100万DL突破の「ネイルブック」を運営するスピカがB Dash Venturesなどから総額1億円を調達

Yukari Mitsuhashi by Yukari Mitsuhashi on 2015.2.26

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先日23日に、100万ダウンロード突破を発表したネイル写真共有サービス「ネイルブック」。同社は本日、B Dash VenturesとグリーベンチャーズからシリーズAで総額1億円の資金調達を実施したことを発表しました。ゆめみからスピンアウトして始まったスピカですが、これまでにインキュベイトファンド、ソラシード・スタートアップスなどから調達した5000万円を入れて調達額の総額は1億5000万円になりました。スピカの代表である國府田勲さんと川端綾子さんにお話を伺いました。

2011年4月のサービス開始から4年弱かかっての100万ダウンロード突破。「定着して使ってくれるユーザーを増やして行く」という方針のもと、ダウンロード数だけを伸ばす目的の有料プロモーションなどを一切行うことなくここまでやってきました。

「ネイルブックはまだマネタイズしていないため、広告費を払い続けないとユーザーが獲得できない状態ではなく、広告を使わずにユーザーが増えていく仕組みを構築しようと考えてきました。ネイルブックはほぼ、リアルな口コミだけで伸びてきたと言っていいと思います」(國府田)

自然なタイミングで口コミを広げる仕掛け

ネイルブックが大事にしている指標は、登録するネイリストさんの数と、写真の投稿枚数の2つ。そもそもネイル自体、月に1度くらいの頻度でやりにいくものなのでリテンション以上に上記の2つの指標を重視しています。ユーザーが増えるのは、そこに参考になるネイル写真が沢山あってこそ。コンテンツである質の高いネイル写真を増やすためには、大勢のネイリストに活用してもらう必要があります。

ネイルをやる女性ならわかるように、やりたいネイルデザインが見つかったら、自分のスマホ画面をネイリストさんに見せて「こんな風に仕上げて」と依頼します。ユーザーとネイリストのやり取りにほぼ必ずある、このスマホ画面を見せるタイミングでネイルサロンをネイルブックに勧誘しています。具体的には、デザインを確認しようとネイル写真を拡大したタイミングで、登録サロン募集の告知を表示。すると自然に、「このアプリ何ですか?」という会話が生まれ、ネイルサロン店頭でネイルブックを広げることに繋がっています。

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また、ネイリストのコミュニティでは、新しいデザインやインスピレーションを得るためにお互いのブログを参考にするのだとか。そこで、ネイルブックのアイコンをブログパーツとして用意して埋め込んでもらうことで、ネイルブックの認知向上や申し込み数の増加を図っています。

予算がないからこそ成長できた

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「ネイルブック」の成長


ネイルブックの立案者は、川端さん。ゆめみからスピンオフして誕生した事業ですが、当初の立ち上げ予算は稼働費も含めわずか80万円でした。新規事業なんだからと数百万から1000万規模の投資を前提に事業計画を出したものの、投資額が高ければ高いほど事業への期待も高く、企画がなかなか通りませんでした。80万円なら、ということでGOが出たのがネイルブックだったのです。

「今、振り返ると、そこが成功した要因なのかなと思います。お金があったら、何でもお金で解決していたと思います。プロモーションの予算があれば、最初から人気メディアに露出する方法をとってしまったかもしれない。お金がないからこそ、知恵を出して地道に、着実に進めていくことができました」(川端)

また、予算が限られていたことによるメリットは他にもありました。ネイルブック事業が初年度掲げていたテーマは、小さく早くまわすこと。リーンスタートアップの手法で、まずMVP(実用最小限の製品)を作ることにフォーカスしました。ここでも、ギリギリの予算しかないことで、あれもこれもと機能を欲張るのではなく逆に削ぎ落とし、ネイル写真の投稿と閲覧だけのシンプルなアプリが実現しました。

「最初は、ネイルだけに絞らず美容全般で同じようなアプリを構想していたんです。でも、最初から大きく始めてしまうと予算的に厳しいからという理由でネイルに絞ったんです。この判断がサービスをとがらせることにもなったし、ユーザーへのわかりやすさにも繋がったと思っています」(川端)

100万ダウンロードの次に目指すこと

100万ダウンロードという一つのマイルストーンをクリアしたネイルブックが次に目指すのは、現在は1,300店舗が利用している公式アカウントを増やすこと。例えば、大手サロン検索サイトの有料掲載店舗数は5,000〜6,000店舗。公式アカウントの開設が無料である強みを活かして、業界一位を目指します。

このネイルサロンによる公式アカウントの登録を促進するであろう企画が、春くらいにリリース予定のサロンの予約アプリです。新しいネイルのデザイン探しはネイルブックで行い、サロン探しと予約は新アプリという具合に連携させていきます。

これは、あくまで筆者の個人的感覚ですが(でもきっと賛同してくれる人は多いに違いない)、日本のネイリストさんの技術は世界一。現在、ネイルブックの新規ダウンロードの4割を海外のユーザーが占めています。とはいえ、自動翻訳で多言語化しているのはまだ英語と中国語に留まるため定着率は高くありません。サロンへの送客という挑戦が上手くいけば、海外展開に本腰を入れることも視野に入れています。

「この度の資金調達により、今後は人の採用に力を入れたいと思っています。成長のボトルネックになりえるのは人的リソースと考えているので、スピカで一緒に女性向けサービスを作りたいエンジニアやデザイナーを募集しています」(國府田)

以前に行ったスピカの女性ディレクターの正木友佳さんへのインタビューを含めて、毎度メールでやり取りしたりお話したりする度に楽しそうな会社だなと感じるスピカ。丁寧にサービスを作っていて応援したくなります。今後、さらに勢いを増して成長していってほしいです。

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Yukari Mitsuhashi

Yukari Mitsuhashi

三橋ゆか里。東京在住のTechライター。フリーランスになる前は、日本のスタートアップ数社にて勤務。彼女のブログ「Techdoll.jp」は、海外のスタートアップを日本市場に紹介している。映画「ソーシャル・ネットワーク」の日本語字幕と吹替を監修。Twitter アカウント @yukari77

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