100年先を見据えて事業と組織を成長させていくために−−ツクルバがEV、アカツキらから資金調達

Junya Mori by Junya Mori on 2015.2.25

本誌の読者であればツクルバという名前を聞いたことがある人も多いだろう。だが、その多くは「co-ba」というコワーキングスペースの運営している会社として、もしくは空間プロデュースを手がける会社として認知しているのではないだろうか。

ツクルバが本日、East Ventures、アカツキなどから第三者割当増資を実施したことを発表。金額は非公開となっているが億単位の出資となったようだ。今回の増資により、ツクルバはエンジニアを中心に採用を行い、インターネット領域を中心に事業を拡大していく方針だ。

co-ba」の運営は継続し、アカツキをてがけ、現在は移転予定のメルカリのオフィスを手がけているという空間プロデュースの事業は社内に「tsukuruba design」という専門のチームを設置。これらに加えて、今年1月にリリースした中古住宅のオンラインマーケット「cowcamo」の事業を伸ばしていくことになる。

今回の出資に関して、ツクルバの共同創業者の代表取締役CEO村上浩輝氏と代表取締役CCO中村真広氏、アカツキの共同創業者の代表取締役CEO塩田元規氏と、取締役COO香田哲朗氏の4名に話を伺った。

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出資に至るまで

村上氏:最初は、両社のメンター的存在がきっかけで、アカツキと出会いました。ツクルバのメンター的存在の方から、2人で創業して、会社で大事にしていることも似ているところがあるから紹介したいと言われて。

香田氏:たしか2013年の5月くらいですね。その後は、共通の友人もいて、公私とも行動する機会が増えていきました。

村上氏:最初、会社を立ち上げたときはとにかく色々やって、会社を運営するお金を稼ぐのに精一杯でした。新聞の広告を作ったり、ウェブサイトのデザインやアプリを作ったりもしていて。2期、3期目は黒字になって、社員も増えてきました。少し余裕が出てきて自分たちがやりたいことを考えたときに、受託中心だと頭打ちになってしまうので、自社事業型にシフトしていきたい、もっとスピードを上げていきたいと考えました。

中村氏:そう考え始めたのが2014年6月ごろ。ちゃんとアクセルを踏みたい。ではどう攻めるか。増資も、アクセルを踏むための選択肢のひとつとして検討していました。

村上氏:自分たちでも利益は出ていて、すぐに増資する必要はない状態で、どうしようか悩んでいるときに香田くんに相談してたんです。そしたら、「たとえば僕らと一緒にやるのはあり?」と聞かれて。全然想定していなかったので驚きましたね。

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香田氏:恋愛の相談してたら「じゃあ俺と付き合う?」って言われたみたいな感覚だよね(笑)

村上氏:そんな感じ(笑)そもそも、増資に関する相談をしている時点でかなり信頼している相手だったのでお願いできるならぜひ、と決めました。

1人では世界は変えられない

香田氏:アカツキとしても、出資するのは初めて。前々から話はあったものの、具体的には動いていませんでした。今回のツクルバへの出資も、付き合いがある会社から話があったということが前提にあります。その上で出資に至った理由は、ビジョンや組織に対しての考え方も似ていて、目指す世界が似ていることなど共通点が多かったことがあります。

塩田氏:なぜ事業をしているかというと、自分たちの理念を実現するためにやっていて。でも、自分たちの時間の範囲内だとやれる限られてしまうじゃないですか。ツクルバの2人を知ったときに、この2人にお金と想いを実現するためのアドバイスがあれば、絶対に実現できる意思をもった2人だと思いました。

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塩田氏:そういう人たちに出資すれば、自分たちが直接事業ができなくても、世界はよくなっていくな、と考えたことが前提にあります。もちろん、経済合理性や事業性も考えるんですが、前提は共感できているかどうか。

リターンはあまり目的にしていません。僕達が提供できる価値はそこじゃないと思っています。事業を立ち上げてきた起業家が出資する理由は、自分たちもめちゃくちゃ失敗してきた経験を分かち合うことにあると思っています。儲かっているからとにかく出資をするのではなく、規律ある投資をしていきたいですね。

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中村氏:僕達も、将来的に資金ができてきたら、自分たちではできていないけれど、良い事業をしている人たちに投資したいと考えていたりしたので、アカツキさんのような考えで出資してもらえるのは嬉しいですね。

塩田氏:ほんとに世界を変えようと思ったら1人じゃ絶対無理じゃないですか。100年スパンで物事考えて、仲間を作っていかないと。

会社を成長していく上でぶつかる壁

塩田氏:色々、事業や経営に関する相談を受けると、以前の自分たちが経験したことを話したりするんですけど、そうすると当時のこと思い出して学びになるし、事業や会社のフェーズが違う起業家を間近に見ると刺激になるんですよね。

村上氏:アカツキは数年で会社の規模を成長させた会社です。それだけの速度で成長すると、きっと色々な壁があったはずで、これから成長を目指していく自分たちとしては、そのあたりに関してのメンタリングをお願いしたくて香田さんにはツクルバにアドバイザーとして入ってもらいます。

中村氏:まだツクルバはチームではあるけれど、組織にはなっていなくて。組織づくりの上でアカツキを参考にさせてもらうことが多かったんですが、村上と2人で話しているうちにファシリテートしてもらう人が必要だなと。

香田氏:「このときにはこういうことが起こる」っていうことの普遍性はかなり高くて。その波の大きさをどれだけコントロールできるかなんですよね。アカツキが経験してきたことで参考になることを伝えていけたらと思います。

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(インタビューここまで)

ツクルバとアカツキの2社は、ビジョンの追求と会社としての規模や勢いの追求という2つのバランス感覚が似ていた。ポジティブな意味で「割りきらない」ことを選んでいる彼らは、この部分に共感し合い、今回の出資に至った。

会社の規模をどれだけ大きくできるか、事業をどれだけ成長させるかにコミットすることと、最初に掲げたビジョンを維持することの両立は困難な作業になる。この困難な作業に負けずに事業に取り組んでいくためには、目指す世界を共有し合える起業家仲間とともに挑戦していくのがいいのかもしれない。

今回の彼らの増資を意外に感じる人もいるかもしれない。筆者がツクルバの創業者の2人と初めて会ったのは2011年の秋ごろだった。まだツクルバを創業する前で、「co-ba」という場所を作る予定について話を聞いたことを覚えている。当時、彼らが発していた熱気は、スタートアップの起業家たちに似ていた。当時から2人を知る筆者としては、今回の出資は必然だったようにも感じる。

今後、ツクルバは中古住宅のオンラインマーケット「cowcamo」に注力していくにあたって、エンジニアを採用していく。半年で開発チームを10人ほどの規模まで成長させる予定だという。

新たなチャレンジをスタートしたツクルバがどうなっていくのか、引き続きこれからに注目したい。

Junya Mori

Junya Mori

モリジュンヤ。2012年に「Startup Dating」に参画し、『THE BRIDGE』では編集記者として日本のスタートアップシーンを中心に取材。スタートアップの変革を生み出す力、テクノロジーの可能性を伝えている。 BlogTwitterFacebookGoogle+

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