Facebookの共同創業者とSequoia Capital、シンガポールの不動産情報サイト99.coに出資

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東南アジアの大手、PropertyGuruやiPropertyに真っ向勝負を挑んでいるシンガポールの不動産情報サイト「99.co」は、Facebookの共同創業者Eduardo Saverin氏および大手ベンチャーキャピタルのSequoia Capitalから出資を受け、投資総額が270万シンガポールドル(200万米ドル)に達したと公式に発表した。最新の投資額は160万米ドルと言われており、それによって同社の評価額は800万米ドルとなった。

同社の前回の投資ラウンドは昨年5月で、Fenox Venture Capital、500 Startups、Golden Gate Ventures、Kathrein Ventures、そしてEast Ventures(情報開示:East Venturesは私たちTech in Asiaにも投資している)から56万米ドルを調達している。2014年に同社はソフトローンチしており、その後月次トラフィック数をそれまでの倍にあたる15万まで伸ばしている。物件数もまた倍の2万6000にまで増加した。

競合する企業らが基本的に有料のクラシファイド広告に頼っている中、99.coは有料のクラシファイド広告のない純粋な検索体験を約束することで他社との差別化を図っている。だが、PropertyGuruとの違いとしては、同社の物件リストは単に不動産仲買業者がいくら支払ったかということを元にランク付けされてはいないとのことだ。物件内容の質も大事だという。

やはり、99.coが住宅や賃貸を探している人に何よりも検索結果や掲載リストで対応しようとしているのは、ユーザーの直感に訴える方法だ。これはGoogle検索の感覚を不動産業界にもたらしているようなものだ。「私がここシンガポールで自宅用の物件を探そうとした数年前、99.coはありませんでした。ですので、利用できるあらゆるウェブサイトやモバイルツールを探したものでした。まさに、絶望的な状況でした」とSaverin氏は話している。

「そのリストは本物で利用できるものだろうか。価格データやその他の情報は正確か。なぜ同じものがたくさんあるのか。問題は多く、使用するのに時間を要するものでした。これは変えなくてはいけないと思いました」

パネルディスカッション、左より: Evan Chung (VP, DTZ), Eugene Lim (KEO, ERA), Mohd Ismail (CEO, Propnex), Darius Cheung (CEO, 99.co), Eduardo Saverin (co-founder of Facebook, Tan Kok Keong (CEO, REMS)
パネルディスカッション、左より: Evan Chung氏 (VP, DTZ), Eugene Lim氏 (KEO, ERA), Mohd Ismail氏 (CEO, Propnex), Darius Cheung氏 (CEO, 99.co), Eduardo Saverin氏 (Co-founder of Facebook, Tan Kok Keong氏 (CEO, REMS)

Marina Bay Sandsのほとりにある海辺の豪華なナイトクラブAvalonで開かれたローンチには、ProxNexのCEOであるMohamed Ismail氏、ERAの「キーエグゼクティブオフィサー」であるEugene Lim氏、そしてDTZの副社長Evan Chung氏など、シンガポール不動産業界の重鎮が訪れ、スタートアップにお墨付きを与えた。また、Saverin氏がその場で理念を語り、99.coがただ単に最良の検索結果をもたらすだけでなく、ユーザーにとって最適な住居を探す手伝いをしているという明確なビジョンを描いたことも大きかった。

彼はサイト上でユーザが様々な交通関係のオプションを見ることのできる機能、そしてそれが買い手の意思決定に与える影響を強調している。「私にとっては、より多くの時間を子供達と過ごせることを意味するかもしれません。シンガポールにとっては、道路の交通量を左右するかもしれません。あるいは私のガソリン代に影響するかもしれません」

99.coは、不動産仲介業者から1ヶ月につき35シンガポールドル(25米ドル)の携帯用アプリ使用料を取ることによってマネタイズする計画である。また、このアプリでは競合を含めて複数の人気サイトに物件情報を投稿することも許可している。有料ユーザはサイトから推奨情報の通知も受けられるほか、重要な情報を閲覧することで事前に潜在的な買い手を選別することができる。

「営業担当者としてはとてもシンプルです。何が欲しいかって?お客様からの電話です。1年間のお試し期間の後、電話が来れば支払いすればいいんです」とChung氏は言う。

シンガポールには約3万1000の不動産業者が存在しており、そのうちの4分の1がアプリの利用代金を払うと仮定すると年間収入は加入分だけで230万米ドルとなる。 これはつまり、このスタートアップはさらに他の収入源を見つけなくてはいけないか、近い将来、海外進出し視野に入れていかなければならない。99.coは今年、シンガポール以外の東南アジアに進出する計画である。

このスタートアップはまた、ルームメイトを探すためのサイトであるHomie.coも運営している。

SimilarWeb によれば、PropertyGuruiPropertyのシンガポールサイトへのトラフィックは、昨年11月から下降しているという。PropertyGuruはトラフィックの落ち込みを認めつつも、それは「季節的」なものであり、同社へのトラフィックはほとんどオーガニックで、実際にユーザーの取引が増えている状況を見れば、特に懸念は抱いていないと語っている。

「誰でも店舗の前で道行く人に金銭を提供すれば、店内に導くことができます。ですが、彼らを購入や問い合わせに誘導することは必ずしもできません。その点を測る上で、ウェブサイトの収益は最高の指標になります。また、まさにその点で、我々は業界でナンバーワンなのです。シンガポールを除いてですが」と iProperty のCEO、Georg Chmiel氏は語っている。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia
【原文】

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