いました。

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数字について具体的に教えてください。どうすごいんでしょうか。

(※この箇所は小泉氏が言及)詳しい数字はしばらく公表はないですが、ダウンロード数は900万件突破してますよ。

なるほど…今日、丁度BrainWarsが開始8カ月で1000万ダウンロードを発表してましたが、メルカリもサービス開始(2013年7月)から約1年半で大台が見えてきているということなんですね。

濱田さんに話を戻して、今後の展開、動きなどについて考えていることを教えて下さい。

やりたいことは山積みなんですが、会社としてはまずはUSでの大成功を再優先に考えています。そのためにできることを模索しつつ、私は既存の日本のサービスを更にどう伸ばしていくかっていうところを考えています。

サービスもかなり大きな規模になってきたので、ユーザーの利便性をより上げるための外部との大きな提携などそういったものもやっていきたいと思っています。

ありがとうございました。

さて、インタビューの様子から代表取締役の山田氏をはじめ、取締役の富島寛氏、石塚亮氏らはアメリカに滞在してより広大なマーケットを開拓し、国内を小泉氏、そして今回新たに参加した濱田氏らが推進する、という大きな姿が見えてきた。2013年2月創業から約2年でこの展開まで現実に進めているという例はなかなかないのではないだろうか。

小泉氏も言及していたが、濱田氏のように経営経験のある技術者というのは本当に少ない。そもそも技術系経営陣のメルカリにさらに一人、同じタイプの人材が加わったことは間違いなくプラスと考えられる。しかも、彼らは元々顔見知り、そういうカルチャーのギャップが少ないことも話の中で大いに伺えた。

仲がいいという話ではなく、共感ができる、という表現が正しいかもしれない。

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