40億円調達のラクスル、彼らが次に目指す「リアル集客プラットフォーム」とは?

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一部報道にあった通り、印刷コマースを提供するラクスルは2月17日、第三者割当増資の発表を実施する。調達した総額は40億円で、引受先は既存株主のオプト、グローバル・ブレイン、WiL、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、ANRI、電通デジタル・ホ ールディングス、GMO VenturePartnersの7社に加え、新規株主としてリンクアンドモチベーション、グリーベンチャーズ、 Global Catalyst Partners Japanの3社が加わる。

ラクスル代表取締役の松本恭攝氏によれば、調達した資金は「ラクスルの持つ印刷会社ネットワークの強化」、「マーケティング」、「海外挑戦」、「開発チームの強化」という4つの重点ポイントに投下されるということだった。また、これに伴い昨年から始動している中小企業向けの集客支援プラットフォーム事業をさらに加速させる。

ラクスルの創業は2008年。2014年2月に実施した15億5000万円の大型調達までの道のりについてはTech in AsiaのWillisがインタビューしたこの記事に書かれているので知りたい方はぜひ、おさらいいただきたい。

彼らの特徴は全国にある「眠れる」印刷機に焦点を当てたことにある。印刷比較サイトを立ち上げることで、稼働していない印刷機を持つ印刷会社をネットワーク化、空いた時間を使うことで印刷の低価格化を実現した。

さらに集客と注文を効率化する印刷コマースサイトを立ち上げることで、売り上げにも貢献し、結果的にラクスルネットワークに参加した印刷会社の中には売上に対して2割増の企業も出てきているという。クリーニングやカルチャーセンターなど、既存のリアルな事業をクラウド化する事例の先駆けとして注目されている。

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そして今回の大型調達で目指すのは「攻めのラクスル」だ。彼らが強化を目指す「中小企業向け集客支援プラットフォーム」とはどのようなものだろうか。松本氏の話を交えて説明したい。

「ラクスルのお客さんってチラシとかカタログを刷ってくれる方が多いんです。学習塾やフィットネスを運営しているような店舗商売の方ですね。そういう方って半径500メートルとかが商圏だったりするんです」(松本氏)。

こういったいわゆるスモールビジネスの事業者は(私も実家が個人事業主だったからよくわかるが)広告宣伝の知識や方法に疎い場合が多い。広告代理店に頼むような費用はかけられないし、自分でデザインしてポスターを制作するようなスキルも学ぶ時間もない。ラクスルが狙うのはこのエアポケットだというのだ。

「現在、ラクスルに登録してくれている事業者は10万アカウントになります。彼らの多くは印刷が目的ではなくお客さんを呼びたいんです。こういった方々にデザインから印刷、折り込みまでを一気通貫で、しかも手の届く価格で提供したいんです」(松本氏)。

現在、ラクスルはチラシをデザインできるオンラインツールを提供している。実際に使ってみると分かるのだが、テンプレートが用意されており、簡単なパソコン操作が可能な人であれば文字を入れ替えてチラシを作ることができる。また、折り込みについても地図からポスティング範囲を選択して注文するだけで、印刷から折り込みまで自動的に実施してくれる。印刷から折り込みまで実施して数万円という価格は、確かに肌感覚的に安い。

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「これまでラクスルはシェアリング経済の文脈で印刷会社さんの効率を高めてきました。でもこれからはフロントの価値、つまり「印刷を使うお客さん」の価値を作っていきます。現在は全体の売り上げに対して5%ほどのインパクトですが、これを早期に30%まで伸ばします」(松本氏)。

松本氏によれば、ラクスルには今、元印刷メーカーなどのマネジメント層が集まってきており、人員もCSなどを合わせると全体で100名規模に成長している。今後は現在の顧客アカウント数を10万から早期に100万アカウント規模に成長させるということだった。

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