3.3億ドルを調達したFabがテック業界のタイタニックとなって沈没した理由

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<Pick Up> The tech ‘titanic’: How red-hot startup Fab raised $330 million and then went bust

先日も、「激しく調達して弾け飛んだ「あの」スタートアップ9社」という記事があったけれど、立ち上げ当初の期待を裏切ったスタートアップといえばFabがある。FabがどうしてIT業界のタイタニックになってしまったのかというBusiness Insiderの記事をご紹介します。

FabのCEOであるJason Goldberg氏が、同社の役員達を集めて会議を開いたのが2013年10月のこと。3ヶ月前には9億ドルの評価額を受けて絶好調だったのが、社員の3分の2を解雇する必要があると。調達した約3.3億ドル中2億を2年で使ってしまい、維持可能なビジネスモデルが未だに見つかっていなかった。同月中に役員を含む人材が解雇され、結局1年後にはPCH InnovationsがFabを1,500万ドルで買収するという噂が。今月にもそれが実現するらしい。

3年間で跡形もなく散ってしまったFab。北米のビジネスが完全に立ち上がる前に海外展開に手を出し必要以上に人員を増やしてしまったり、配送に時間がかかりすぎるという声に対して在庫を持つモデルに切り替えてしまったり。

Fab-website
Fabのウェブサイト

徐々に扱うアイテムの幅も広がっていた。立ち上げ当初のFabは、「ここでしか見つからない」という発掘が楽しめるサービスだった。でも、結局食べ物からペット用品まで32以上のカテゴリを扱うようになり、当初提供していた競合優位性を失うことに。結局フラッシュセールのモデルすらやめて、在庫を売るだけの普通のECサイトになってしまった。

現在では、Fabとは別にホームグッズを販売する新サイト「Hem」を立ち上げてる。ホームグッズはFabの2012年の売上げの15%を占めていたし、照明などと合わせると全体の40%に。その後、Hemはオリジナルデザインのホームグッズを販売するサイトとして運営され、Goldberg氏はFabを売却し、Hemに注力する判断を下した。

「早く前進し過ぎた」、「フォーカスを見失ってしまった」、「コストや事業指標などを追う強い文化を作れなかった」、「顧客価値提案にたどりつく前にマーケティングにお金を使い過ぎた」、「軌道修正すべきということに気づくのが遅過ぎた」などは、Goldberg氏自身が振り返るFabが失敗した理由。

成功物語より失敗談からの方が学べるというのは本当にそうだと思う。元記事でさらにじっくり読んでみてくださいな。

via. Business Insider

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