いま日本で一番売買されている株式を知っているかい?

240105_101666379922895_4508047_o編集部注:本稿はベンチャーユナイテッドのチーフベンチャーキャピタリスト、 丸山聡氏が運営するブログ「No Guts, No Growth.」からの転載記事。ここ最近のIPOや買収の話題に関して共感できるショートコラムが掲載されていたので、同氏に許可を頂き、こちらに転載させてもらった。


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via Flickr by Dick Thomas Johnson. Licensed under CC BY 2.0.

3月31日というのは市場関係者にとっては、もう新年度がスタートしているんでござる。

こんにちは。VENTURE UNITEDの丸山(@maru0)です。

3月31日受渡しの取り引き=3月末の配当などの権利が付いた取り引きの最終日は今年は3月26日でした。つまり、3月27日以降の取引は4月以降に受渡しがあるので、株式市場においては実質的にはもう新年度が始まっているわけです。
(これは、1年の終わりもそうで、12月最終週の取引とかは、すでに新年相場っていうナゾな状況になっていたりします。)

まー、でも気持ちの上や約定ベースだと4月1日からが新年度取引になるわけですので、そのあたりが悩ましいところだったりするんですが。

それはともかく、この3月31日の全市場の売買代金ランキング

(編集部注:一部内容を省略して転載。)

東証1部に上場する銘柄ではトヨタ(871億円)、オリエンタルランド(636億円)、ソフトバンク(577億円)と続いて、それ以下もDeNA、MUFG、ファーストリテイリング、ファナックなどの有名な企業が続くわけですが、このトヨタ、オリエンタルランド、ソフトバンクを足し合わせても届かないくらいの売買代金(2303億円)に膨らんでいる銘柄があります。

それが、

(NEXT FUNDS) 日経平均レバレッジ上場投信
(証券コード:1570)

っていうものです。

これがどういうものかという詳細は野村アセットマネジメントのサイトで確認いただければと思いますが、端的にいうと目論見書からの引用で

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っていうものです。

日経平均の2倍の値動きがあるETFっていうものです。

まー、さらに投機的な人はこれに信用取引なんかも駆使しちゃったりして、レバレッジにさらにレバをかけるとかかけないとか。

なんかレバレバいってたら、レバニラ食べたくなってきけど、そんな気持ちはそっとおいといて。

ちなみに東証1部の売買代金はここを参照(PDF)したところ、2兆9382億円となっておりまして、この1570は東証1部の売買代金のおよそ7.8%に相当するくらいの売買代金を1銘柄で集めているということになるわけです。(ETFの売買代金は別枠なんで、これに含まれないはずですが)

これって、もうずいぶん前からこんな感じだったりするらしく、とにかくいま(少なくとも2015年3月31日)に東証で売買に参加している投資家が一番売買しているのは(NEXT FUNDS)日経平均レバレッジ上場投信(証券コード:1570)なわけで、投資家から見たら一番売買で妙味があるということになるわけです。

もちろん投資スタンスで短期や中期、長期なのかや、ロングなのかショートなのか、チャートかファンダメンタルズなのか、グロースかバリューかなど、いろい ろとわかれるのでこれをひとくくりにして語ることはできないけれども、東証1部の売買代金上位3社の合計を上回る金額が売買されているという事実を受け止めておく必要はあるのではないかと思っています。

なお、先ほどの資料から引用すると

  • 東証2部の売買代金:188億円
  • 東証マザーズの売買代金:764億円
  • 東証JASDAQの売買代金:733億円

となっていて、これらを足し合わせたよりもはるかに大きい金額を(NEXT FUNDS)日経平均レバレッジ上場投信(証券コード:1570)は売買されているし、マザーズやJASDAQの売買代金はトヨタ1社のそれよりも下回っているっていう事実を知っておかなければ、株式市場というものがどういうものなのかっていうことを理解できないと思います。

売りたい人と買いたい人がマッチングされて取引は成立する。

この積み重ねが出来高やこの売買代金につながってくるわけで、市場として機能するという意味ではこの売買代金や出来高が膨らむことが重要であるし、売りたいとき売れ、買いたいときに買えるという状態を作り、売買を活発にしていくことで、株価変動率(ボラティリティ)を低減させていくことにつながって、健全な株価形成がされるという事実をこれから上場を目指す人たちには知っておいてほしいと思います。

株価は上がればいいとか下がっちゃだめっていうことではなく、企業の収益力や財務内容を適切に反映させることがすべてであり、会社側としては、いかに流動 性を高めるかと適切な情報開示をするっていうことしかできなくて、それによって市場が株価を決めるのだということが大原則であると思います。

個人的には貸借銘柄はぜひ導入すべきだし、売れるっていうことは、いつかは買戻して株を返さなければならないっていうことだから、株価の一方的で極端な動きを回避できるかなと。これは制度信用も一緒だったりするわけですが。(会社側ができる流動性の提供ってこのあたりくらいだったりするわけですが)

ストップ高が続く会社は、ストップ安も続きやすいし、売りたいときに売れないや買いたいときに買えないという状況は上場企業としてはまだ半人前なんだと個人的には思っています。

いろいろな考えや価値観の人が参加するからこそ株式取引は厚みを増していくものであるということを理解しておく必要はあると思います。

あ、ちなみにこのエントリを書こうとしてJPXのサイトを見ていたら「最近の新規公開を巡る問題と対応について」っていうリリースが出ていたので読んでみるといいんじゃないでしょうか。

これと合わせて先日書いた「いまからIPOを目指すなら」 も合わせて読んでいただければと思います。とにかく大事なことは顧客やユーザーから愛されるサービスなり商品を作り、事業基盤を確立したうえで、どう大きく成長していけるのか、そのために外部からの資金調達や上場という手段があるのかっていうことではないかと思ってます。この部分は蛇足ですが。

では、また。

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