TechStarsのマネージングパートナーが語る「フェイルファースト(早めに失敗する)」が真に意味すること

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David Brown氏はTechStarsのマネージングパートナーである。彼は3つのスタートアップを設立しており、また別の2つに関わってきたシリアルアントレプレナーだ。彼はDavid Cohen氏、Brad Feld氏、Jared Polis氏と共にTechStarsを共同設立し、当初から同社の投資家や顧問を務め、2013年にマネージングパートナーに就任している。また、緊急医療サービス市場にソリューションを提供するZOLL Medical Corporation傘下のPinpoint Technologies, Inc.も共同設立している。設立以来、収益年間5000万米ドル、社員250人以上の同社社長を務めている。

via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “Chris Hunkeler“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

起業家である私たちは皆「フェイルファースト」(早めに失敗しておく)という言葉に馴染みがある。しかし、それは本当はどういう意味で、どうやって実行すればいいのだろうか? また、ピボットとは何なのか? 全てを捨てて一からやり直すことなくそれを実現することはできるのだろうか?

失敗は様々な形で起こる。それは性能の問題かもしれないし、製品と市場の不適合かもしれないし、ビジネスモデルが良くないのかもしれない。共同設立者や雇用する人材の選択を誤ったり、そもそも起業するという考え自体が間違っている場合もあるだろう。フェイルファーストは、これら全てのカテゴリーにあてはまるわけではない。詳しく説明しよう。

フェイルファーストがあてはまらない例

まず、フェイルファーストがあてはまらない例から述べていきたい。仮に、しっかり市場調査をし、自分のアイデアに対する情熱を持って親友と事業を立ち上げたとする。しばらく努力を続けたものの、事業を軌道に乗せるのに苦労したからといってフェイルファーストして事業を止めるべきなのだろうか? もちろんそうではない。世界的大企業のほとんどは、事業がうまくいくための解決策を見つけるまでに一定の期間がかかっている。ある大成功している企業のCEOが「一夜の成功を手に入れるのに10年かかったよ」とかつて私に話してくれた。

同様に、事業を立ち上げ全て順調にいっているが、共同設立者のCTOとの関係がうまくいっていないとしたら、単に彼らを捨てて新しい人を見つけるだろうか? おろらくそうはしないだろう。ビジネスを成功させるためにはストレスが伴うこともあるのであって、CTOとの関係を築くために時間をかけるべきだ。そうでなければ、別の人間を雇ったとしてもすぐに同じ問題を抱えることとなるだろう。

「フェイルファースト」は小さな課題に対するアプローチ

「フェイルファースト」というのは大きな問題についてではなく、小さな課題に対するアプローチである。企業を経営し、商品開発する中でたくさんの実験を行い、そのどれかはうまく行き成功するが、進めることができずに失敗するものもある。

顧客があなたの商品を使う前に、多くの情報を必要とするかどうかわからない場合があるとする。その課題に対するアプローチはこうだ。多くの人と話をし、異なる意見を集めよう。その様々な意見を見極めて何をするか決定し、商品工程表にスケジュール決めをする。そして開発を行い、検証した上で発表するのだ。または、とりあえず作り上げて発表し、うまく行かないようであればフェイルファーストに基づいて、方向性を修正し新しいものに取りかかろう。

自分のターゲット市場をFortune誌のCEOら500名にすべきか郊外に住むサッカーなどのレッスンの子供の送迎で毎日を忙しく過ごす母親たちにすべきか決められずにいる。ターゲット市場を決める前に、市場分析をしたり、出資者に相談したり、フォーカスグループで討議すると良いだろう。また、とりあえずはやってみて、もしうまくいかなくても、フェイルファーストの概念に基づき早めに方向転換し、自分に見合ったグループに重点的に取り組めば良い。

雇用したセールススタッフの生産性の低さに悩んでいる。チャンスをもう一度与えた方が良いのだろうか? トレーニングやコーチングをもっと受けさせた方が良いのだろうか? 顧客の異論を取り除くため商品がもう少し成熟するまで待った方が良いのだろうか? それもいいだろう。だが、自分が間違った雇用判断をしてしまったことを認め、早い段階でフェイルファースト、方向転換し、そしてまた突き進むのみ、というのも一案だ。

これらは日ごと・週ごとのビジネスの仕方を示した例だ。単なるビジネスの見方ではなくアプローチ法だ。まずは試すという地盤を作り、試すことをいとわず、迅速に行動する。例えうまくいかなかったとしても、フェイルファーストと方向転換をいとわないことだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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