大量の通知から大事なメッセージを救う:ロックスクリーンを活用したメッセアプリ「ScreenPop」が320万ドルを調達

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ScreenPopを開発するLocketのチーム
ScreenPopを開発するLocketのチーム

2013年夏にリリースされ、ユーザーの興味やスワイプの傾向などからスマホのロック画面に個々人にカスタマイズしたニュースや広告を表示するAndroidアプリ「Locket」。同アプリを開発するサンフランシスコ拠点のLocketが、新たなアプリ「ScreenPop」をリリースしました。また、新アプリのリリースと同時にTyra Banksなどから320万ドルを調達したことを発表しています。

大事なメッセージが必ず届く:1日の写真送信数の平均は40枚

ロック解除する前の画面
ロック解除する前の画面

「ScreenPop」は、ロックスクリーンを活用して、写真や絵文字などをスマホの画面スワイプだけで送れるメッセージアプリ。アプリを開く必要すらないのだとか。2ヶ月間のベータテスト期間に15,000人のユーザーが活用し、ユーザは一人当たり1日40枚以上の写真を送るほどアクティブに活用されています。

「スマホを見る度に、友達からのメッセージや写真がそこに既にある状態を想像してみてください。見逃してしまうなんてことが一切起こらなくなるはずです」

と話すのは、Locketの共同創業者でCEOのYunha Kimさん。彼女がScreenPopのアイディアを得たのは、ティーンエイジャーのスマホとの接し方を見た時でした。あらゆるアプリから大量の通知やメッセージを受け取るため、もはやアプリを開いて確認することすらしない。一つ上の世代にとっては、未開封の数がどんどん増えるEメールのような存在なのかもしれません。

ScreenPopなら、送った写真はスマホのロックが解除されるまで表示されているため、見逃してしまうことがない。また、右のスクリーンショットにあるように、スマホを使おうとすると親友からのあたたかいメッセージが迎えてくれるようになります。友人同士のコミュニケーションはもちろん、ScreenPopはカップル間のやり取りにも頻繁に使われているそう。

短期的な利益のためにユーザーエクスペリエンスを犠牲にするな

もともと投資銀行家だったYunhaがLocketの構想を思いつき、一緒にやろうと人を誘ったことでチームが結成したLocket。最初のオフィスは、マンハッタンの2ベッドルームの部屋。Yunhaと男性5人のメンバー、さらに犬3匹の共同生活で、リビングルームで仕事をしては二段ベッドで寝る日々が続きました。現在は、サンフランシスコにオフィスを構えています。

Billion Successというオンラインメディアの取材で、「これまでに受けた最高のアドバイスは?」という質問に過去を振り返って答えているYunha。Locketのユーザーが増え、デイリーのインプレッションが飛躍的伸びを見せ始めた頃、重要な事業判断を下すタイミングが訪れました。クオリティーが多少下がっても広告をさらに増やすのか、広告の数を増やさずに引き続きクオリティーの高い広告に絞って提供するのか。後者の判断で失う売上げは馬鹿になりませんでした。

そんな時に、Blue Run_VenturesのJeff Tannenbaum氏から受けたアドバイスはこうでした。

「ユーザーエクスペリエンスにフォーカスするんだ。短期的な利益のためにユーザーエクスペリエンスを犠牲にしてはいけない。ユーザーがスマホを呼び起こす度に、ユーザーを楽しませ、喜ばせること。これを忘れてはいけない」

Locketのチームは、今でも岐路に立った時にこのアドバイスに立ち返ると言います。チームがScreenPopの一つ前に開発したアプリ「Locket」は、Googleによって「Best Apps of 2014」にも選抜されています。Yunha率いる同社の次なるチャレンジがどう進化していくのか、乞うご期待。

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