メタップスが43億円調達ーー新しい経済システムを目指し、竹中平蔵氏がアドバイザーに就任

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2015.2.12

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アプリ収益化から無料決済、そして宇宙ーーなんとも不思議な世界観を持ったスタートアップが選択した次のステップはやはりスケールが違った。

一部報道でもあった通り、アプリ収益化プラットフォーム「metaps」を展開するメタップスは2月12日、日米のベンチャーキャピタルおよび事業会社、既存株主を引受先とする第三者割当増資の実施を発表する。

シリーズCとなるラウンドで調達した金額は総額43億円で、引受先企業は今後、事業提携発表などを通じて公表していくとしている。また、メタップス代表取締役の佐藤航陽氏によると、小泉内閣時代の金融担当・経済財政政策担当大臣だった竹中平蔵氏がアドバイザーに就任することも教えてくれた。

さて、少しおさらいしよう。

メタップス(創業当時の社名はイーファクター)の創業は2007年9月。佐藤氏は1986年生まれの学生起業家(早稲田大学)で、2011年にアプリ収益化プラットフォーム「metaps」を開始。その際に当時のngi groupなどから3億3000万円の資金調達を実施している(シリーズAラウンドは全体で4億4000万円)。その後2013年3月にFidelity Growth Partners JapanなどからシリーズBで約10億円を調達。(ここまでの流れは大柴貴紀氏のブログに詳しい

2011年から開始した海外展開により、日本以外にもシンガポール、サンフランシスコ、ロンドン、香港、ソウル、台北、上海にオフィスを構え、これら海外売上高は全体の約7割を占めるほどに成長しているという。

収益化という面で、同時期にサービス開始しているアドテクノロジーのフリークアウトなどと同じ文脈で語られることも多く、同プラットフォームを導入しているアプリは世界中で12億ダウンロードを記録している。

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credit: NASA Goddard Photo and Video via FindCC

さて、ここから少し方向が拡大する。金融事業の開始だ。2014年4月には無料の課金プラットフォームSPIKEを開始し、約7カ月で4万店舗の獲得に成功(同社発表で現在は5万店舗)。昨年10月に発表された宇宙・ビッグデータ事業については私も書かせてもらったが、大変興味深いと同時に、単なるアドテク・アプリ収益化事業の文脈だけで語るのが難しくなってきたのも事実だ。

参考記事:メタップスとスペースシフト、超小型衛星を活用した地球規模のビッグデータ解析ビジネスに共同で着手

そして今回の大型調達。

ここ1年ほどは国内スタートアップでも十数億、時には数十億規模の調達も不思議ではなくなりつつあるのだが、それでも使い道はTVCMなどのカロリーが高いマーケティング施策が中心だったりする。そもそもネット企業というのはバーンレートが低いことで急成長してきた分野なのだ。彼らは主に人工知能などの人材獲得、研究開発に資金を投じるとしている。

メタップス代表取締役の佐藤航陽氏/撮影:Tech in Asia

ということでメタップスがどこに向かうのか、チャットベースで佐藤氏に現状を聞くことができたのでお伝えする。(太字の質問はすべて筆者。文中敬称略)

細かい事業進捗についてはまたどこかで情報出されると思うので、今回は少し大きめの世界観をお聞きしたいと思っています。まず、金融事業のSPIKEが開始10カ月で5万店舗の獲得に成功しました。一方で突如として浮上してきたこの事業がメタップスの全体にどう影響を与えるのかまだ掴みきれてません。

佐藤:戦略的な位置付けとしては、SPIKEはオセロの四隅の1つだと思っています。ITのビジネスモデルはざっくり分けると広告と課金の2つです。一方でビッグデータやAI(人工知能)が最も活かせる領域は広告と金融の2つです。長期的に重要になる領域とテクノロジーにとことん投資をしていくというスタンスでやっています。

なるほど。

佐藤:構想的な位置付けとしては、新しい経済システムを作りたいというのが目的にあるので、(SPIKEは)その重要なファンクションの1つです。今の経済にも、銀行や電力会社のようなものが必ず必要であるのと同じで、ITが完全に浸透した後の経済にも必ず必要になる基点は存在するでしょうから、それの1つだと思って頂ければ。

次に宇宙・ビッグデータ事業について。前回は少し推測含めて方向性を書いたのですが現在具体的な進捗等、どのようになってますか?

佐藤:一番難しいと感じる点としては「まず打ち上げてみないと始まらない」ということでしょうか。アプリみたいにとりあえず出してみるというのが出来ない。

まあ確かにそうですよね。衛星ひとつ調達するにしても想像しにくい世界です。

佐藤:数年スパンで腰を据えてやる必要があるというのが現状です。ただ、未開のフロンティアなのでアイディア次第でもあります。今は米国と中国のIT企業の余った利益が宇宙産業に流れてきているので、宇宙がIT産業の一部になるのは多くの人が想像しているよりもずっと早いのは間違いないと思っています。

ありがとうございました。

ーー今回、佐藤氏との短い会話の中で聞こえてきた「新しい経済システム」というのが今後、彼らを追いかけるにあたってのヒントになりそうだ。今回アドバイザーに就任した竹中氏はご存知の通り、日本の経済政策そのものに携わった人物でもある。

スマートデバイスが普及し、人間の生活がすべてログ化されていく中でそれらを解析、対するアクションを提供する世の中はもうやって来ている。

ある時は広告のような事業になるだろうし、ある時はお金の流れを生み出すものになるかもしれない。佐藤氏の頭の中には、大量のログ・データが生み出された世界において、どこに「関所」を作ればいいか想像ができているのだろう。

「宇宙」のようなキーワードが出てくるとどうしてもSFのような遠く離れた世界の話題に聞こえてくるが、彼らが取り組んでいるものは決して突拍子のないものではなさそうだ。今後、事業提携とともに明らかになるという事業者たちの姿にも興味が湧いてくる。

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