あらゆる不動産ニーズに対応するためにーーiettyがリアル店舗を開設

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ietty代表取締役社長 小川泰平氏
ietty代表取締役社長 小川泰平氏

レコメンド型部屋探しサービス「ietty(イエッティ)」を運営するiettyが、本日、実店舗「ietty −住まいの窓口−」を東京都の恵比寿に開設した。

同社初のリアル店舗となるこの場所では、賃貸物件をはじめとする不動産のあらゆるニーズに応える対面型の相談サービスを提供する。

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「ietty」は昨年12月にiOSアプリをリリース。スマホのチャットで、より気軽に不動産営業マンとユーザがコミュニケーションをとれるようにしていた。今回、リアルな店舗を出すに至った理由とはどのようなものだったのだろうか。

ユーザにとってコミュニケーションしやすい状態に

小川氏「iettyのサービスでは、電話でニーズをヒアリングしてから、その後のやりとりはチャットに移すなど、いろんなコミュニケーションの仕方を織り交ぜています。

チャットだけですべてを完結しようとするのはハードルが高く、サービス提供側の都合が大きい。ユーザによっては直接店舗に足を運んで相談したいという方もいます。あらゆるユーザのニーズに対応するために、今回店舗をオープンすることにしました」

「オムニチャネル」という言葉がある。実店舗やオンラインストアなど、あらゆる販売チャネルや流通チャネルを統合することを指す言葉だが、iettyがとっているアプローチはこの言葉を彷彿とさせる。リアル店舗を始めるとなると、他の不動産会社と比べた際に「ietty」と他社の違いはどこになってくるのだろうか。

小川氏「「ietty」はサービスの提供からスタートしており、不動産会社のネットワークを構築しています。このネットワークを持っているところが「ietty」の強みとなっています」

「ietty」を利用して一ヶ月に数十件の物件の契約を決める営業マンも現れているという。不動産会社にとっても「ietty」を利用することによるメリットが大きくなっている。「ietty」は当初、店舗への送客一件あたり1万5000円という課金モデルだったが、現在は契約が決まった際の成約課金モデルへと変更している。不動産会社にとっては、それでも「ietty」を使うメリットがある状態となっている。

賃貸以外の不動産ニーズにも対応

これまで「ietty」では不動産賃貸を取り扱ってきた。リアル店舗ができたことにより、店舗では不動産売買など、他の不動産ニーズにも対応していくという。

小川氏「不動産業界の負の側面はなにかを考えたときに、不動産市場は細分化されており、横のネットワークは弱いことがあります。賃貸をメインで取り扱っている不動産では、不動産売買については対応してもらえないことが多い。人々にとって不動産に関して、ずっと相談できる相手はなかなかいません。

iettyでは、ユーザのライフステージごとに現れる不動産ニーズに生涯寄り添っていきたいと考えています。まずは店舗で賃貸以外の相談にも対応できるようにし、将来的にはサービス上でも対応できるようにしていくことを考えています」

こうした賃貸以外の相談は、同社が提供している法人向けサービス「ietty Biz」方面でも増えていた。すでに100社ほど参加している同サービス経由で、オフィスビルの移転や社宅に関する相談などが来るようになっていたという。リアル店舗はこうしたニーズに対応していくためのものでもある。

ユーザに寄り添う存在に

不動産はライフタイムサイクルが長い。賃貸であっても、一度契約すると、次に契約するのは2〜3年後だ。その間に多くの人は不動産会社の印象が薄くなり、新たに家を探すときは別の不動産会社に依頼する。

「ietty」はこうした現状にも対応すべく「iettyトータルサポート」というサービスの提供を開始する。これは、入居時の契約から入居中のトラブル、退去手続きまで、各種相談が可能になるという無料サービスだ。店舗、アプリや電話を通じてユーザをサポートしていく。

小川氏が不動産業界の課題だと考えていることのひとつに、人々が安心して相談できる先がないというものがある。今後、iettyは「ietty」という存在のブランド価値を高め、ユーザにとって安心できる存在を目指していくという。

あらゆるチャネルでユーザと接点を持ち、あらゆる不動産に関する相談に対応し、ユーザとの関係性を長期的なものにしていく。全方位的に対応していくことを狙う「ietty」は今年全国の主要都市に展開していくことも視野に入れている。

インターネットサービスとしての印象が徐々に薄れていきそうなiettyだが、インターネット的なアプローチでどこまで不動産業界に変化をもたらせるのかに期待したい。

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