流通総額数十億円後半のBASE、決済事業「PAY.JP」を発表ーー鶴岡氏が語る今後の世界観とは

Takeshi Hirano by Takeshi Hirano on 2015.2.5

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インスタントにコマースを開設できるBASEは2月5日、今春にオンライン決済「PAY.JP」の提供を開始すると発表した。同サービスの提供にあたり、オンライン決済のピュレカを買収し子会社化していることも合わせて発表、また同社の店舗数が15万店舗に到達し、年間の流通総額が数十億円後半に突入していることも公表している。

ピュレカの買収金額や時期については公開されていないが、代表取締役の鶴岡裕太氏によれば、本件の買収は昨年12月時点で完了しているということだった。

BASEが買収したピュレカは2012年7月創業のスタートアップ。開発者向けのオンライン決済サービス「Pureca(ピュレカ)」を提供していた。

利用者はコードを埋め込むことで決済サービスを提供することができ、また利用者側がカード情報を保有することもない。既にドメインはPAY.JPに転送されており、サービスは全て移管されることになる。

BASEはまず、このPurecaのサービスを踏襲した開発者向けの決済サービスから開始する。

インスタントコマースが狙う「ID」

さてさて、インスタントコマースというカテゴリを創造し、牽引するSTORES.jpとBASEは一定の店舗数を獲得し、ここにきてそれぞれ微妙に動き方を変えてきた。ただ、根本的に狙っている場所は似たようなところにあるかもしれない。

それは「決済ID」だ。

彼らは小さな経済圏でのモノの売り買いを活性化させる仕組みをこれまで提供し、それぞれ15万から20万店舗というこれまでにないオンラインコマースの市場を開拓した。これにより「売り手」の拡大は実現したといえよう。

ただ今後ビジネスを考えた時、「買い手」の利便性を考えなければならない。彼らが買いやすい状況を作って初めて「流通総額」は拡大する。もちろん、これは彼らの事業に直結する問題だ。

ここをより利益の出る体質にするために避けて通れないのが決済だ。ここをいかに使いやすく、スケーラビリティのあるものにするか、というのはずっと実は議論されてきた。

STORES.jpは昨年、この課題に対して独自の「ID」を発行し店舗数をさらに拡大、どの店舗でも買い物がしやすい世界観を作ろうとその一歩を踏み出した。それに対し、BASEは決済そのものを自分たちの事業として取り込むことにしたのが今日の発表だ。ここは大きな差異となるだろう。

鶴岡氏の考える個人とIDが紐付いた世界観

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BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

では鶴岡氏の話を交えて彼らの世界観をもう少し掘り下げてみよう。

「ようやくやりたかったことが出来るようになりました。ここまで2年かかりました」(鶴岡氏)。

鶴岡氏が決済のことを私に話してくれたのは2013年4月のこの記事の頃で、明確に「Amazonや楽天ではなく目指すはPayPal」と語っている。構想自体はもう少し前だったかもしれない。オープンしたのが2012年11月頃なので、最初から鶴岡氏はここを狙っていたのがよく分かる。

「最初はデベロッパーライクなものから開始します。WebPayやStripeのようなものになるのですが、今後は決済統一のアカウントに世界観を進めていきたいと思っています。

現在BASEは15万店になりました。もちろん購入者はそのアカウントで買い物ができますし、BASEを使っていなくても、他のコマースがPAY.JPを使った決済を導入していれば、そのアカウントで買い物ができるようになります」(鶴岡)。

鶴岡氏が言うところの決済統一アカウントというのがPayPalのIDであり、AmazonのワンクリックIDであり、楽天ID、ヤフーIDと同じ考え方のものになる。もっとも類似しているのはやはりPayPalだろう。

「BASEでは売主の環境を大きく変えたと思っています。そして今回変えたいのは購入者の環境なんです。15万店舗を獲得し、年間の流通総額は数十億円の後半に突入しています。この資源を活用して少額決済の市場を獲りにいきたい」(鶴岡氏)。

決済系のサービスは世界的にみてもしがらみの少ないスタートアップが担っている。だからBASEはそれができると鶴岡氏はいう。

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「リアル世界の方が決済が便利だというのがおかしいんです。クレジットカードがなくても(このIDがあれば)モノが買える、そういう世界があってもいいじゃないですか」(鶴岡氏)。

彼らに大きな資産があるのはわかっている。一方で、PayPalであろうとその他のIDであろうと、一般のユーザーにとってその取得には結構なハードルがあることも事実だ。IDだらけの今、どうやってそれを広げるのか。

「チャレンジだってことはわかってます。けど、だからやるんです。とにかく今考えてるのはまずBASEがECの入り口になることが大切で、(購入者が)信頼して使ってくれるような安心感を与えられるようにならなきゃいけないと思ってます」(鶴岡氏)。

話を聞いて思ったのは別になにかウルトラCがあるわけではない、ということだ。例えばPAY.JPで使えるIDが発行されて、それが何かのアイデアで爆発的に増える、ということはない。

ただ、BASEは最初から爆発していたからこの短期間でここまでの数字を作ることができた。今回の決済もまた同じように利用者の輪をコツコツと積み上げていくのだろうなと思った。

鶴岡氏は今期から収益化にも着手し、さらに事業としてこの決済事業をもう一本の柱と据えて「BASEワールド」を拡大させようという考えだ。その先にある彼のID構想はどこまで実現されるのか。本当はもっと夢のある話もあったのだが、今日はここまでにして、次の発表を待ちたい。

あと、共同創業者の家入一真氏との創業2周年インタビューも近日公開する予定だ。

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Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現THE BRIDGE)を共同創業。1977年生。(株)THE BRIDGE代表取締役

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