バックオフィス業務クラウドソーシングのGozal(ゴザル)、士業7分野とのマッチング提案サービスを開始

Masaru IKEDA by Masaru IKEDA on 2015.3.18

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BEC(ベック)は、士業と中小企業やスタートアップを結ぶマッチング・サービス「Gozal(ゴザル)」を昨年8月にローンチ、昨年末にはサイバーエージェント・ベンチャーズSeed Generator Fund から約1,000万円を資金調達している。同社は今日、ユーザ(中小企業やスタートアップ)が質問や相談を投稿することで、全国の士業7分野の事務所から業務の請負提案が受けられる機能を追加したと発表した。

ここでいう士業7分野とは、弁護士(法律事務所)、弁理士(特許事務所)、公認会計士(会計事務所)、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士。東京・大阪・名古屋を中心に各分野10〜15事務所、合計100人ほどのプロフェッショナルが Gozal に登録している。

これまでは、士業事務所にそれぞれの得意分野(例えば、デューデリジェンス、特許出願の業界分野など)を Gozal 上に登録してもらい、ユーザはその業務サービスをパッケージとして選択していたが、士業の支援が求められるバックオフィス業務が多岐にわたり、ユーザにおいては、どのプロフェッショナルに依頼していいかわかりにくいケースもあることから、BEC ではユーザが相談内容を投稿し、それに基づいて、複数の士業事務所から価格と対応の提案を受けられるマッチング・サービスを提供することにした。

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非対面のクラウド完結でサービスを提供するか、実際に対面相談ベースでサービスを提供するかは、士業事務所が自由に判断して提案できる。対面のケースを想定してユーザは住所を示すために郵便番号の入力が求められるが、非対面で十分対応可能な定型サービスであれば、北海道のスタートアップのバックオフィス業務を沖縄の会計事務所が受託することも可能で、法律上の制約も生じない。

ところで、Gozal でマッチング・サービスを提供しても、BEC には一銭も実入りがない。これは、士業7分野のうち弁護士と司法書士については、業務仲介をすることで第三者が手数料報酬を得ることが法律や職業倫理規則で禁じられているとの理由からだ。クラウド完結でサービスがやりとりする場合、BEC がクレジットカードによる決済業務を提供することもできるが、同様の理由により BEC は付加手数料を徴収することはなく(決済プロバイダに支払う手数料のみ士業事務所側が負担)、マッチング・サービスにありがちなエスクロー的な機能も提供されない。

では、どのようにマネタイズするのだろうか。CEO の高谷元悠(たかたに・もとひろ)氏に聞いてみた。

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BEC CEO 高谷元悠氏

4月からは、士業事務所からは広告料という形で料金を頂戴し、その事務所の受付ページ、リッチコンテンツを提供していきます。この形なら問題は生じません。

また、例えば、投資契約書の基礎知識など、バックオフィス業務について士業の先生方にレクチャーしてもらい、その内容を動画の有料コンテンツとして配信します。そのほか、契約書類、登記申請書類など、100種類以上のフォーマットを自動生成できる機能を有料で提供する予定です。(高谷氏)

士業事務所が Gozal に参加するにあたっては守秘義務の遵守を求められ(職務規程上、Gozal 参加以前に守秘義務遵守は求められるが)、有資格のプロフェッショナルのみがアカウントを開設でき、パラリーガルなどアシスタント業務の従事者にはアカウントが発給されないルールとなっている。

士業の事務所は顧問契約など安定的な収入を持っていると思われがち。一部ではそういう収入が増えているが、多くの事務所は単発の案件で回していることが多い。彼らのニーズと事業経営者のニーズをマッチングできると思いました。

意外にも、上場企業などからも問い合わせがあります。彼らには普段からお抱えの監査法人がいるが、財務デューデリなどの定型業務を依頼しても費用が高い。そのような定型業務は Gozal を使う、という使い分けをしようとしているようです。(高谷氏)

Gozal はこれまで1ヶ月あたり30件ほどの取り扱いだったとのことだが、今回の提案マッチング機能のリリースに伴い、相談取扱数を10倍の月300件ほどにまで成長させ、年内には士業1,000事務所を獲得する計画だ。

高谷氏は BEC の創業前、あずさ監査法人で企業の上場準備(IPO支援)業務に従事していた。サイバーエージェントのエンジニアだった黒瀬瑛之(くろせ・えいじ)氏と2人で BEC を創業し、現在は高谷氏以外にエンジニアやデザイナーなど7人が業務に従事している。

士業分野においては、どこまでをインターネットでサービスとして提供してよいか法律解釈に曖昧な部分が多いが、高谷氏は今後、中央官公庁のグレーゾーン解消制度(企業実証特例制度)などを活用して先行事例を作り、 Gozal で提供可能なサービス分野を積極的に拡大していきたいと意気込む。

この分野では、アメリカの同業スタートアップ UpCounsel が、これまでに合計400万ドルを資金調達している。日本の同業スタートアップ Bizer との差別化という観点では、Bizer が士業業務のオンライン代行にフォーカスしているのに対し、Gozal は複数の士業事務所からの提案とマッチングに力点を置くようだ。今後の動向に注目したい。

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Gozal でアプリ売買契約書の作成を依頼した事例(サンプル)。

Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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