「1UU」ではなく「1人の来店者」を接客するーー開始約半年で4500万人を解析したKARTE、正式公開

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プレイド代表取締役の倉橋健太氏

1PV、1UUを単なる数値ではなく、ウェブにやってきた「訪問客」として可視化する解析サービスがようやく正式公開した。

プレイドは3月12日、ウェブ接客プラットフォーム「KARTE」の正式版を公開した。KARTEは数行のコードをECなどのサイトに埋め込むことで、サイト訪問客の特徴や行動を可視化し、購入や会員登録などのコンバージョンに対して適切な施策を打つことができるサービス。Googleアナリティクスなどの解析ツールと違い、サイト運営者が持つ会員情報などと組み合わせることができるので、より実店舗での接客に近い対応が可能になるとしている。

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訪問者が数値だけではなく来店客として表現されている

利用料金は基本料金として月額5000円、接客した回数(訪問客に対して通知などのアクションを実施した回数)に応じて1接客1円の従量課金で提供される。また、月間ユニークユーザー数が10万人を超えるサイトについては、月額固定と従量課金を選択できるエンタープライズ版も用意されている。

2014年9月にクローズドβ版を公開し、現時点で50サイトほどが利用を開始。同社では利用状況を示すために、これまでの解析した接客ユニークユーザー数を4500万人と発表した。

プレイドの創業は2011年10月。当初はKARTEとは違うサービスでスタートアップしたが、途中で現在の事業に方向転換し、2014年7月にフェムトグロースキャピタル等から1億5000万円の資金調達を実施。現在17名ほどの陣容で同サービスの開発を進めている。

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さて、KARTEの概要については以前、クローズドβが始まる直前あたりで書いたこの記事を一緒にご覧いただきたい。一言で表現するのが難しいが、ウェブ解析と広告テクノロジーの統合サービスといったところだろうか。

正式公開にあたり、基本的な思想は変わらないが、当初「EC向け」とうたっていた文句が消え、「ウェブ接客プラットフォーム」ともう少し幅広いカテゴリに対してのサービスとなった。導入しているサービスを見ても、コマースだけでなく、人材やクラウドファンディング、クラウドソーシングなど、バラエティに富んでいる。導入実績もなかなかのもので、新規会員獲得率で108%、ECサイトでの購入率で平均30%など、確実に成果が上がっているようだ。

まあ、これは当然といえばそうかもしれない。

来店する訪問客の状況が単なるアナリティクスの数字ではなく、「人」として可視化されるわけだから、接客する側は対応がやりやすい。顧客獲得のために用意されている接客方法は、訪問時にポップアップするカード表示や、チャットなど4種類が用意されている。もちろん自動化も可能だ。

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これらの「武器」を運営者側が的確に使えば、購入や登録などの誘導はより実社会での行動に近づくことになる、というわけだ。なお、この飛び道具は外部サービスを使うことも可能で、メール配信の「MailChimp」、チャットツールの「LiveChat」、 アンケートの「Formstack」などが今日から連動可能になるそうだ。これらは今後拡大も考えられている。

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昨年にプレイド代表取締役の倉橋健太氏にKARTEの話を聞いた時、コンセプトは大変素晴らしいが、実際に運営者が使えるのか少しばかり疑問を持っていた。こういった解析ツールや広告テクノロジーは高度な知識と経験を要求されることがほとんどだからだ。倉橋氏もまた、楽天時代の経験を元に、ECコンサルティングなどの事業も手がけていた。彼だから使える、というのでは広がらない。

しかし、今回実際に稼働しているサービスは非常に作り込みも深く、非常にわかりやすいインターフェースにまとめられていた。本当にウェブにやってくる人たちが1PVではなく「人」としてカウントされているところに彼らのこだわりを感じる。

「PDCAを高速回転させるにはリアルタイムに見える化できていることが大切で、データを計測してからアウトプットするまでの6割を自動化できないかって今は考えてます。それと同時に簡単に使えることも重要と考えていました。例えば利用例としてネット系の広告代理店がクライアントの運用サポートとして使うようなイメージもあります」(倉橋氏)。

リアルタイムアクセスが「20UU」と考えると少ない印象だが、「20人の来店者」と考えるとまた違った考えが生まれる。

ウェブもようやく実社会と同じような世界観に近づいてきているのかもしれない。

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